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タマちゃん育成記  作者: イムルマ
第2章 初めてのおつかいです。
15/18

1日目~ いざ、出かけましょう!

【1日目】


 ――よし!


 出発の朝。昨日まとめた荷物を確認し、掛け声と共に背負う。

 武器その他小物もOK。


 ちなみに装備は、メインにゲン爺作の大体オレと同じぐらいの大きさの金属製の棒“ボクサツ丸”とサブに同じくゲン爺作の小刀数本。ちなみにホネ兄達が使っている武具と同じ素材を使っている。

 “ボクサツ丸”は荷物の邪魔にならなように括りつけている紐を使って肩に担ぎ、小刀はベルトに差す。

 クーちゃんの糸を編み上げた服に、ウルの毛を集めて紡いで作ったフード付きのコート。見事なまでに白づくめな格好になったなぁ。


 ――って、ユウ姉!

 ハンカチもったかって、子供じゃないんだから!

 

 ――え?

 変なのに引っかかるって?

 一応この体無性体だぞ。誰がそんなのに――って、ユウ姉。可愛いって、この顔のモデル、ユウ姉だぞ! 自画自賛か――って、何で皆頷く!?

 あぁもう! 分かった――分かったよ!

 極力フードを深くかぶっとくよ! それでいいんだろ!

 

 なんか……出発前から滅茶苦茶疲れたぁ……


 ・


 気を取り直して――なおも心配してくるユウ姉を押さえておもらって、いざ出発!

 

 森の淵まで見送りに来てくれた――ホネ兄達が持っていた『陽光虚弱』『陽光恐怖』は『進化』によって『陽光嫌悪』になっているので、昼間の移動も一応可能になっている――皆に手を振って、草原へと足を踏み出した。

 

 決壊したダムの如く涙を流すユウ姉は見なかったことにしよ――

 何も今生の別れなわけじゃないのに。

 そもそもオレの本体はあくまで書斎にある。この体は端末のようなもの。体は無理だけど、精神だけなら自由に行き来できるっていうのに……


 ・


 森を出てからしばらく経って――

 腰や胸の高さまであるような草をかき分けながら進むと、ようやく開けた場所――街道に出た。もっとも街道と言っても、馬車とかで踏み固めたれているだけの道。

 一番魔物に遭遇しやすい箇所を何の問題もなく抜けることができたみたいだ。


 ――えっと、街は――こっちだな。うん。


 何ども聞いていたけど、念のため近隣の地図を取り出し、確認してからそっちの方へとオレは足を進めた。


 ・


 さて――ここまで来るまで、普通の人間ならかなりの時間と労力を使うのだが――

 流石はこの体。全く問題ない!


 体を作るにあたってメインに使ったのは【オーガ】の体。試行錯誤の後、意思等は持たすことはできないけれども、生み出す際に魔物の外見上の特徴等を多少は混ぜ、また容姿も弄れる様になった。魔力は相当に使うけど……

 で、『図鑑』確認時に魔力を多く注ぎ通常よりも強力な【オーガ】を作り、その上で体を圧縮し外見を整えて生み出したのがこの体!

 ――何度も男の体――筋肉隆々の男からイケメン風優男等を作って、オレの体にしようとした! なのに。なのに!

 アオ姉とユウ姉にムサクルシイと却下を喰らい、生み出すたびに粉砕されていった。

 そして結果――何度も粉砕されて、キレたら逆ギレされて、今の体――見た目はユウ姉を幼くしたようなモノになった。

 女の子にされそうになったので、流石にそれは断固として――半分泣くように断って――結局無性体となった。


 そんなワケで、高性能剛力外見美少女となってしまったというわけだ。断じてオレの趣味じゃない!


 まぁ、高性能なのは他にも、体を動かすために入れている【ブラッド・スライム】も強力なものを入れている。そのままでは洞窟の外に出ることができないから、これまた試行錯誤の後作れるようになった、本体との意識の行き来の仲立ちをする宝玉を体の中に埋め込んでいる。またこれまた色々やって『毒耐性』や『火属性耐性』を習得しているし、戦闘訓練で動きを体に叩き込んでいる。

 

 作るのに時間と労力がかかりすぎるため、予備なんて作ってない。乗り換えるとしたら修復不可能なダメージを受けた時のみだ。

 何だかんだで数ヶ月。この体で活動しているから、今更変更する気もない、という理由もあったりする。――もう一度言っておく! 外見はオレの趣味じゃない!


 以上どうでもいい解説終了!


 ・


 通常、1番近くの街――ホネ兄とアオ姉がかつて拠点としていたウルティアの街まで大体順調に行って徒歩で3日。

 これは、夜の移動は危険なため、キリのいいところで移動をやめる為。

 一方オレは基礎体力もあるし夜目もきく。草原、街道の長時間移動は初めてだが、夜の森には慣れている。


 日差しは少し強いが、風が適度に吹いて体の熱をとってくれる。

 天気は良好。ホネ兄のお墨付きもあることだし、行けるところまで進んでおこう!




【2日目】


 夜になり、適当な岩に腰掛けて一睡し――

 夜明けとともに歩き始め、今はだいたい昼時。


 今、オレは馬車の荷台の上で揺られてた。最も、引いているのはロバだけど。


 ――荷台に乗るなんて初めてだけど、思ったより気持ちいいものなんだなぁ~


 幌の張っていない馬車。積まれた小麦の袋に背をあずけ、ぼぉーと唯空を眺める。これが何日も続くようなら流石に飽きるとは思うが、御者の人は夕方位にはウルティアに到着するって言ってくれている。

 

 何で荷馬車になんて乗っているのかって?

 

 大分周りの草の背丈が低くなったなぁ、とか思いながら歩いてい時。道の分岐路付近で【ハウンド・ドッグ】の群れに襲われていたこの馬車に出くわした。

 

 たかが【ハウンド・ドック】と言うなかれ。一般人にとっては立派な魔物。恐怖を覚えるのも当然だろうし対抗策なんて無いだろう。

 追い払った後、顔から流れるもの全てを流しながら礼を言われたのには流石に引いたけど。

 

 オレとしてはそれだけで十分だったのだけど、是非ともお礼を――と言い張り断りきれないままこうして今は荷台の上で唯揺られているというワケだ。


 御者の青年――え……っと、名前なんて言ったけ? 確かに聞いたはずなんだけど――はおしゃべり好きな性格らしく、色々話しかけてきてくれた。

 早くて聞き取るだけで精一杯だったけど――

 それでも、今のウルティアの様子を聞くと色々と教えてくれた。

 ホネ兄、アオ姉からの情報と同じことがほとんどだったけど、最新に近い情報だ。とてもありがたい。1年前の情報だけど、まだまだ役に立ちそうだ。

 

 ・

 ・

 ・


 荷馬車に揺られること早数時間。

 暖かな陽射しと心地よい振動に揺られ、いつの間にか眠っていたみたいだ。特別睡眠を必要としない人たちに寝込みを襲われての戦闘という訓練も何度も受けているから、いざという時にも問題はないし、その為に移動中とは言え気が抜けていたみたいだ。


 御者くんに声を掛けられて目が覚めた。そして荷馬車の前方へと視線を移すと、巨大な城壁が目に入ってきた。

 

 ウルティアの街の城壁。人口数万程の街には不釣合なほどの大きさの城壁だが、これは、ウルティアが国境付近にあることが理由として挙げられる。隣国との戦争となった場合にはここが前線基地の役割を果たすことになるためだ。その為、リグレリシア王国の正規軍も他の街よりも多く駐在しているのだとか。

 

 それ以外は他の街と大きな違いもなく、これといって特色のない街なのだとか。

 城門に目を奪われていたオレに対し再び話出した御者くんから説明された。

 もしかした寝ていた間も話しかけてきていたのかもしれないけど。

 

 そんな車上の様子は関係なく、馬車はのんびりと城門へと進んでいった。


 ・


 何の問題もなく門も通行できた。最初は通行料とか取られるのかと思っていたのだけど、そんなことはなく。簡単な質疑応答で終わった。

 ――フードをかぶったままだと怪しまれたのでこの時は外したが、その瞬間に何故か御者くんや応対してくれていた兵士が固まっていたけど、何故だろう?


 そして城門を抜けると――そこにはレンガ造りの街並みが広がっていた。

 その光景はまるで――実物は当然ながら見たことないが、ヨーロッパの古い街並みのよう!

傍目から見たらものすごいおのぼりさんに見えたことだろう。我に返って振り返ったら、御者くんが微笑ましいモノを見るかのように見てきていた。うぅ……恥ずかしぃ……


 まぁそんなこんなで街に到着!

 ここで御者くんとはお別れだ。挨拶を交わした後、御者くんは城壁沿いに、オレは街中央に向かって歩き出した。


 目的地は冒険者ギルド!

 基本昼夜問わず緊急事態に備えて開いてはいるみたいだけど一般的な受付は大体日没までとのこと。時間的に――スゴく微妙――

 今日のところは諦めて宿に行くことにしよ。


 今いるのはウルティアの北門。冒険者ギルドは街中央部――貴族の屋敷が立ち並ぶ場所の北側寄りの端にあるとのこと。そして新しい目的地――冒険者向け宿屋“大熊亭”は街の北側、商業地区に在るらしい。ちなみに、街の南側には工房が多く、東側と西側は住宅街となっている。


 地図を片手に――屋台から漂う焼ける肉の匂いやらの誘惑にひたすら耐えて……耐え切れずに串焼きを1つ買って、頬張りながら歩くことしばし。宿屋のマークと共にデカデカと“大熊亭”と看板を掲げた建家に到着した。


 正直――草原を歩いているより門からここまで来るまでの方が疲れた。

 約1年ぶりの人ごみ。適度に賑わっている、といった人の数だったけど、何か疲れた。ものスゴく。


 今日のところは休もう――と、“大熊亭”の扉を開けた。

 出迎えてくれた女の子に1週間分の宿泊代を払い、案内された部屋に荷物を置く。

 床が軋んだ様な気がするのは気のせいだろう。ウン。

 タイミング良く頼んでいたお湯が届いたので、それで体を拭き、旅の汚れを落とす。

 

 防刃性に優れ、さらに汚れに強く防臭効果もあるという服。肌着も同じ素材だけど、下着だけ変えて服は同じモノを着る。さっぱり感があまりないけど、こればっかりは仕方がない。


 ――このまま寝てもいいのだけど。飯だけは食っておこ。

 

 このままベットにダイブする。そんなそのまま眠りに落ちる――

 それもいいかと思ったけど、やっぱり街も見ておきたい!


 食堂はこの宿にもあるらしいけど――

 そう思いながらフードをかぶり部屋の外、そして受付へ。


 さてどうするか――?

 ここで食べてでかけるか、それとも外で適当に食べるか?


 受付前でそんなことを考えていると、突然名前を呼ばれた。

 

 はて? ここに知り合いなって――


 声の主の方を見てみると――うっすらと残るスバカスが特徴的な人懐こそうな青年と熊がいた。否、熊のような髭面の大男。 

 

 ――おお、御者くんと――誰?


 聞きてみるとどうやら、この熊は御者くんの務める商店の上司――というか、店長らしい。見えない! 見た目はどこぞの野盗だよ。目元の刀傷が物々しいです。ハイ。


 ――でも何故上司といっしょに?


 その質問をする前に御者くんが言葉を紡いだ。

 何でも、助けてくれたお礼に、せめて食事だけでも――とのこと。もちろん代金は御者くん持ちで。


 断る理由もないし、お言葉に甘えようか。

 さぁ、一杯食べて明日に備えよう!






【エリック・サースト】


 死ぬかと思ったッス。


 いや本当に。今そのことを店長に報告しているッスけど、本当に運がよかったッス。


 魔物の目撃情報は今までも聞いてたッス。だけど、まさか襲われるとは思ってなかったッス。

 狼の群れに襲われた時はもうダメかと思ったッス。だけど、サッソウと現れたタマさんに助けられたッス。

 あの時のタマさんは格好よかったッス!

 荷物を放り出して、長い棒で群れを難なく叩きのけてたッス! スゴイッス!

 襲いかかる狼を、天高く吹き飛ばすその姿! まるで詩人の詠う英雄譚の一節みたいだったッス。

 

 お礼に荷台に乗ってもらったッスけど、それも約得だったッス! ず~っとフードを被ってたから分からなかったスけど、門のところで顔を見ることができたッス。美人でしたッス! まるでどこかのお姫様みたいだったッス! 兵隊さんも見惚れてたッスから!


 あ、そういえば後でまたお礼に行かないといけないッス。

 店長もいつも「礼には礼で返せ」って言ってるッスし。


「――で、だ」


 報告したところで店長の口元がニィと迫力のある笑みの形に――


「そこまでの美人か?」

「ハイッス! 」


 もちろん即答ッス!

 

 ・

 ・

 ・


 “踊る酒樽亭”――

 安くてウマい、が売りの食堂兼酒場。

 いつものように満席のテーブルの1つ。横には店長、正面にはタマさんが座っているッス。

 どこかのお姫様のような美人――というのに反応して店長もついて来たッス。

 “大熊亭”で声を掛けた時、顔はフードで隠れていたッスが、警戒されていたみたいッスけど。店長、見た目スゴイッスからねぇ~って、イタッ!

 いきなり横腹に衝撃が走ったッス!

 ――店長、オレ何かしたッスか?


「しかし、本当にありがとよ。

 あんたのお蔭でこいつもウチの荷物も無事だった」

「……いい。

 たまたま……そこにいただけ。当然のこと……」


 昼間にも思っていたッスが、やっぱりタマさん、話すの苦手みたいッスね。

 店長の言葉に対してもたどたどしいッスから。

 ただ、そんなタマさんの反応に、店長が豪快に笑い出したッス。気に入ったんッスね。「俺の奢りだ、ジャンジャン食ってくれ」とか言ってるッスし。

 

 そして店長がウエイトレスのクレアちゃんに注文してほどなく、多くの料理が運ばれてきたッス。ただ多すぎるッス。食べれるッスかね、これ?

 熊のような店長はともかく、オレとタマさんの体格も考えて欲しいッス。

 あ、ちなみにタマさん、クレアちゃんの疑うような視線に気付いたみたいで、今はフードをとってるッス。やっぱりキレイッスねぇ。


「それじゃあ、食おうか! 遠慮せずに食ってくれ! 」

「…………いただきます……」


 豪快な店長の掛け声で食事が始まったッス。

 タマさんは何だか不思議なお祈りをしていたッスが。


 ・


 店長とオレはエールを飲みながら、タマさんはお酒はいらないって言っていたッスから黙々と、時たまオレ達に合いの手を入れてくれながらも食べ進めて――

 あれだけあった料理もほとんどなくなったッス。食べきれるものッスね~。


「……スミマセン……これ、おかわり」


 え?

 タマさんが空いた皿を、近くを通ったウエイターに差し出したッス。

 あれ? タマさんも結構食べてたッスよね?

 これもあれもと追加注文しているッスが……


「おいおい、嬢ちゃん。そんなに食えるのか?」

「まだまだ……平気」


 ・


 言葉に偽りはなかったッス。

 どんどん運ばれてくる料理に、空になり積み上がる皿。終いには他の客から歓声やおひねりが飛んできてるッス。


 それと比例して店長の顔色は悪くなっていってるッス。

 いくら安いと言っても、量が多くなれば当然値段は高くなるッス。そしておごると言った手前、撤回することはできないッス。特に店長は。


 ――結局――

 顔馴染みの“踊る酒樽亭”の料理人兼店長のオッチャンが「材料なくなりました――」と言いながらやってきて、タマさんとの食事は終わったッス。


 食いに食ったり――何人分?

 分からないけど、スゴくッスね、間違いなく。


 タマさんは、合掌して何かお祈りをした後、一言お礼の言葉を発した後、店から出て行ったッス。

 下心がなかった――と言えばウソになるッスけど、助けてもらったお礼が一番の目的だからそれはいいッス。ここからいなくなるのは残念ッスけど。

 店長もそれは気にしていないッス

 そんなことよりも、今やることは――


「「ツケにしてください! 」」


 店長とオレ――ニコニコとソロバンをはじくオッチャンに対し、同時に土下座をしていたッス。





という訳で投稿させていただきます。


え~と、まずは申し訳ございません。

このような容姿になりました。好き嫌いがくっきりと分かれるネタですが……


ついでに今回、別視線も入れてみました。

補足になればいいかと。


では、歯科医に行って歯痛もおさまり夜も寝れるようになりまし、仕事での監査も終わり、のんびりできるようになりましたので、続きをまた書いて行きたいと思います。


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