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three world traveler  作者: arandora
プロローグ
3/9

処刑の筈が、魔道学園の女子寮に住む事になりそうです。

「俺はプロの魔道具製作師だ!」


 この俺の発言を聞いた美少女は、何故か胡散臭げな顔に成って。


「アンタねぇ、幾ら私がそう言ったからって、命欲しさに適当に言ってるんじゃないの?その魔道具も、購入したか誰かから譲り受けたのでも問題ないし? アンタが本当にプロの魔道具製作師だって言う証拠はある? 試に珍しそうな魔道具をここで作ってみなさい。本当の職人なら、そこに置いてある触媒があれば簡単な魔道具位は作れるわよ?」


 美少女が俺にそんな挑発をくれて来た。

 指示された方を見ると、確かに魔道具の製作に必要な触媒が数点置いてあった。・・・だが。


「おい、幾ら俺でもそこにある材料だけで俺のこれと同じ物は作れんぞ? この魔道具の材料は最低でもリミニウム鉱石が必要だし、魔力熱を取る際にソウガル水も必要になる。 まさか、自分の材料を使えと言うんじゃないだろうな? 俺もこの魔道具を作るのに結構痛い出費をしたんだ。せめて材料だけでも手配しろよ?そしたら作ってやるぞ。」

「・・・ふぅ~、話聞いてた?」


 くっ!何か腹立つため息を吐かれた。


「なんだ?ここにある材料で俺の魔道具を作ってみろと言ったじゃないか。違うのか?」

「私は珍しそうな魔道具と言ったの。アンタの魔道具を再現しろとは言ってないわよ?」

「なんだ、それならそう言えよ、ややこしい。」

「言ったわよ!アンタが早とちりしただけでしょ!」


 やれやれ、ああいえばこういう。

 俺好みの色白超絶美少女なのに、勿体ない。

 まあ、いいか。

 幸い、ここに置いてある材料でも簡単なアクセサリーなら作れるし、其れで行くか。


「分かった。少し待ってろ。俺専用の携帯用製作炉を出すから。」

「・・は?・・」


 ん?俺、何か可笑しいこと言ったか?


「何を驚いてるんだ? 職人がそれ用の道具を使うのは当然だぞ?」

「・・いや、そこに簡易制作炉は有るけど?」


 示された場所には確かに炉が置いてあったが。・・これは使えん。


「こんな下級の炉なんぞ使えるか!こんな炉を使えば殆どの材料が無駄になるわ!」

「これが下級?この国では一般家庭で使う炉は全てこの7級よ?」


 ・・・は?こんな糞みたいな物を使ってるだと?俺の設定では5000年も経っていれば、3級くらいの炉が普通に使われても可笑しくないのだが?過去に何があった?

 そう思って美少女に聞いてみると。


「・・・おい、過去に何かあったのか?こんな物を使っている程材料が有り余ってるのか?」

「・・・そういえば、過去に他大陸の国との大戦で、王聖獣に領土侵犯を許した時に、殆どの表に出していた制作炉が使用過多で使えなくなったって聞いたことが有るわね。・・・確か5百年前だって聞いたわ。」


 5百年では流石に制作炉を新たに図面から導きだし作って世間に浸透させるのは難しいか。

 なら、試に作る珍しい魔道具は制作炉で決まりだな。


「よろしい、では特別に5級の制作炉を作ってやろう。材料も5級なら足りそうだしな。それでいいだろう?」


 俺の言葉に美少女がビックリした表情に成り、次いで胡乱げな眼差しで聞いてきた。


「・・それが出来るなら嬉しいけど、それはもう製作・・師ではなく、製造・・師に成るわよ?こう言っては調子に乗りそうだけど、製造師は希少だから仕事は十分にあるし、今は最高でも4級の物を作れる人が現在上級製造師の職人が私の家に一人いるだけだから、重宝されるわね。私の裸とあんなとこを見た罰は後でそれなりの物を用意するとして、本当に出来るのであれば私の専属として雇ってあげてもいいわ。それに、住む所がないのなら、少し特殊な条件付で私のこの部屋に置いてあげてもいいし。少し資金が出来れば家も紹介してもいいし。お爺様に頼んでメイドか奴隷を見繕うのもいいし。・・・まあ、それも本当に出来たらの話だけど?」


 くっ・・なに気に挑発してきやがった。・・・見てろ?

 俺は先ず、ソニアの近くに俺の特殊魔法で生み出した空間から専用炉取り出して、置いてやる。


「・・・は?・・・・今何したの?」


 何か驚いているようだが、質問に答えるのは後だ。

 

 次に、バスルームに置いてある簡易炉の処の触媒を、ソニアが居る近くへ持ってきて、出した専用炉の素材管理庫へ纏めて放り込んだ。

 俺のこの魔道具の便利な所は、素材の判別を一瞬で出来る所だ。

 椅子に座ってるソニアも俺の炉を見て暫し固まっている。

 そして、それから選り分けられた、魔道炉関係の全ての下準備に必要な材料であるパナナイト鉱石を大量に専用炉へ投入し、全ての鉱石が溶けたのを炉の窓から確認した所で別の場所で砕いた石英を炉の上から全体に塗し、徐々に熱を取るようにしていく。

 そして、専用炉に備え付けている魔力測定器を覗いて、耐久限度を設定する。

 今の温度が2000度、魔力耐久度100万に成っているから、5級の制作炉ならこれで十分だ。

 本来の俺が設定した3級魔道具が魔力耐久度10万の使用回数1万回だから、余程の魔力量を篭める場合でないと壊れはしないだろう。

 そして、魔力耐久限度を設定した後は、図面に起こした設計図通りの型に鉱石を流し込み、最後に自身の魔力を流し込んで仕上げだ。

 この仕上げをすることで、その炉を使った魔道具が俺に危害を加えるのを防ぐ役目する。

 そして、試に俺の自信作の改造鑑定眼鏡で鑑定をする。

 この魔道具は、魔力を流せば流すほど、どれだけ魔力の壁に護られた能力でも鑑定できる優れものだ。

 勿論、俺の異世界という惑星を創る規模の馬鹿げた魔力が有って初めて意味を成すのだが・・・


「まあ、この位の品物なら、普通の魔力で十分だな。」


 そういって、誰にでも流せる位の微量な魔力を流す。(俺に微量であって、普通の魔道士や魔法士なら普通の魔力量だと思うが・・・


 制作炉 等級5

 一般アイテム5級までの小物のアクセサリー、武器、防具を製作可能

 偶に製作物にプラス補正あり


 よし、OKだな。


「・・・よし、出来たぞ? 試にお前・・そういや、名前を聞いて無いな。・・俺は最上樹もがみいつきだ。樹でいいぞ。お前は?」


「・・・はっ!・・・わ、私はソニア・ソイル。このソイル藩立魔道学園の創始者の子孫にして、ソイル藩藩主グレン・ソイルの次女よ?今はこの魔道学園の女子寮に住んでるけど、三年後は藩立フリンジ機操士団を率いて、各国を回る事になると思うわ。」


 少し呆けていたようだが、これで簡単な自己紹介は終わったな。

 というか、俺は名前だけなのに、ソニアは随分と語ってくれたもんだ。

 もしかして、知って欲しかったとか?

 友達居ないのか?


「随分いろいろと教えてくれたが、もしかして友達が居ないのか?それで、裸を「はい、それ以上言ったら寮の管理人を呼んで牢屋へ放り込むわよ?」・・わかった。が、それにしては本当に色々と教えてくれたな。」

「それはそうよ。皆が当たり前のように知ってることだもん、隠してる意味がないし、これからここで住むんなら、知っておかないと困ることもあるしね?・・・それより、問題はその炉の性能ね。私は言った通り学生だけど、魔道具製作師としてのレベルは一応そこそこ高いわよ?現実世界では、初級製作師10階位、初級魔道士9階位、初級魔法士4階位。学生遺跡は50階層ね。<ブレインワールド>では、学生遺跡100階層、天空の塔100階に到達してるわ。。だから、最初にも言ったけど、同学年の生徒の中では優秀な部類だと思うから、私が使って、そうね・・6級の魔道具を作って、材料が無駄に成らないくらいの物なら、学園でこの炉を買い取ってあげる。私より下手くそな奴に気を遣う必要はないしね?そのポイントで<ブレインワールド>に登録して、自分の欲しい材料を自分で調達するもよし。仕事先を購買部にして上げるから、そこで材料の買い取り兼魔道具製作師及び製造師として働けばいいわ。文句や異論を言ってくる者もいるとは思うけど、そこはアンタの腕で証明してみなさい。」


 そこまで一気に言ったソニアは一旦息を吐いて、座ってた椅子から立ち上がって俺の作品の前の椅子に座り直し


「それじゃ、性能検査をするわね。・・・・試にアンタが思う、今の残りの材料で出来る物をレシピを含めて教えなさい。それを私が出来たら合格よ。これはアンタの、レベルに対する認識の確認も兼ねてるわ。アンタが知ってる知識は何処か古い物中心の様な気がする。だから、その誤差を自分の感覚で修正してから教えてくれればいいわ。・・・どう?」


 そう言う事ならソニアにアクセサリーを作らせるか。

 簡単なアクセサリーなら、誰が作っても性能は変わらんし、誰でも簡単な工程で作れるから、性能試験にはピッタリだ。


「・・なら、そこのガーゴイルの爪をミキサーに掛けて、粉々にした粉末を炉に掛けて型に填めて直ぐに取り出して魔力を持ったガラスにしろ。型は備え付けてある型版を使え。そして、グレイウルフの牙を同じようにして炉に掛けて型に填めてから、ガラスにした物を填め込んで6級の鑑定用簡易モノクルの完成だ。お前らの基準が分からんが、俺基準で言えば初級の製品はこれがあれば全て鑑定できるはずだ。魔力量も一定の吸収率だしな?・・言って置くが、作る難易度的にはこれは一応の手順を踏めば誰にでも出来る事だからな。そして、出来栄えも魔力の篭め方に由っての生じる、『劣化品』、『普通』『少しいい』の三種類しかない物だ。・・あ、魔力の篭めるタイミングは、それぞれ型に流し込む段階だ。・・・けど、良い材料が無いから確実に魔力に補正が付いたりするような魔道具は出来んぞ?、幾ら俺でもな?ま、御託はいいか。・・・では、やってみろ。」

「はい、先生!」


 何か変な呼ばれ方だが、教えるのだから先生は普通か?


「・・え・・っと、ガーゴイルの爪を・・。」


 ガリリィーー!


「あと、炉に掛けて・・・」


 ボォーー!


「型に填めながら魔力を流す・・・」


 ドロドロ・・・


「よし、ガラスの完成!・・これでいいのよね?」

「ああ。後はグレイウルフの牙を型に取って外枠を作ってガラスを填めれば完成だ。」

「・・・よし。・・牙を粉々にして・・・」


 ガリリィー・・・


「炉に掛けて・・・」


 ボォーー!


「型に填めながら魔力を流す・・・」


 ドロドロ…


「後はガラスを・・」


 ガコッ!


「やった!出来たわ!・・・これでいいんでしょ?」


 ソニアが鑑定用簡易モノクルを俺に見せながら聞く。


「ああ、其れで出来てるか自分のレベルを確認してみろ。・・・俺のはその程度の品質の魔道具では視れんと思うからな?」

「・・・は?」


 俺の言葉が意外だったのだろうか?

 ソニアがまた微妙な顔で固まった。


「普通の初級の製品を見れる鑑定アイテムで視れないって事は、アンタの現実での製作師としてのレベルは少なくとも中級の上位階位は有るって事?・・・確かに、私が鑑定用アイテムを作って一発で成功する位のレベルの魔道炉を作れるんだから、中級は確実にあると思ったけど、通常の鑑定用アイテムで測れない位のレベルだったなんて・・・・。っていうか、一応の性能確認はしてみるわね?」


 おいおい、このレベルの鑑定アイテムを作るのに、失敗がある生徒が優秀な部類なのか?

 余程の事じゃ無いと失敗しない物の筈だぞ?


 それに、初級から中級、上級の差も分からんし、プロとアマの違いも分からん。

 これは、変に思われそうだが、聞いてみないとだめだな。

 ま、性能テストの後でもいいが。

 そして、ソニアが自分の手を見ながら、暫し驚愕した表情をして、直ぐに俺に向き直った。


「ねぇ、アンタのこの炉を使えば、皆同じように出来るの?」

「?・・そんなの当たり前じゃないか?流す魔力は一定以上は入らない、普通の鑑定アイテムなんだから。使用者の実力に依るのは三段階の出来栄え位だ。魔力が少ない奴は劣化品に成る可能性もあるが、そんな奴が優秀な訳がないからな。大抵の奴なら出来て当たり前だ。」


 そう言ってやったら、ソニアが叫んだ。


「当たり前じゃないわよ!こんな、流す魔力が一切零れない製作品を作る炉なんて、うちに置いてある物くらいしか今まで見たこと無いわ!」


 ああ、そう言う事か。


「それはお前らが普段使う炉の性能の所為だろう。恐らくお前の家に置いてるのはこれと同じかもう一段上の物なんだろう。俺からすればこの炉が普通だが、お前のさっきの話なら殆どの奴はもう2段下の品粗悪品を使ってるからな。」


 それから俺はこのバスルームに置いてある簡易炉に目を向けると


「今も言ったが、俺の知識では、そこの炉なんかは粗悪品だ。悪いことは言わんから、今後は最低でもその俺が作った炉を使え。そうすれば出来る事の幅も広がる。」


 よし、いう事は云ったな。

 そしてどうやら性能実験が無事合格に終わったようだったので先程の疑問を聞いてみるか


「なあ、そのブレインワールドってのは現実とレベルがリンクしてるのか?それとも単純に足し算か?」


 まだ信じられんのか、不承不承と言った感じで答えてくる。


「・・・学生はブレインワールドの経験をリアルに持ち込めるって所。死なない代わりにね?まあ、中にはリアルを重視せずにブレインワールドにばかり行って、その成績を自慢する者も多いけどね?学園を卒業して、それぞれに活躍してる人は一々ブレインワールドには入らずに普通の遺跡や天空の塔の攻略に行くわね。その方が実際に経験に成るし、材料も良い物が手に入るしね。あと、材料に関しては、ブレインワールドで獲得した材料は、全て1割が所属の国家や学園に保存される。それがそれぞれのポイントとしてお金に成るわ。」


 ほう・・・

 なら俺はコイツに一時的にでも雇われた方が良いのか?

 いや、材料が一割取られるのが一緒ならどちらでも同じか?


「俺はどちらの「アンタは私の専属に決まってるでしょ。これだけ有能な奴を手放すなんて有りえないし、唯で裸を見た分はキッチリ長期の休みの時に、家の方でこき使ってやるから。・・・そうだ。」

「?なんだ?」


 ソニアがイキナリ何かを思い出した様だ。


「アンタ、姿隠しの魔道具か性別転換の魔道具ってある?伝説ではそう言う魔道具が昔有ったって話だけど。」

「おう、あるぞ?要るのか?」

「ええ、この寮から学園に行くときのゲートに2回性別検査の魔道具が仕掛けられてて、男が女子寮に入るのを防いでるんだけど、学園の優秀な生徒に対する救済措置で、さっき言った二つの魔道具か魔法を使える魔道士か魔法士には、男でも通り抜けられるようになってるのよ。・・・・今まではそんな奴は皆無だった様で、いい加減無駄だと思ってる職員ばかりだけどね?それでも一応のセキュリティー万全を売り文句にしてる学生寮だから。・・・よっと」


 ?椅子から立ち上がったけど、何をするんだ。

 ・・・と思ったら出入り口のような場所の近くにある呼び出し用であろう魔道具を押そうとして


「今から私が一応の説明はするけど、さっき言った特殊な条件付きって言うのはそう言う事。先ずは今からリビングの監視魔道カメラにアンタの姿を確認させて、ここから学園までの間で誰からも男が私の傍にいると思われなければ、お父様、お母様、カイルお兄様、リーナお姉さま、ターニャの家族全員に説明して私とアンタの同居を認めて貰う。一緒に寝るのは論外だけど、アンタなら材料さえあれば寝具の一つや二つ簡単に作れるでしょ?」


 まあな、俺に掛かれば朝飯後だ。


「一つの屋根の下で暮らすだけならそこまで文句を言う人は私の家族には居ないから、家族に認められれば条件はほぼクリアできるわ。」


 おー、それは良いな。

 俺もこんな美少女と同居できると言うなら、少し興味がある。

 家の妹も可愛いが、家族と他人は感覚が違うからな。

 やる気も出ると言う物だ。


「・・なら、今から説明するわね?」

「お、おう!どんと来い!」

「ふふっ、なあに?それ。今から結婚を申し込む旦那様じゃないんだから、普通にしてればいいのよ。どうせ魔道具で女に成って向こうまで行くまでの辛抱なんだから。」


 こいつ、分かって言ってんのか?

 相変わらず外見だけは良いから、洗練された笑い方になって少しだけドキッとしたが、正体が知れてれば少し怖いな。

 もう騙されない様にしなければ・・・。


「それじゃ、今度こそね。」

「おう!」


 それから、ソニアが呼び出しボタンを押した。


 ポチッ!


 一秒後・・


『はい、管理人室。用件は何ですか?ソニア一年生。』


 

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