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闇夜の屋敷

「カオル殿、今度はこっちですぞ」


点々と蝋燭の灯りしかない真っ暗な邸の廊下を忍び足で歩く。

闇夜を駆けるのは忍者の業。そしてその業で任務を全うする。


「ここは調理室で御座るな。食べたかったで御座るよビーフシチュー。」


「だったら食べればよかっただろ」


夕飯はビーフシチューだった。みんな食べてるのに半蔵は俺を見守るとかいって手をつけなかった。

なんて痩せ我慢好きな奴だ。いつか栄養失調で死ぬんじゃないか?


「む!人影が。」


廊下の角に隠れて半蔵越しで見てみると辺りをキョロキョロと見回している怪しいローブの奴がいる。そしてローブの奴はそこらへんの部屋に入っていく。


「追うぞ半蔵」


「で、御座る!」


こそこそとは怪しい。音で感ずかれないように後を追う。


「なにしてるで御座るか?」


「なにかを探しているようだな」


「もしかしてアリア殿への刺客ではないで・・」


グゥ~。


「誰だ!」


なぜバレたのか考えなくてわかる。犯人は半蔵だ。


「なんでこんな時に腹を鳴らす!」


「偶々で御座るよ!」


「覚悟!」


懐刀を手にして襲いかかってくる。声からすれば女だろう。

女は逆手持ちの懐刀を連続で振り回してくる。


「カオル殿には指一本触れさせはしないで御座る!」


対する半蔵は脇差しのような刀を両手に携えて立ち向かう。


「はあ!」


女の攻撃。右から左へと横に一閃と剣を走らせる。だが半蔵は脇差しを交差させ防ぐ。そしてすぐに蹴りをいれる。


「がぁ!」


「今が好機!」


腰からクナイを取りだし力いっぱいに投げる。無数のクナイは弾丸のように飛び女のローブを貫き、そこまま屋敷の壁に突き刺さる。


「くそ!これをとれ!」


女は手足を固定され動くことのできない。さて尋問だ。


「さーて、楽しい楽しい尋問の始まりだ。担当は俺、補助は半蔵だ。」


「なぜ拙者も!?」


「バーロー。一人でやるよりも二人のほうが興奮するだろうが」


「変態ですぞ!カオル殿は変態で御座るか!?」


「うぅ・・・やめてくれ・・・」


女はすっかり怯えている。こいつほんとに刺客か?


「ウソウソ。今のは冗談だ。さすがに俺もそんなことはしないよ」


「よかったで御座るよ・・・」


「助かった・・・」


「だけど拷問はやるさ、」


「え?」


サァーと女の目からでも血の気が引いていく。さてまずは顔を見せてもらおうか


「どれどれ~。」


「あ!やめろ!なにをする!」


「顔を拝むだけだよ。どんな顔かな~。」


「やめろ!やめてくれー!」


「・・・」


「ふぇ?あれ?」


「・・・」


以外と可愛い。金髪碧眼の美女だ。胸もそこそこ。モデル体型の美女だ。


「あの~。カオル殿?」


「は!俺はなにを?」


「なにをってただボケッとしてただけで御座るよ?」


「さて、お前ら、私をどうする気だ?そのまま殺すか?」


「どうすっかな~?このまま逃がすか?」


「なっ!」


「ダメで御座る!敵を逃がすなんて!」


「じゃあさ、セニアを呼んでくるからこのまま見張ってくれないか?」


「構わないで御座る!」


俺は部屋から出てセニア達の元へと急ぐ。



/※/



「はぁはぁ・・・」


「女にしてはよくやったな。だがこれで終いだ」


男が豪刀を振り、叩ききってくる。だがセニアはよけ、男の身体に一太刀。しかしその攻撃も塞がれる。


「おっと危ない危ない。嬢ちゃん、なかなかやるな」


息切れしているセニアに対して息切れどころが汗さえもかいていない。実力の差がでてる


「くそ!・・・ここから先は行かせない」


「俺は女王さえ殺せるならそれでいいんだよ。嬢ちゃんが命を落とすことはないんだぜ。」


「だったらなおさらここは退けないな」


「ちっ。だったら死ぬがいいわ!」


「がぁ!」


剣が弾かれる。廊下をクルクルと回転しながら剣は床へと叩きつけられる。


「終わりだな!」


「いえ、まだ終わりではありませんよ」


後ろから別の声がする。

振り向けばそこには女がいた。それも、かなりの腕のもの。


「その女に変わって私がお相手しましょう。」


「はあ~。まだいるのかよ。もうやめてくれよ」


「ならここから立ち去ってくれますか?夜中に起こされたのではやく寝たいのです」


「なら寝かせてやるよ!永遠にな!」


豪刀を振りかざして突進する。眼前にくれば一気に叩き斬る。


「おそいですよ。剣は振ればいいものではありません。」


「ほう、たしかにあの女よりは楽しめるな」


「そちらこそ。」


お互いに踏み出し斬り込む。

ギチギチと金属が軋り合う音が鳴り、力の押し合いとなる。


「見たことない服装だな。お前、名は?」


「・・・剣客、宮本武蔵玄信と申します」


左手で小太刀を抜く。最強と謳われた剣客の本気モードだ。


「なら俺も名乗ろう。俺はヤタガラスのウカン。お前は二刀流の使い手か?」


「はい。」


「ならより楽しめるな!おらぁ!」


大きく横に凪ぎ払う。辺りの蝋燭台や絵画を破壊して武蔵へと襲いかかる。


「はぁ!」


ウカンの一撃を懐に入ることで避ける。だがそれを読んだウカンは膝蹴りしてくる。


「甘いですね!」


「!?」


大きく身体を仰け反り紙一重で避ける。ウカンが先の手を読んだように武蔵も先の手、またその先の手を読んだのだ。


「ちっ!ならこれで終いだ!」


ぶんぶんとぶっきらぼうに振り回す。それには剣術も流派もない、ただの子供が振り回してるような遊びだ。


「剣が迷ってますよ。」


「うるせぇ!」


「言っても無駄ですね。なら、」


バシュ


「体に叩き込むだけです。」


いつ踏み出したのかわからないほどの攻撃。神速ともいえるその武蔵の動きはウカンには見えなかった。


ウカンの首はボールのようにコロコロと転がり落ちる。

そして切断された首からは噴水のように血が溢れた。ピッと刀身についた血を払い鞘へとしまうと倒れているセニアの元へ駆け寄る。


「セニア、大丈夫ですか?」


「あ、ああ。」


きょとんと拍子抜けてるセニアに声をかける。


「やはり、武蔵はすごいな。カオルの副官なのも頷ける。」


「いえ、鍛練の賜物ですよ。」


「それにひきかえ、私は弱い。これでは陛下をお守りすることは叶わないだろう。」


負けたことがショックなのか、自分の弱さに自負してるのか、セニアは顔を項垂す。


「ならあなたも剣術を習ってみます?」


「剣術?」


「はい。」


「もちろん習う。陛下もため、にな。」


「おーい!」


そこへカオルがやって来る。


「はぁはぁ・・・あれ?こいつ誰?」


「そいつは陛下への刺客だ。なかなか手強かったが武蔵が倒してくれた。」


「刺客か、あっ!そういやこっちにも刺客がいるんだ」


「なに!どこだ!」


「今は半蔵が見張ってくれてる。壁に飾られているからな」



/※/



「離せ!こんなことしてただじゃおかないからな!」


身動きはとれないのに口数は減らない。服がクナイで壁と一体になっているために抜け出せない。


「こいつが刺客か」


「なんだかそうには見えないな」


「どうするつもりだ?」


「俺らが預かる。うちに拷問のプロがいる。」


拷問と単語で彼女の顔が暗くなる。そうりゃそうだろ。誰だって拷問は嫌だからな。でも大丈夫だ。


「部下にこいつを見張っておくように伝える。お前らは寝ていて構わない。」


「やった寝られる!」


だがもう朝日が出かかっていたので事実上、2時間しか寝られなかった。


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