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タマちゃん育成記  作者: イムルマ
第2章 初めてのおつかいです。
18/18

5日目 今日は一日街で

【5日目】


 ――?


 気が付いたら、知らない場所にいました。マル。


 『暗視能力』があるから、今の状況。暗闇でも問題なく見ることはできるけど――


 ――マジでココ、ドコだ?


 えっと……【狂王熊】を仕留めて――そこからの記憶がない!

 誰かと話したような気がするけど、何でこんなところにいるのかが分からない。


今いるのは、普通の寝室。部屋のグレードとしては、“大熊亭”の部屋と大差ないようだけど……


 一瞬、とあることが脳裏を過ぎった。


 もしかして――“大熊亭”に泊まったのが、フラグになっていた!? 【狂王熊】遭遇の!


 ――な、ワケないか。もしそうなら、“大熊亭”の客全員が【狂王熊】に遭遇して死に絶えてるって。

 

 思った以上に頭が働いていないみたいだ。

 思考がこう――ぐるぐると回っている。

 取り敢えず落ち着こうと、閉まっている木製の窓を開けた。その瞬間、ヒンヤリとした風が流れ込んできた。

 窓から見える景色は普通の街並み。ただし、真っ暗。

 今が何時頃か――そのそも時計なんか存在していないけど――さっぱり分からない。

 

 ヒンヤリとした風を浴びた為か、思考がはっきりとしてきた。

 落ち着いてから改めて部屋を見回してみたら、テーブルの上に持っていた荷物一式、“ボクサツ丸”は壁に立て掛けてある。ついでに着ていたコートも壁に掛けられている。

 

 えっと……

 ――ここはウルティアの街。ほぼ確定!

 ――今は夜。気を失った日の。多分!

 ――この部屋は宿屋の一室。多分!

 ――たまたま通りかかった人に運ばれてきた。多分!

 ――道具一式がそのままになっているから、悪人ではないとは思う。多分!


 多分が多すぎるけど、判断材料がないから仕方がない。

 大丈夫だとは思うけど、心配しすぎる位で丁度いいって教え込まれているし。

 えっと……何だったけ?

 たしか――現実は想像の斜め上を行く――だったか?


 万が一の時のための逃げ道は確保した。

 後は――今の状況を――!


 扉の先に、人の気配!

 対応は状況次第だけど、万が一。ということも考えられる。


 咄嗟に“ボクサツ丸”を手にし、構えた――


 ・

 ・

 ・


 部屋の中に何人もの笑い声が響く。

 その中でオレは――取り敢えず、ひたすらに平謝りをしていた。


 時間的には夜明け前。

 目が覚めてからまだあまり経過はしていない。

 それだけ疲労しきっていたらしい。


 まぁそれは置いておいて。

 扉を前に身構える前に現れたのは、この部屋にもいる悪人顔のオッサン。

 思わず攻撃を仕掛け――余裕で避けられた。距離を置いたオレに、オッサンの後ろから顔見知り――巨漢さんが出てきたことで、勘違いだと分かった。


 そして今に至る――


 ――いや、ホント。スミマセン。

 命の恩人に。顔だけで判断して攻撃なんてして。


 思わず発してしまった言葉に、1名を除き大爆笑。失言と気付いてフォローしていったのだけど、その度に笑い声は大きくなっていった。何故に?


 一部が宴会みたいなノリになっているが、それは置いておいて。料理はあるけどアルコールは出ていないみたいだから、場ノリみたいなものだろうし。

 宿屋と思っていたここは、実は冒険者ギルドの一室。

 【狂王熊】の死骸の前で倒れていたオレを、とりあず街まで運び――拠点としている宿が分からなかったから、どうしようかと話していたら、ギルドがこの部屋を貸してくれたらしい。ちなみに今いる部屋を含め、普段は使用していないが他所からくるギルド関係者用に用意している部屋だとか。

 他に宿泊客もいないからこそ、こんな時間に騒いでも問題にならないのだけど。

 

 そんなわけで一部は大盛り上りなこの部屋。メンツはB級とC級上位の冒険者しかいないけど。後は料理を作ってくれたギルドの職員さん。

 アネさんが何故か抱きついてきているがそれは無視して――ユウ姉で慣れているし。

 

 巨漢さんに取ってもらったおかずをパクついていたら、職員さんから冒険者カードが差し出された。

 何故――と思ったが、よく見てみるとオレ名前が刻まれたカード。しかし何故か刻まれたランクがFからDに上がっていた。

 そしてカードと一緒に革袋も。断って中を見てみると大きさの異なる銀貨が何枚か。大1枚、中1枚、小2枚――って、おいおい。かなりの大金だけど――どうしてこれをオレに?


 ちなみに渡された銀貨。小さいもの1枚だけでも一般人の平均月収を上回るとだけ言っておく。


 理由は――言うまでもないかもしれないけど、受けていた薬草取りの依頼と【狂王熊】討伐の緊急依頼の報奨に、【狂王熊】の肉の売上金、ついでに【ハニー・ガード】の針と蜜の売上金。

 運搬費とかはもらったから、気にせずに受け取っとけと言われたけど――いいのか? ベテラン差し置いて――

 ――そのベテランが言ってるのだから、気にしないでおこ……

 

 しっかし……他人の目が気になるなんて、何だかんだあっても日本人気質って消えないんだなぁ~

 オレだけかもしれないけど。


 ・

 ・

 ・


 宿に前払いしているのは1週間分。

 何故か1回で目標も達成してしまったし――家に帰ろうかなぁ~。

 そのためにも、ここに来た目的を果たさないと。


 えっと、本に酒に調味料。お菓子は作ってもらって、肉は狩ればいいし。新しい工具も自分で作るだろうから、鉱石類――かな。


 というワケで、今日は土産探しだ!


 何だかんだで弐の鐘が鳴る頃には自然と宴会はお開きとなり、それぞれ部屋から出て行った。

 片付けはギルドの職員さんがやるからとやんわりと手伝いを断られたので、他の人達と一緒に部屋を出た。

 一度宿に戻ろうかとも思ったが――折角冒険者ギルドにいるのだから、目的を1つ片付けようと思い直し、たまたま近くを通っていた人に声を掛け、案内をお願いした。


 そうしてやっていたのが、ここ。冒険者ギルド2階の奥まった場所にある部屋。

 高価なガラスをはめ込まれた窓からは、だいぶ高い場所に昇った陽の光が差し込んできている。かなりの広さのある部屋に、いくつもの本棚がいくつも建っている。


 冒険者ギルド有する図書館。

 

 主に吟遊詩人が使用する場所。冒険者の冒険譚をギルドが買取り、編集し、有料でこの場所で公開する。庶民の娯楽を求める声によってシステム化していき、現状の状態になったらしい。

 ちなみに、引退者の小遣い稼ぎで本の書写をしているので気に入った物語を購入することも可能だったりする。

 印刷技術が発達していないため、本屋というものもなく。一般庶民が物語本に触れられる数少ない場所となっているらしい。パッと見、他に利用者はいなさそうだけど。


 取り敢えずここで本を。日向で書写をしていた人に聞いて分かった、ココ1年程で入荷されたものを幾つか選んでおいた。これでホネ兄用のはOK。


 ・

 ・

 ・


 アオ姉の酒、ユウ姉の調味料は市場で。ゲン爺への鉱石は昨日の怪しい店で手に入れて。何だかんだで買い食いもしながら探していたから、夕方になっていた。

 

 そして今は――

 何故か再開したアネさん達に誘われて、食事中。

 呼ばれた理由はさっぱり分からないけど――取り敢えず、しっかりと食おう、そうしよう!






【デル・オーシャンステークス】


 ――イラつく!


 一緒にいるフェルマンにも、そんな俺のイラつきを感じ取っているらしく、表情にはあまり出ていないが、それでもどこか居心地が悪そうにしている――が、そんな事関係ない!


 イラつくもんはイラつくんだ!

 

もうすでに昨日のこと。嬢ちゃんが仕留めた【狂王熊】。

 力を使い果たして寝てしまった嬢ちゃんは当然のコト、【狂王熊】もほっとくわけにはいかない。もったいなし。

 ただ臨時依頼で集まったメンバーだけで街まで運ぶのは無理があったから、足の速い奴にひとっ走りしてもらって、応援を呼んできてもらった。

 荷台と一緒に兵士を連れてきてもらい、死骸と――待ち時間、暇つぶし的に採取した【ハニー・ガード】の針と巣を乗せ、街まで運ぶ。

 街の住人には極秘扱いだったが、警戒体勢となっていたのだ。兵士に狩った実際の場所も含め確認してもらった方が、後の説明が楽になる。

 

 だからここまでは問題はなかった。

 あったのは――街に着いてから!


 【狂王熊】の死骸を見えないようにカバーをかぶせて街まで運び、兵士詰所に一旦置いて、ギルドへ報告。

 寝続けている嬢ちゃんをギルドに預け、一旦は以来終了。

 毛皮とか肉の取り分は嬢ちゃんにあるから、起きてから肉を少し分けてもらえればいいかな~なんて考えていた。


 どこぞのオ貴族サマがシャシャリ出てくるまでは!


 本人ではなく、側近らしいがいきなり現れたかと思えば、こっちを完全に見下した態度。そして、「【狂王熊】を差し出せ」の一言。

 

 「フザケるな! 」と叫ばなかった自分を褒めてやりたい。いや、マジで。

 他の奴ら――兵士も含め、険悪な空気を醸し出していたが。


 そもそも、俺みたいな重装備の盾持ちならともかく、嬢ちゃんみたいな軽装備のスピード勝負の奴らにとっては、【狂王熊】の毛皮なんて何においても得難い防具なんだ! 軽いし丈夫だし!


 それを、いきなり出てきて寄越せだぁ!

 

 ――あぁ、思い出しただけで腹が立つ!


 結局ギルド長が出てきてとりなしているけど。温厚で知られるギルド長がボソッと「バカ三男坊が」なんて漏らしていたから、相当な奴なんだろう。


 取り敢えず、嬢ちゃんの方にはこのことは出来るだけ秘密にしておくという方向性できまった。先に毛皮代や肉代を含めた額を渡しておいて、後はギルド長の交渉次第。

 上手く取り返せたら、先に払った額は迷惑料として。ダメでも、相場以上にふっかけてやると、燃えていた。

 まぁ、下手なことを言って幼い子に嫌な世界を教える必要は、まだないか。


 怪我はしていないようだが、目を覚まさない嬢ちゃんを今も各自仮眠を取りながら交代で看病――つうか、寝顔の確認をしている。ま、役得ってやつかな? 幼女には興味はないが!


 何故かティアナ嬢ちゃんが一番テンション高かったが――それは置いておいて。


 ギルドに任せても良かったのだが、【狂王熊】を1人で狩った猛者だ。見た目とのギャップはあるが、やはり気になる。だから交代で看病し、目が覚めたら情報交換――と勧誘を。抜けがけ防止の為、という方が理由としては大きいけどな。


 ――こんな不機嫌な顔、嬢ちゃんに見せるわけにはいかないな。


 嬢ちゃんが眠っている部屋の前。起きているかどうかは分からなが、顔を軽く叩いて意識を切り替える。そしてノブを回し――


 目を覚まし、何故か身構えてた嬢ちゃんに、攻撃を仕掛けられた!


 














思いついたままに付け加えてみました。


後1~2話ぐらいでこの章も締めくくれるかと思います。




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