異世界への門を創生した少年
取りあえず、話を書き溜めるまで週一で幾つもりです。
「ふっふっふ・・・。やっとだ。やっと俺の研究の成果が実った。・・・長谷部、長谷部は居るか!?」
俺の問いに執事型魔道人形が音もなく現れる。
「お呼びですかな?坊ちゃん。今日は旦那様による稽古は無いそうですから、何処かへ行っても誰も気にしません、気兼ねなく行ってらっしゃいませ。」
「おう、スマンな。スマン序にこの出来たばかりの魔道具の管理を頼む。ウッカリ誰かが閉じない様に見張っててくれ。後は最低限の設定をやるだけだ。俺も初の試みだから、思い通りの場所に開くかは分からん。場合に由ればすぐさま戻ってくる必要がある。」
「畏まりました。お気を付けて。」
執事の言葉に「うむ!」とにっこりと頷いた俺だが、少しして時間の確認もする必要があると思い、執事に太陽電池式の腕時計と、魔道具『キッカリクン』空間から取り出して貰う事にする。
「長谷部、お前の『腹倉庫』から太陽電池式の腕時計とキッカリクンを出してくれ。それと、俺が行った後から、帰るまでの間の時間を計っておいてくれ。時間軸の誤差を知りたい。」
「畏まりました。」
執事がそう言うと、自らの「機械仕掛け」の腹を開き、その中に収納していた太陽電池式の腕時計と、魔道具『キッカリクン』を取だし、主である少年へと渡す。
そして俺は受け取った品を、自分の収納魔法にて、異次元空間へと送る。
そして、自作異世界『ファミリア』の時間軸設定を俺がこちらにいる場合で此方の一年が向こうの一日に相当に設定し、逆に俺が向こうにいる場合は、向こうでの一年が此方での一日に成るように設定する。
他にも俺以外のゲート使用者条件を、向こうで俺が関係を持った者だけに設定する。
幾らなんでも魔法の必要性を最大限に設定した世界で、魔法が無くなったという事は無いだろう。
世界神も俺にはしたが、行く予定の世界は、俺が設定した約5000年後の世界だ。
これは、俺の飽き性の問題だな。
俺は先が見えたゲームに飽きるのが早いからな。
ゲームの未来を予想できるゲーム程、糞げーな物は無い。
魔法が使われていなかった頃の世界ではVRMMOとかの最新技術でのバーチャルリアリティーゲームが話題となったが、今の魔法至上主義と言えるほど魔法が盛んな世の中では、どんなゲームにも興奮出来ない。
だから、俺は自分の特殊魔道という稀有の才能を利用した、自作異世界創生を長い間研究して来たんだ。そして、今日、それも完成した。
さあ、これで準備は整った。
後はこの異世界が俺にどんなワクワクを与えてくれるかを期待するのみだ。
この世界にこのまま居たのでは、俺は親父に言い様に使われるだけだ。
その癖俺が攻撃用の魔法が使えないだけで気が狂ったように俺を稽古と称して魔法の実験台にしてくる。
それが無けりゃ-俺も少しは今と違った生活が出来てた筈なんだ。
(ま、こんなことを考えていても仕方ない・・・・)
「じゃーな、長谷部。もし俺の魔力の供給が途絶えたらこの魔道具の魔力蓄積パックに手を入れれば、最大一年間は大丈夫な筈だ。・・・もしもの場合は親父には旅に出たと言ってくれ。」
「・・・何故その様な話を?坊ちゃんの研究は細心の注意を払って完成させた物。その様な万一の状況は無いでしょう。」
「甘いな、長谷部。何事もハプニングがあるからこそ面白いのだろう?その事を俺の魔道具たるお前が解からなくて、誰が解かるんだ?」
「・・!これは失礼しました。それでは、面白い旅に成ることをお祈りしております。」
「おう。もしかしたら、お前の後輩を作れる可能性もあるからな。そう言う設定にはしたし、余程のトラブルが無い限りはこの世界ではもう手に入らない物も数多く手に入る事だろう。」
「はい、期待しております。」
「おう!」
俺は執事にそう言って、魔道具『異次元ゲート発生君』に体ごと飛び込み、それからは一方的に引っ張られる形で異世界へと旅立った。
その主の背を見送った執事の目の先にはホログラムで表示された異空間の扉の前にデカデカと次の言葉が記されていた。
NOW.PREING・・・と