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第9話I am another(もうひとりの俺)

どうぞ楽しんでください!

「あぁ、俺はお前でお前は俺だ」


不気味に笑いながら俺に言ってくる。男が俺の心臓から刀をぬく。


心臓に痛みがない。


「さて、お前を呼んだのは話があるからだ」


男がまた椅子に座る。


「お前は俺の力を閉じ込めようとしてるが、それは契約違反ではないか」


俺が何も言わず、黙っていると男がため息をひとつもらす。


「忘れたのか。まぁいい、言ってやる。契約は多々あるが一番は俺の力の解放だ」



∇▲∇▲∇



「ん……ここは」


なにか甘い匂いがする。


「あら、起きたようね」


静香先輩がふすまをあげながら言った。


「陰君!大丈夫!?」


望美が昼飯であろう、おにぎりを持ってきながら俺に涙目で言ってきた。


「あぁ、俺は大じょ―――」

「如月君は大丈夫よ、手加減して投げたから深くまでは入ってないから」


静香先輩が立ちながら言ってきた。


「おい、大丈夫って言うのは普通俺だろ。それと、お前手加減したって言っただろ!」


俺は布団から出て起き上がり静香先輩に言った。


「もしかして、如月君。それで負けたとかは言わないでね」

「俺は言うぜ、そのせいで負けたんだ!」


俺は静香先輩に指差す。


「分かりました、次は手加減なしであの世まで送ってあげますよ」


静香先輩はひきつった笑いをしながら言った。


「すいません、静香先輩。俺の負けです」


両手を合わせながら言った。


「それでは、昼飯を食べたらすぐ魔術修行場にいきますよ」


静香先輩は手を叩きながら俺達に食べる事を促した。


しかし、甘い匂いはなんなんだろう?


俺の心臓の鼓動が大きく鳴った。


も、もしかして、この今かけている布団はいつも静香先輩が使っている布団なのでは?


いやいや考えるな、何も考えるな。


ふと、静香先輩な寝起きの姿が思い浮かぶ。


可愛かったな……


汗がでてくる。


心臓が高鳴る。


「陰君、汗なんか流してなに考えてんの?」


黒いオーラをまといながら俺に望美が迫ってくる。


「如月君は私の布団のなかに入って、私の事について思っていたんだそうです。でも、残念ながらその匂

いは洗剤ですよ」


静香先輩がおにぎりを食べながらペラペラと喋る。


「い~んくん、目ぇ食いしばれ!」

「うおおおぉぉ……ってこれ前もあった……ガハッ!」


望美の渾身のビンタが俺の左頬にあたり、俺は飛ばされる。


「いってぇな、確かに考えたけどよ」


頬をさすりながら言った。


「あら、本当に如月君は考えていたのね」


次は静香先輩が近づいてくる。


「ちょっ、静香先輩は分かってあの態度じゃないの!?」


俺の言葉は静香先輩の耳に届かなかった。


「如月君に確かな道を!」


静香先輩は俺の右頬にビンタをすると、俺がまた飛んだ。


「あはは…は……は」

「陰君が気持ち悪いです。生徒会長さん」

「これは、やり過ぎたかもしれないわね。医者に頼んで新たな脳と入れ換えてほしいわ」


失礼な会話が聞こえる。


「あぁもう!静香先輩!修行やりましょう!」


俺は立ち上がって言った。


「分かってますよ」

「修行は本気でやること!わかった!?」


静香先輩はため息をひとつついた。


「いいでしょう。とてもやる気があるみたいなので」


そのまま、俺達は魔術修行場へと向かった。



∇▲∇▲∇



「いいですか。相手が気絶するか負けを認めるまで続けます」


静香先輩は構えにはいる。


「あぁ、それでいいぜ」


絶対倒してやる。


「え~と、始め!」


望美の合図とともに俺は静香先輩に向かって走りだす。


「土壁!炎棒!」


俺が唱えると、俺と静香先輩の間に高さ2m、横1m、厚さ10cmの土壁ができた。


俺はすぐさま右手にある長さ1m50cmの炎棒で土壁を壊す。


土壁の瓦礫が静香先輩へと、とびちり静香先輩は目を腕でおおう。


炎棒で正面から静香先輩の頭めがけて横に振る。


風鎌鼬かまいたち


静香先輩が唱えると、薄い緑色でできた全長30cmの鎌鼬がでてくると、俺の炎棒が切り刻まれた。


「雷線」


静香先輩の声がする。


俺は横にステップをすると、さっきまでいたところに雷線が通っていた。


この場所は魔術では壊れないようになってるらしいので魔術を使ってもここが壊れる事は無いらしい。


風を切る音が右から聞こえた。


すぐさま左に飛ぶと日本刀の形をして炎でできている刀を静香先輩が振っていた。


なぜか、最近見たことがある気がした。


「雷刀」


俺が唱えると右手に静香先輩と同じくらいの大きさの雷でできた刀が作られた。


今は静香先輩を倒す事が優先だ。


静香先輩が走ってくる、雷刀を両手で握りしめ静香先輩の炎刀を横へと弾く、また、静香先輩は手を離す


前と同じだ、なら今は後ろに逃げる。


―――逃げるな


頭の中で声が響く。


これからは自分の意思ではないように体が動いた。


やはり、静香先輩は俺の右肩の所に左手の人さし指と中指をつける。


「雷線」


静香先輩がそう唱える前に俺は雷刀を離して、右手で静香先輩の左手を外側に軽くあしらい雷線の軌道を

そらす。


そして、そらした静香先輩の左腕を掴みそのまま一本背おいをするが、静香先輩は俺の腕に向けて空中で

また右手で雷線を放つ。


俺はすぐに静香先輩の腕を離し、雷線を避ける。


「炎脚」


俺の右足が炎に包まれる、左足を軸足にして真上にいる静香先輩に向けて横から腹に右足の蹴りを入れた


そのまま、俺は空中で一回転をした。


凄まじく鈍い音と共に静香先輩が飛ばされていく。


―――こんなもんか


頭の中で声が響くと俺の体の意思がもどる。


胸騒ぎがする。近寄ってみると脱力して床に倒れていた。


かなりの重症で横腹が異様にへこんでいた。静香先輩に声をかけるが反応をしない。


「陰君!ちょっとどいてて」


望美が俺を押しのけ異様にへこんだ場所に両手をかざす。


「光治療」


望美が唱えると腹の所を光りが包む。


魔術での治療は死んでいなければ、治せるが寿命や不治の病などの原因が分からないものは治せない。


望美ができる治療は止血と骨折程度だが医学の知識は大学生に匹敵したと聞いたことがある。


望美の顔が青くなり、恐る恐るへこんだ場所をおした。


「大変、生徒会長さんの肺がつぶれてる。早くしないと死んじゃう」


死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死、死

、死、死、死、死、死、死、死、死、死ぬ


俺が殺した。俺が、俺が


俺が頭を抱えていると、望美が俺の肩をつかんできた。


「陰君!!静香先輩を助けてあげて!」


無理だ、無理だ、無理だ、俺には無理だ。


「陰君!歯ぁ食いしばれぇ!」


ひとつの音が俺の頬から響く。


望美が俺の肩をゆらす。


「今、生徒会長さんを助けられるのは陰君だけなの、私の足じゃ生徒会長さんが病院までもたないから陰君じゃないとだめなの」


病院は町の中央にあり、町の中では危険なので魔術が使えないようになる、魔術が使われている。


「陰君!」


俺だけにできること。


「私は陰君が生徒会長さんを助けるって信じてるよ!」


望美が俺を信じると言った、ここで変わらなきゃ前と同じだ。


「分かった、静香先輩を俺の背中にのせてくれ」


望美が俺の背中に静香先輩をのせる。


「陰君、生徒会長さんはもって20分だよ」


そのまま、俺は全速力で玄関に向かった。


靴なんて履いてられるか。


俺は、靴を履かずにとび出した。


走る。


走る。


走る。


裸足の足の裏に小石が突き刺さり、血が出る。


走る。


走る。


走るたび足の裏に激痛がはしる。


走る。


足の裏の感覚が消えていく。


走る。


消えた。


走る。


周りから視線が集まるが気にしない。


残り5分。


病院までの距離は3km。


息が上がり、足の感覚が無くなり、走るのがきつい。


「無理か……」


俺が地面に手をつこうとしたとき、誰かの手が俺の手を握る。


「なんか知らねぇが、病院にいけばいいのか?」


秀だった。


すると、秀は裏路地へと入り、捨ててあったホウキを手に取る。


「風極飛!」


ホウキの前に秀が座り、俺達は後ろに座った。


「お……おい、いいのかよ」

「ばれなきゃいいんだよ、それに群青先輩ヤバそうだし」


そういうと、ホウキがものすごいスピードで裏路地の間をすり抜けていく。


2分もしないまま、病院の裏についた。


「早く行け!イン!」


俺は走って、病院へと向かった。



∇▲∇▲∇



あともう少しで死んでいたかもしれないと医者は言った。

それを聞くと安心して、気を失った。



∇▲∇▲∇



「お前、何故あいつを助けた?」


暗闇に煌めく真紅の色。


「助けたいと思ったから」


俺はまっすぐ男をみる。


「それでは、助けたいと思わない奴がいたらどうする?」

「助ける」

「かーっ…つまんねぇな」

「これが俺の答えだから」

「まぁ、前よりはいい目になったじゃねぇか。でもなぁ戦闘本能がねぇな」


その答えも俺の中にでている。


「助けるためなら、俺はどんな戦いもする」

「言うようになったじゃねぇか」


男がこっちに真紅の日本刀を持って近づいてくる。


「これで、契約のひとつは完了した」


男は真紅の日本刀の刃を下に向けて、柄を片手で握りながら前にだす。


「お前も掴め」


男の言われた通り、柄を掴む。


「お前が小さい時に結んだ契約、俺が強くなったとき渡してくれ、だ」


ご意見、ご感想、誤字、脱字の指摘なんでも大歓迎です!


さぁ、陰がここまできました!自分も書いてて楽しいと思う、カラミです!


実神先生の魔術授業は休みです。

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