64日目~ 繋がりました。
【64日目】
気のせいでもなんでもなく――
昨日より体が動かしにくい。
手もただ挙げただけで痙攣しているし。
痛みがないのが唯一の救いか……
しかし、何が原因だろう?
・
そんなこんなで昨日作成していた機織り機も無事に完成し、早速織り始めようとしたところで問題が発生した。
機織り機も様々な種類が存在する。その中で今回製造していたのは足踏み式――
足のないユウ姉が使うことが出来なかった!
――完全に失念してたよ。本人を含めて。
そんな訳で、昨日作成した機織り機はアオ姉が使い、ユウ姉は料理と――薬剤作りを主にすることになった。
――ユウ姉はともかく、アオ姉も機織りできたんだ……
活発なアオ姉が使いこなせるイメージを持ててなかったため思わず呟いてしまい――殴られました。まる。
……タダでさえ動きにくい【ゴブリン】の体がさらに動きにくくなった気がするのは、気のせいだと思いたい……
・
本当に時間の感覚がなくなるが――
大体夕方。
突然、洞窟が大きくなった!
何を言ってるか分からない?
あえて言おう! オレも分からん!
まあ多分――というか絶対に残ってた【土喰い】が他の洞窟ぶち抜いたのだろうけど……
実際、『マップ』だとそんな感じに見えるし。
ただ問題なのが――その新しいエリアに、赤い『駒』がわんさかといるということ。
しかも、ぶち抜いた時に鉢合わせしたらしく、スゴイ勢いで青い『駒』――【土喰い】の数が減っていく。
どうするか――? 決まってる!
迎撃戦だァ!
・
一番新しい部屋から侵入してきた『駒』を一番最初に作成した、入口から2本の道で繋がる部屋で迎撃することになった。
単純に移動する時間がなかったとも言う。
ホネ兄、アオ姉、ゲン爺にクロが前線、オレとユウ姉とクーちゃんが後ろの方で待機、としている。
――あれ? 何か忘れているようなぁ?
えっと……前衛御三方、呆れたような目で見ないでね。
あとユウ姉。分かってるから。思い出したから。
ニッコリ微笑みながら頭握らないで! 何か鳴ってはいけない音がしてるから!
――という訳で、偵察いってきま~す!
何だか気分的にスゴく久しぶりに【ゴブリン】の体から抜けて、赤い『駒』を見に向かった。
・
取り敢えずすぐ横の部屋まで来ていたもののみを報告。
いたのはキツネ――イヌ? その類の顔を小人の魔物の群れ。
『マップ』の表示でわかっていたけど、数が多い。パッと見だけでも十数体。
状況を報告し――特徴から【コボルト】だろう――と話していたところで、今見てきた群れが入ってきた。
・
――はい、それじゃあ次行ってみよう!
え? 入ってきた群れはどうなったか?
【ゴブリン】と同じ様に瞬殺でしたが。
ホネ兄とアオ姉は一太刀で斬り捨て、ゲン爺は新作の巨大ハンマーで頭や体を砕いていく。そして――
オレは憑依して、ユウ姉は【コボルト】の体に手を差込み――内蔵を握り潰していった!
――ユウ姉……あんたちょっと前まで普通の村娘だったんだよねぇ?
手を差し込まれて絶望に染まる【コボルト】の顔を、微笑みながら見る姿は怖すぎるんだけど。前の件で吹っ切れたのかもしれないけど、エグ過ぎ。
アオ姉も顔を引きつらせているし。
それは横に置いておこう!
置いとくったら、置いておく!
あたり一面に転がっている死体は後で処理するとして――
迎撃戦から殲滅戦へと行こうか! という流れで只今移動中。
オレも、動きにくいけど【ゴブリン】の体に入っている。慣れるために。
『マップ』があるので迷う心配もないし、相手のいる場所もわかるから、最短距離で移動できる。
――何げにチートクラスの能力だよな……
『脳内迷宮地図作成』なのに、行ったことのない場所まで把握できているし。
赤い『駒』は順調に減少中。数は圧倒的に相手が多いが、質はこっちが圧倒しているのだから、当然といえば当然だ。
といった具合に狩り? を続けてながら掘り当てた洞窟を歩いていると進行方向の先から何やら重厚音――が響いてくる。
『マップ』を見ると、曲がった先に赤い『駒』が1つ。
ゆっくりと移動していることから、多分足音。ただし【コボルト】じゃあない!
各々武器を構えて備える。
そして――物陰からその姿が現れた!
見上げるほど――ホネ兄よりも高い身長。筋肉隆々の肉体。頭から生えた2本のツノ。
その姿、正しく鬼。
持ってるのは金棒じゃなくて棍棒みたいだけど。
――っ!
悪寒! そう感じた瞬間、【ゴブリン】の体を抜けていた。そしてそれは正しかった。
激突音!
入っていた体が吹き飛ばされる。
そして鬼の持っていた棍棒が無くなっている。飛ばされた体を見れば、血まみれになり横たわっていた。そしてその側には鬼の棍棒。
取り敢えず大丈夫だと皆に声を掛ける。
ユウ姉はショックを受けていたし、他の3人も動揺していたみたいだから。
声を掛けたことで、ユウ姉以外は元に――構えは変わらないけど、動揺は収まった様に感じた。
ユウ姉は――いくら荒事に慣れてきたとはいっても、少し前までは村娘。仲間が傷ついたのを見て直ぐに立ち直れるとは思えない。
見るからに相手は物理攻撃オンリーみたいだから、ユウ姉は大丈夫だとは思うけど……
死にはしない。しかし、激痛は受ける。その局面を乗り越えられたばかりの極限状態なはず。後から考えても、何故かこの時も思考は正常な状態を維持出来ていた。
そして相手の鬼――後から教えてもらったのだが、【オーガ】と呼ばれる中級クラス上位の強さを誇る魔物。凶暴で肉食。見た目通りの怪力と生命力を持つ――
以前――生前のホネ兄達なら、同レベルの冒険者複数名で、しかも大怪我――下手すれば死を覚悟で挑まなければならなような相手!
だからこそのこの緊張感!
怒りに狂ったかのような怒声――雄叫び!
それと同時に【オーガ】が突っ込み、その巨大な拳を振り上げる!
その筋力に見合う破壊力! 3人と2匹は難なく避けたが、それを受けた地面には拳の跡が穿たれる。
その隙にゲン爺が巨大ハンマーを【オーガ】の脇腹に叩き込む!
【オーガ】の後ろに回り込んだホネ兄が足を狙い――その一撃が届く前に、【オーガ】が血を吐き倒れた!
――あれぇ?
倒れこみ――死んではないようだけど、ピクピクと痙攣しており、瀕死の状態。
――いや、さ。
ボスじゃないの? 楽なのはいいけど、派手な出現だったよね!
いきなり武器を投げて、俺の体完膚なきまでに壊したよね!?
それなのに一撃ってさぁ
ホネ兄達は呆然としていた。
アオ姉は痙攣している【オーガ】を信じられなさそうに武器でつついているけど。
本人達の想像以上に身体能力が上がっていたみたいだ。
結局はそういうこと。それしかないし、倒した本人――ゲン爺の豪快な笑いで何とも言えない雰囲気は払拭された。
まぁ、ユウ姉はまだショック状態から抜け切れていないみたいだけど。
このまま狩り――殲滅戦を続けても良かったのだけど、ユウ姉の状態もあるし、相手の数も残り少ないので一旦戻ることにした。
倒した【オーガ】は吸収するため、クロがその体を大きくして溶かさないように体の上に乗せて運搬することになった。
――そういえば、何で肉食の【オーガ】が【コボルト】の巣――群れに居たのだろう?
その疑問は、うちの知恵袋が教えてくれた。
滅多にあることではないのだが、【ゴブリン】や【コボルト】が上級で肉食の魔物に護衛してもらうことがあるらしい。
その時の報酬は子供。自分達が産んだ子の一部を生贄として捧げるらしい。
低級の魔物は、その弱いが故に繁殖力が高く、子供が生まれるまでの期間も短い。しかし数が増えすぎると食料が無くなり全滅する恐れがある。
一方は口減らしも兼ねて強力な護衛を得ることができ。
もう一方――上級の魔物は労なく餌を手に入れることができる。
少し変わった共栄関係というわけだ。
――で、それはともかくとして、アオ姉何かあったの?
ここまで戻ってくる間、何やらずっとモゾモゾとしているけど――って!
何でいきなり服を脱ぎ出すッ!?
場所は訓練場。本当に前触れもなく――モゾモゾとはしていたけど、いきなり雄叫びと共に脱ぎだした!
ホネ兄驚愕、ゲン爺無反応、何とかショックから回復したユウ姉呆然。
あ。ホネ兄の肩にいたクーちゃんが振り落とされた。難なく着地していたけど。
けど何でいきなり脱いだんだ――って、あれ?
アオ姉、包帯なんてしてたっけ? いつの間にやら頭にも巻いているし、顔に一本斜めがけしている。また手と足を覆い、晒とスパッツを着けたような感じで包帯が巻かれている。いつの間に……って、あれ? もしかして――
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Name:アオ
Class:【デミ・フレッシュ・マミー】
Lv:1
MP:101/101
Skill:『陽光恐怖』『陽光虚弱』『腐敗化』『思考能力低下』『発声不可』
『腐敗防止』『思考維持』『運動能力強化』『暗視能力』『念話(特殊)』
『魔力吸収』
New『魔装布』
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やっぱり!
『進化』していた! 種族名を見た限り、マミーの一歩前の種族ってところかな?
皆に伝えたら納得してくれた。伝えるまでホネ兄とユウ姉が大騒ぎしていたから、収まってよかった。
アオ姉に聞いてみると、服の感触が急にスゴく嫌になったのだとか。
まぁ、巻かれた包帯も唯の包帯じゃないみたいだし。
――露出狂になったわけじゃないみたいだし、よかったぁ
そんな感想は当然口には出しません!
【65日目】
貫通した洞窟に残っていた【コボルト】はどうやら逃げ出したみたいだ。
今洞窟の中にはオレ達だけ。
思った以上に洞窟が大きくなった。
まぁそれは関係なく、今オレは昨日まで使っていた【ゴブリン】の体をユウ姉と一緒に見ていた。
ゲン爺とホネ兄とクロは鍛冶場で、アオ姉とクーちゃんは書斎横の作業場で機織り中。
調べてみて分かったことは、【ゴブリン】の内側に浸透させた【スライム】が徐々に殻となる体を溶かしていたみたいだ、ということ。
筋肉とかがドロドロになってきていた。通りで動かしにくいわけだ。
理由が分かったら、改善するだけ!
とは言っても――動物の体と親和する【スライム】なんて、そんな都合良くいるわけ……あれ?
――何か引っかかったような……
えっと、今オレが生み出せるスライムは――【グリーン・スライム】【ブラウン・スライム】【マッド・スライム】【ブラッディ・スライム】の4種……あれ?
ブラッディって血、だよね? 名づけたの俺だけど。
ってことは、もしかしたら他の【スライム】よりか親和性があるかもしれない?
ヨシ!
何事も挑戦。やってみないと分からない!
実験あるのみ!
さぁやろう!
遅くなって済みませんでした。
書こうとしても筆は進まず、仕事は色々と溜まっているという状態に陥っていました。
ブラッディ・スライムはようやく出せたァ。出せるか心配でしたが、無事活用できました。はい。
――ここで1つ質問なんですが――
個人的にはここで章を区切り、新しい章に移ろうかと考えております。
そうなると一気に時期は進むのですが。
その章まで行くまで細かく書いたほうがいいかどうかのご意見をお願いいたします。
ではここまで読んでいただき、ありがとうございました。




