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前時代より蘇りし大和 ~Yamato Reborn form the previous era~

「魔法艦隊か・・・」


セニアが公国から言伝てを持ってきたと思えば突然そんなことを言い出した。

カオルの部屋に集められたカオル、武蔵、その他諸々の兵士はセニアの発した単語が何なのか、疑問に思い始める。


「なあセニア、魔法艦隊ってなんだ?」


「噂で聞いたことがあるが、戦艦に魔力を扶助することで並の帆船とは比べ物にならない機動力、攻撃力、防御力を誇示することが出来る。」


「つまり、魔力で要塞となったって訳か・・・」


「そうだ。なった帝国に送った諜報員が秘匿兵器を嗅ぎ付け、明らかになった産物だ。詳しいことはもっと調べないと分からないが噂だけでも厄介な代物だ。」


兵力で通ずることが出来ないならば、新兵器で挑んでくるつもりか。

しかし、魔法とは・・・


「なあ、公国ではそういう兵器を作らないのか?」


「残念ながら公国にそんな技術力はない。向こうは重税なおかげでその殆どの税金は軍事利用される。こちらは国民の生活が最優先だ」


どうやら帝国は共産主義、公国は国民主権のようだ。これもあの女王のおかげか。帝国の王と比べてどちらが優秀かは一目瞭然だな。


「その諜報員からの他の情報は?」


「ない。必死に調べたようだが、これが精一杯らしい。どうやら、上層部の連中しか知らない秘匿情報だろうな。」


「手がかりはこれでゼロか・・・」


「ですが魔法艦隊のことだけでも充分です。あとはこれを、」


「どう調理してやるかだな!」


久し振りに燃えてきた。最近はどこぞの忍者娘が夜這いしてきたりして大変だからな。ここでパァーとうさを晴らしたい。


「ではやってくれるのか?いつもすまない。本来戦うべきは我々公国騎士の役目なのに・・・」


頭を下げ、感謝と謝罪を帯びた謝礼をしてくる。やはり気難しいのだろう。自分達のために戦ってくれてるフリーデンをただ眺めることしか出来ないことに業を煮やしてるのか。


「なに気にすんな。俺たちは同盟を結んでんだ。片側の尻拭いはもう片方が受け持つもんだろ?。武蔵、第4艦隊に連絡を」


「はい」


さーて、第4艦隊の新品のお披露目といこうか。






/※/






「第1、第2、第3、第4エンジン全て正常!タービンも異常なし!」


「イージス艦、全船稼働!総員持ち場につけ!」


「さぁーて、出港だ。者共!さっさと準備をしろ!」


「だったら酒飲んでないで手伝ってくださいよ!」


この第4艦隊の船長でありながら海軍提督の階級をもつフランシス・ドレークはただ艦長席に座り、前の小さい机に足を乗せてがばがばと酒を飲んでいた。その席の下には何本もの酒瓶が転がっており、彼女が酒豪であることを証明してる。


フランシス・ドレークはイングランドの航海者で海軍提督。イングランド人で初めて世界一周を成し遂げ、アルマダ海戦では艦隊司令官としてスペインの無敵艦隊を撃破した功績も持っている。


そして彼女が最も得意とするのは略奪。彼女は私掠船と呼ばれる敵国の船を攻撃し、その船や積み荷を奪う許可、私掠免許を政府から得た船を保持していた。つまり、敵国の人間の船ならばいつでも海賊行為が許されるという非道的な顔も持っていた。


「へへ、この戦艦は初めて見たな」


「私もです。この船を改造するのにどれだけの日数が費やされたかと思えば懐かしいですね」


昔話をするように思い出には浸る副艦長 井上大佐はドレークの補佐を担当する。


4隻のこんごう型イージス護衛艦に守られ、その巨大な身体をドックから徐々に出てきて太陽を浴びていく。


全長263,0m、全幅38,9m、第二次世界大戦時の日本の技術力の結晶ともいえる史上最大の戦艦大和の改装版、"大和 改"。当時の良さをそのままに戦艦全体を大改造して作り上げた海軍最強の船だ。


この"大和 改"はカオルが基地を造り出した後日から改造された軍艦だ。軍艦の中でも特に大和がお気に入りだが旧世代の戦艦では足を引っ張るだけだと考え、大和全体を大改造することを決定した。装甲、砲門、機器などネジ1本に至るまで全て新品にして作り上げた代物だ。完成した日はあまりに感動してカオルが男泣きするほどだ。



「これより出港する!面舵いっぱい!」


「はっ!機関部!」


ガタンという大きい音がするとゆっくりと船のスピードが加速していき、港を離れていく。

やがて港が米粒のように小さくなっていくと船首を帝国の方、西へと向かって海面を割いていく。


「甲板に出て太陽を拝みたいな」


「それはいい考えですね。これからの景気付けといきましょうか」


カンカンと靴底と床が鳴り合ってる音を聞きながら甲板へと足を運ぶ。

扉を開けると青空の下を一望でき、雲隠れせずに眩しさを強調してくる太陽。その太陽を片目で仰ぎ見る。


「眩しいなぁ。それでこそお天道様だな」


「ですよね。」


ドレークは独眼。片目しかない。これはなぜかカオルが彼女を造り出した時、片目が色ちがいだった。つまりはオッドアイなのだ。しかし本人はあまりに恥ずかしさにカオルと極僅かの仲間にしか見せない。普段は眼帯で左目を隠している。


ちなみに彼女がなぜオッドアイなのを考えていたカオルは容疑者第1候補の女神に問い詰めたら『特典ですよ特典。極希にそういう特典を付けときましたよ。例えばオッドアイとか猫耳とか。これで夜伽のジャンルも増えますね!』とかどうとか言ってた。

凄いムカついたのは当たり前だった。



「さてと、敵船はまだ見えないのか?


「まだ出港して二時間ですよ。敵はまだまだ先です」


「なーんだ。ならちょっくら昼寝するか」


「艦長としての仕事をサボる気ですか?まだ書類が残ってるんですよ!さっさと終わらせてから昼寝してください!」


「離せー!」


ジタバタと暴れるドレークの裾を引っ張り、艦長室へと連れていく。水兵達の同情の視線を掻い潜り、やがてその姿は見えなくなった。




/※/





「ぐぅ~・・・ぐぅ~・・・」


夜遅くまでかかった仕事を終わらせ、疲れたのか椅子を傾けて寝ている。彼女を起こさないようにその横をこそこそと海軍兵士達が通っていく。


(ぐっすりと寝てるわね)


(よほど疲れたみたいねそれだけ井上大佐は厳しいのよ)



なにやら兵士達の間では副艦長が厳しいと噂がたった。しかしそれは仕事を押し付けるドレークの性分に耐えなれなくなった彼女が横で般若の笑顔で寄り添っていたせいか、そんな噂がたったのだ。


まるで夏休みの宿題が終わらない子供の隣で見張ることで無理矢理終わらせる母親のようだ。


「そこ!そんな所で突っ立ってないで仕事!」


噂がすれば影が、ここで本人登場。ビシッと指を差し向け、説教する。


「「は、はい~!」」


言われた通りに持ち場に戻る二人の兵士。残ったのは椅子に寝腐ってるドレークだけだ。


「ふん!」


「あたっー!」


持ってた書類を丸めて顔面を叩く。打撃により、ドレークは椅子から転げ落ちる。

ここで目が覚めたのか、怒りを露にして井上大佐へ怒鳴る。


「なにすんだ!」


「それが四六時中寝てる人の台詞ですか!」


「たく・・・少しくらい寝ててもいいだろ。敵がいないんだから・・・」


「大佐!第1護衛艦から緊急通信(エマージェンシー)が!」


インカムを付けてる通信兵がそう叫んだ。井上大佐は近くのインカムを手に取り、その先の通信兵に問い合わせる。


『12時の方向。前方300km先に敵艦が複数。どれも同じ艦かと思われます。』


「同じ艦なら近くに母船か戦艦がいるかもしれない。この大和と同じように・・・」


『ご命令を!』


「どうします?」


「ふむ・・・まずは敵の情報を詳しく知りたい。UAVは?」


「いつでも可能です!」


「よし!UAVを飛ばして偵察だ!それから判断する!」


「了解!」


先程まで寝ていて堕落していた廃人はウソのようにキビキビと命令を発する。


艦橋の窓ガラスから覗くと一部のの兵がそれに答えるようにすぐさま大和の後方、二基のカタパルトへと集合していく。


『UAVセット完了!』


『了解!『アウル』出撃します!』


勢いよくカタパルト上を滑り飛び出したのは純白のUAVことMQ―9 リーパー通称『アウル』。フクロウって意味だ。見た目で命名。


高性能カメラやGPSを搭載し、敵陣地への偵察、また攻撃目標へのミサイル攻撃も可能な無人航空機だ。


長く白い翼をはためかせ、敵船へと飛んでいくアウル。やがてその白いボディーは空の雲に紛れてしまい、見失う。







/※/






「5分経ったか。アウルは?」


「モニター出ます!」


MQ―9 リーパーの高性能カメラが捉えた生映像が前面のモニターに映し出される。

そこには海面を船で埋め尽くすような大量の敵船が編制しながら領海へと接近しつつある状況だ。


「敵の数が多いな・・・」


「この映像に映し出された船だけでも20隻。もっと数えれば50は軽く超えましょう。」


敵船は17~18世紀に使われた帆船のような構造だ。しかし当時の船と比べて違うのは大きさと帆を使ってないこと。3倍近い大きくなり、甲板にもたくさんの大砲が設置され、船の側面にも大砲の砲身が顔を覗かせる。こりゃ集団攻撃されたら厄介だな。


とくに目に入るのはその敵船の中でも桁外れの大きさの母船かなにかの船。大きさもさらに増加し、大砲の数は比べ物にならない。映ってる大砲の数だけでも100は超える。ありゃ規格外だな。だけどイージス艦には届かない大きさだ。


「5隻対50隻・・・。火を見るより明らかに負けてますね。小さいのは護衛艦、大きいのは軍艦といったところでしょう」


少なくとも数倍の戦力差がある。こちらが最新鋭の軍艦とはいえ、数には勝てない箇所もある。


「先制攻撃だ。アウルで攻撃してみよう」


「よろしいのですか?」


「敵の主力、あの軍艦の戦力を計る。魔法で扶助されてると聞く。一体なにが用意されてるのやら」


「分かりました。『パペット』、ヘルファイアを」


アウルの遠隔操縦装置ルームこと『パペット』へミサイル攻撃の命令を伝える。『パペット』はアウル自身の操縦するパイロット員と電子機器などを操作するセンサー員の二人が操る。


その片側、センサー員から返信が入る。


『了解!ヘルファイア、発射!』


ミサイルポッドから射出された空対地ミサイル ヘルファイアは円弧を描きながら大型船へと滑空していく。

やがてその弾頭は大型船の軍艦へ直撃するかと思われたがその手前、何かに塞き止められるかのように爆発した。つまりは外した


「なんだ今のは!」


「結界かバリアのような物です!もしかしてこれが扶助魔法!?」


「すべての艦がバリアが・・・?。いやしかし、魔法は貴重な戦力。あの数の戦艦全てに扶助することなど・・・」


各々が戸惑い、落胆する。最新のミサイルが効かないことにショックを受け、おもわず歯軋りする。


「皆狼狽えるな!たかがミサイル1発塞がれただけだ!きっと勝機はある!」


「ですが、あのバリアをなんとかしないと攻撃すら出来ません。」


「うむ・・・。成せばなる!全艦、すぐに砲撃準備をしろ!ただちに戦闘を開始する!」


敵わない相手かもしれないのに逃げずに戦う。その姿はアルマダ海戦でスペインの無敵艦隊を撃破したフランシス・ドレークの本来の姿だった。





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