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ダル子と僕の朝の日常風景

 平日の朝は7時半まで寝ていられた会社員の僕にも、家族ができ、生活リズムが一変した。ウーパールーパーのダル子のヤツが6時にはもう、水槽の壁に手をついて立ちながらアカムシの要求をするからだ。

 さすがに、6時起きはきついが7時には餌の時間にする、という事にした。初めは待ちくたびれたのか、むくれて餌を食べていたダル子だったが、数日で7時ちょうどにねぐらにしている湯呑から出てくるようになった。

「そろそろ、アカムシの時間よねっ♪」

「はいはい。おはよう、ダル子」

 ダル子は上を向いて立ち、口をパクパクさせている。冷蔵庫で冷やしているタッパーから、僕は割り箸でアカムシを一匹つまんで、水槽へ入れてやった。

「ああん、アカムシちゃん、あんまり元気ないよ?」

「元気なやつを選んでるんだけど、全体的に元気なくなってきたな……。でも、食いやすくていいんじゃないのかい?」

「もー、あんた、モグ……、分かってないわねぇ、ゴクン……。口のなか、ううん、お腹の中でもはねるくらいのを好むのがグルメなの!」

忙しそうにアカムシを飲み込みながら、ダル子はまた生意気な事を言う。


「なぁ、相談なんだけどさ……」

「その前に、もう一匹、さっきより活きがいいヤツ!」

「……はい」

 なんだか朝から微妙に落ち込みながら、僕は動いているアカムシを探す。買ってきて5日も経ってるから動いてないやつの方が多いのだ。比較的元気そうなのを拾ってやってから、話を続けた。

「ダル子はさ、仲間が増えるとしたら、どう思う?」

「は? あたいは、このスペースを他の奴に分けてやる気なんてさらさらないわよ? 凶暴なのが来て、手足齧られたらどうすんのよ!」

手や足を齧られたとしても、ウーパールーパーは何回でも再生するんじゃなかったっけ? と思ったが、とりあえず僕はダル子の誤解を訂正する。

「いやいや、ウーパールーパーを増やす気はないよ。同じ水槽で他の生き物を飼うのも難しいって聞いたし。その水槽は、ずっとダル子一人のものだから安心して」

「当たり前よ」

「仲間、っていうのは、つまり……、この家で飼うペットの事だよ」

「仲間かどうか知らないけど、あんたがあたいにかまってくれる時間が減らなければ、水槽の外の事はあんまり興味ないわ」

「まぁ、減らないように努力はするよ」

「ただし、水槽の周りを走り回るような乱暴な奴とか、やかましく鳴くようなのはお断りだけどね」

興味ないとは言いながら、文句は色々とあるようだ。僕は、次に飼いたいのが鳥だという事は黙っておくことにした。

「あーあーあー、アカムシー、もう一匹食べたいなー♪」

「はいはい、何匹でもおかわりどうぞ」

 明日の土曜には、可愛い文鳥に会いに行こう。そして、この召使い生活に、少しでも潤いを!



 その夜僕は、ケージをガシガシ足で鳴らしてけたたましく鳴き、餌を要求する文鳥の夢を見た。




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