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怒りの鉄槌

「たくっ!あの女神め。今度会ったらただじゃおかないぞ。」


いきなり床が空き、落下したや気づけば空中に。なんとか創造能力でパラシュートを造り、装備して展開させ助かった。もう二度とごめんだ。

そして今は森のなか。

とはいえ、ここは異世界なのは違いないだろう。


確信はないがな。


先程、パラシュートで空中から地上を見てみたが近くに民家もない。完全に森に取り残されたようだ。


「早くここから脱け出さないとな。」


プルルルルルルル


突然ポケットの中からメロディが鳴る。

手を探ってみると変なスマホが。着信はあの女神からだ。ディスプレイに『女神でーす♪』て表示されてるもの。


「なんだ?」


『もしもしー?さっきぶりですねー。元気だったー?』


プッ


うざいので電話を切る。これで面倒なやつは去った。


プルルルルルルルルルルルルル


再び着信音が鳴る。


「なんだ?」


『ひどい!こんなに可愛い女神の電話を切るとは地獄に堕ちてしまえ!』


「あんな悪筆なじいさんのいる所なんて誰が行くか。一体何のようだよ」


『せっかく私が異世界攻略するためのアドバイスをやろうと思ったのに。』


「異世界攻略って、ここはゲームじゃねーんだよ。」


『ですが聞いておいたほうが得でしょ?』


「うっ・・・」


たしかにそうだろう。俺がいた世界とは根本的に違う世界だ。何が起こるかは予測不可能の世界なのだ。


『まず、この世界はファンタジーそのもの。魔法も存在するし、魔物も巣食う世界。下手すれば第2の人生も終いとなるかも。』


「おい、縁起でもねぇこと言うな。」


『あと、創造能力には欠点があるんです。創造能力だって最強じゃないし。』


「なんだ?」


『元々存在していないものは造れない。例えば勇者の剣だとか、ガ〇ダムだとか。』


「隠してもモロバレだろうが」


『というわけで、あなたが元居た世界にあった物しか創造できない。そのかわり人間、しかも偉人も出せるし物資も無限に出せるけど。』


「結局最強じゃねぇか!」


『あと、あなたのために特別な付与を授けるから』


「特別な付与?なんだよそれ。教えろ。」


『教えな~い。』


「・・・」


『まあまあ。そんな険しい顔しないで落ち着いて。今は上手く説明できないんだよ。実際に能力を試してみなよ。そうすればわかるから。』


「おいお前説明する気ないだろ」


『これで用は済んだからそろそろ切るね~。』


「てめぇ、覚えてろよ」


『覚えているから。多分数分ぐらい。じゃあ・・・』


言い終わる前にこっちから切ってやった。ざまあみろ。


・・・そういや質問するのを忘れた。このスマホのこととか。


しかし切ってしまった以上、またかけ直すのはなにかと気に滅入る。ここは天界のスマホということで解釈しとくか。


さて、この世界を回るには充分な装備で行くか。

何でも創造できるなら一式の装備品も出せるよな。


「おっ出来た。これならなんとか大丈夫そうだな。」


自衛隊の装備している迷彩服3型と9㎜拳銃ホルスター、弾倉を所持するためのマルチカモベストを装備した。迷彩服3型は高いカモフラージュ率を誇示していて隠密には最適だ。少しでも敵から逃れるためにこうして自衛隊装備にしたのだ。


「あとは銃か・・・」


拳銃はM92F。アメリカ軍御用達の拳銃なら不便はない。主要武器にはH&K、HK416を。ビカティ二ー・レールシステムを標準装備、新しいスチール製のマガジンなど、作動の確実性と耐久性を企図していて世界各国の警察組織や軍が採用するアサルトライフル。その獲物がこの手にあるとは感激の極みだ。

今回は少しでも有利な状況を敷くためにグレネードランチャーM203とACOG TA01NSN 4×32 スコープを装着。

これなら魔物が現れても対処できる。







森を歩いて一時間。

結構歩いたと思ったのに森を抜けるどころが森を脱け出せそうにも思えない。いくら歩いても景色がいっこうに変わんない。これあれだな。遭難だな。


「はぁー。遭難しちまったな。」


そもそも遭難したのはこんなところに落としたあの女神のせいだ。


「これほど歩いても誰とも会わないとはな」


都会に住んでいたから少し歩けば必ずや誰かと会える。そんな生活を送っていたカオルには田舎のようなこんな場所は初めてなのだ。


「このままだと誰とも会わずに野垂れ死ぬな・・・」


さすがにそれはごめんだ。

早急に人と会わなければこの世界の情勢も知れない。


「どこかに村とかないかな」


辺りを見回すものの木々に覆われ見透しも悪い。これではなにも探すこともできない。


「ん?なんだあれは・・・?」


森の奥から黒煙があがってる。

モクモクと天にあがる黒煙は白い雲に混じり、薄くなっていく。


「火事?」


火事ならば急いで火の元へと向かったほうがいいだろう。女神の言う通り、この世界がファンタジーの世界なら科学や技術は未発達のはず。火事を消すのも時間と手間が必要だ。


「距離はそんなに遠くないはずだ!」


装備品のせいで足取りは重いが足を止めることはなかった。

走り続けて5分。辺りが煙臭くなってきた。


「この辺りだと思うんだがあれか。」


木々をかき分け進んでいくと村が見えた。

火の手に呑まれ壊滅した村が。


「・・・ただの火事じゃないな。」


村人の死体を見れば火傷や煙による呼吸困難ではなく、刀傷や矢じりが刺さっていた。

事故死という生温いもんなんてもんじゃない。殺人。誰かがこの村人を殺し、焼き払ったのだ。


『・・・・!・・・!』


どこからか声がする。生存者か?


声のする方、大きな民家に駆け寄る。

万が一敵の可能性もあるため息を殺し、HK416を携わり、ゆっくりとした歩みで近寄る。


(複数の人間か?)


近寄るたびに別の人間の声も聞こえてくる。

民家の裏側に回って窓口から中の様子を盗み見る。カオルの目に映ったのはボロボロの服を纏った男団体。その側には剣や斧などの武器が置かれ、その手には酒が握られている。


『今日は収穫あったな。この村の奴等、結構食料を持っていたとはな。』


『がっはっは!これで当分は飯も助かるぜ!』


『そうですぜ親分!あんな弱い虫けらから奪うなんて容易いことだぜ!』


『虫けらどもが逃げ回るから殺しづらかったがな。』


『がっはっは!』


(壊滅させた張本人達か・・・)


そう思えば怒りが燃えたぎる。

人を殺しておきながらヘラヘラと酒盛りとは。マグマより煮えたぎる殺意が溢れていく。


殺す!


M67手榴弾を召喚し、ピンを抜く。

窓口に向けて全力投球されたM67手榴弾は窓ガラスを突き破り、壁に当り地に落ちた。


「なんだこれは?」


中の盗賊達が突然飛んできた謎の物質に興味をもつ。悪魔の兵器とも知らずに。


ボンッ!


M67手榴弾が爆発した。火薬によって破片が辺りへぶちまかれ盗賊の身体にも深々と突き刺さる。


「ぐわぁぁぁぁぁぁあ!あつい!」


「た、助けてくれー!!熱くてたまらないんだ~!」


「目が!目が見えねぇ!」


ある者は火薬が皮膚を焼き、ある者は目をやられ一生光を失う。


玄関口に回り扉を開けてみる。

するとニンニクのような香りが充満して鼻が曲がりそうだった。


「だ、誰だてめぇ!」


露出している肉体が火傷を起こしながらもカオルに問い詰める。すでに数人は絶命しており、皆火傷が酷く、判別のつきようがない炭となっていた。


「てめぇか!俺たちをこんな目に遭わせたのは!さっさとこの火傷をどうにかしや」


バンッ!


喋らせる暇なくM92Fで額を撃ち抜いた。

呆れながらも次の標的に銃口を向けた。なぜ気づかない?己が起こしたら過ちに。


バンッ!


うずくまっている男を撃つ。


バンッ


助けてと乞いながら泣いている男を撃つ。

あとは、


「な、なにもんだ?お前は!」


残すのはこの男だけ。一番軽傷であることから爆発地点から離れていた奴だろう。だがその手足は火傷が蝕む。


盗賊の問いに答える義理もないから銃口を向ける。引き金を引こうとすると盗賊が入ってきた。


「な、なぁ。何が欲しい?金か?酒か?頼むから俺は助けてくれ!」


「いいだろう。こっちの望みを叶えてくれたならな。」


そう言うと盗賊は希望を待ち望んでいたかのような笑顔を見せ、歓喜している。


「この村人を蘇らせてみろ。そうすれば助けてやる。」


キッパリといい放つ。

すると盗賊はすぐに顔色を悪くし、反論してくる。


「なんだとてめぇ!そんなこと、できるかよ!人間なんて蘇らせるなんて無理だよ!」


「だが二度と蘇えることできない存在を貴様らは殺したんだ。」


「ま、まて!話を」


バンッ!


言い終わる前に額を撃ち抜いた。

盗賊等の死体は閑散と現状を物語って死の風潮を漂らせていた。

カオルはそのまま全身火傷の死体の周りを踏み歩きその民家を出た。




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