第5章-神-
「グァッハッハッハ、そう緊張せんでも良い」
目の前のおっさんはそう言うが考えても見ろ、なりかけの神と創造神の圧倒的差。ビビるわボケ。
「び、ビビってなんかないわよ!ききき決めつけないで頂戴!」
「バリバリ緊張してんじゃねえか」
「してないわよ!死にたいのかしらァ!」
「すぐ殺そうとするな!!」
「ふふふ」
聖音は俺達のやり取りに笑いを堪えている。笑われると恥ずかしいからやめろ・・・!
「まずはお主らの力をみたい。どの程度のものなのかをな。」
こんな奴と戦うのかよ・・・絶対無理だろ!
「私が戦いましょうか?」
紳士はゼウスに言った。そういえばこの紳士、何の神何だろう。
するとゼウスは
「いやいい、ワシが直々に見てみたいんでな。見るよりも戦った方が楽しいだろ?」
「は、はぁ」
紳士が理解できないといった顔しながらしぶしぶ「わかりました」納得した。
「まずは誰からかかってくる!」
ゼウスは大声で叫ぶ。
「はいっ!はいはい!!なら私が戦うわ!!」
ゼウスの問に麗奈は元気よく手を上げる。
そういえばこういうの好きだったよな・・・。
「まっかせっなさーい、ケチョンケチョンにしてやるわ!」
「でもお前、あっちの世界の物質で勝てんのか?」
「あっ・・・」
「おい」
「グァッハッハッハ!威勢がいい嬢ちゃんだな」
このおっさん心の底から楽しんでやがるな・・・
「ねえ姉さん、でも姉さんならきっときちんと戦えるわ。自分の力を信じて。」
「聖音・・・!!わかった!この物質創作と物質開放の力なめんじゃないわよ!!!」
「聖音いいこと言うな。」
俺が聖音の優しさに関心してると聖音が俺の耳元でつぶやく
「まあ、勝てないでしょうけど」
「お前なぁ・・・」
聖音はイタズラした子供のような笑みでふふふっと笑っていた。いいこと言ったと思った俺の気持ち返せよ・・・!
「では、バトルを始めるので準備をしてください。」
「準備なんて要らないわ!心の準備は完璧だもの!」
闘志のこもった眼差しでゼウスを睨みつける。
「ほほぅ、ならばその闘志に応じて戦う場所を作ってやろう。」
ゼウスは両手で思いっきり「パンッ!」と叩くと俺達は見たことのない世界にいた。
「これはワシからのプレゼントじゃよ」
そう言ってかかって来いと指を曲げる。
「流石創造神!!ならば私も最初から本気バーストよ!!!」
すると麗奈はゼウスに向かって駆け出す。
「まずはこれを受けなさい!!」
麗奈は自分の手から日本刀作り出すと、その力を開放し「オラオラオラァッ!」と投げて行く。
ゼウスは腰を少し落とし「ハァッ!」と力を入れると飛ばされた日本刀が地面へと落ちていく。
「まだまだァ!」
麗奈とゼウスの距離は約20m、どう距離を詰めるのか気になるところだ。
麗奈は駆けながら両手を広げてを前に突き出し、何かをつかむようにグッとしたに下げた。
その瞬間ゼウスの周りから鎖が飛び出しゼウスを捉える。
「くっ・・・!」
「バースト!」
その声が発せられた時にはもう麗奈はゼウスの目の前だった。その距離わずか5m。
麗奈は思いっきり大地を踏みしめ、跳躍をする。日本刀を構えて。
紳士も「ほぅ・・・」と驚いている。
そう言う俺も実は驚いていた。相手がゼウスじゃなかったら普通に強いんじゃないか?勝てるんじゃないか?そう思わざるおえなかった。
だがその幻想は一瞬で壊される。
「神の鎖と比べると屁でもないのぉ」
ゼウスはそう言うとまた腰を少し落とす。その瞬間全ての鎖がちぎられた。
「なっ!?」
麗奈は驚きながらも、もう驚くその瞬間もないと心に言い聞かせ
「はぁぁぁぁあっ!」
と日本刀を振り下ろす。
だがしかし、その日本刀はあっけなく空を斬る。
なぜならゼウスは鎖をちぎるとバックステップをとったからだ。
「っち・・・!」
麗奈は着地し顔を上げる。
しかし、目の前には誰もいない。後ろを振り向くと顔の目の前には、さっき投げて落とされた日本刀が突き出されていた。
「なかなかいい線行っていたが、もうお終いじゃな。」
「くはぁっ・・・!!アンタつっよいわねぇ・・・!!」
麗奈は自分が負けたと悟り、がくりと肩と膝を落とす。
その瞬間「そこまで!」と紳士が叫んだ。
「嬢さんや、お主なかなかセンスがあるのぉ?」
「はっ、少しは見直したかしら?」
「グァッハッハッハ!もちろんじゃよ!だが、これの全てが神の武器だったらワシも危なかったぞい」
「やっぱりあっちの世界の物質じゃだめねぇ・・・!!」
「そう落ち込むでない」
麗奈は悔しがっているが実際はとても凄いバトルだった。
おしい!と言うバトルではないけれども、これがこの世界の物質だったと考えると鳥肌が立ってくる。
神の武器を極限まで高め、それを量産してくると考えると・・・勝てるものはいないんじゃないか?とすら思えてくる。
麗奈のバトルをみで心に火がついたのか聖音は
「次、私が行きます」
真剣な眼差しをゼウスに向けるのであった。