第4章-楽園-
目の前に現れたのは現実離れした世界だった。
賑わう酒場、「あらまぁ」と話し合う奥さん方、奥にあるデカイお城や郵便屋さんなのか人間よりもでかいだろう鳥の背中に乗り家の前で降りポストに何かを入れる人などなど。
けどどこかで見たことあるような景色が広がっていた。
「まるでゲームみたいね・・・」
次女麗奈がそうつぶやくと俺ら2人も「あぁ~道理で見たことあるような感じがした訳だ」と納得する。
本当にファンタジー世界に来たのではないかと思ってしまう。
と言うより神以外にも住んでる人々はいるのね。
特別な力を持ってない「一般人」もその世界に居た。その事にビックリしていると、心を読み取ったのか
「実はこの人々は元々この世界にいた一般人なんですよ」
と教えてくれた。
だからその心を読むのやめろぼけ、怖いだろうが
後からこの心を読む紳士に聞いたのだが、どうやらこの世界は○○神話によって国が違うらしい。
俺は「ここは?」と聞いたところ
「ここはギリシャ神話の国です」
と答えてくれた。
「狂神が現れるまで時間はあるわけではありません。ですからまずはお城へと向かいます。」
回りをひたすらキョロキョロと見て唖然としている俺達3人に彼はそのお城に指を指しそう告げる。
指を指された方を見ると、最初にみたあの馬鹿でかいお城だった。
聖音はお城など幻想的な物が好きだったので、普段と変わりない表情を偽っているが実は顔が綻んでいる。
よほど嬉しいのだろう、内緒にしておこう。
「ならば、急ぎましょう!」
でもやっぱり抑えきれなかった聖音は早く早く!と言わんばかりに早歩きで歩いていく。
紳士も含め俺達3人は仕方ないので「待ってくれ~」と駆け足で聖音の元へと急ぐのであった。
体感で20分位だろうか、ずっと歩き続けてやっとお城に付いた。
道中には物凄く面白い物があったり、見たことのない生物がいたりなど常に驚かされるものばかりであっという間だった。
ちょっと小さめだがまた目の前にはデカイ門がある。今回はお城の門だが、2回もデカイ門に遭遇するとは思ってなかったぞ。
「ではあなた方はきちんと付いてきてください。とても広いので見失うと探せないかも知れません」
彼はちょっとイタズラの笑みを浮かべる。
いやいやいや探せないってどんだけ広いんだよ。
「レッツゴーですよ!!!」
「聖音は少し落ち着け。」
こいつもブレないな
俺達はお城の中に入り、目の前をまっすぐ進むと階段があった。そして階段、また階段。
五階が一番上らしく階段はこれ以上は無かった。
そしてまた門
「流石に疲れるわね・・・死ぬのかしらぁ・・・」
「お前が死ぬのかよ」
膝に手をつきはぁはぁと息切れをする麗奈。もちっと体力付けろ。
すると隣でバタッと音がする。なんだ!?と首を向けると
「あははは・・・お城の中だぁ・・・お城の中で死ねるなら本望ですぅ・・・」
「生きろよ!!!来たばっかだからこの世界に!!!」
聖音ももう少しがんばれよ!!
紳士は俺達の現状を見て「ははは・・・」と苦笑し休憩時間をくれた。うちの妹2人がすまない・・・
謎の罪悪感が俺を襲う。
休憩時間が終わると彼は
「今から合うのはギリシャ神話の神、そしてこの国の王のゼウス様に合うので無礼のないように」
「へぇ・・・ゼウスってあのゼウスか」
・・・・・・ゼウス!?
いきなり創造主にあうのかよ!!緊張してきたぞ・・・
「では開けますね」
その言葉に反応して俺ら3人はごくんと息を呑む。
そして門が開き切ろうとしたその時
「グァっハッハッハ!よくぞ来たな若造たち!!」
おっさんくさい声と共に3mくらいあろうかという長身が、少し離れた奥の玉座に座っていた。