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第6話Decision(決断)

楽しんでいってください!

俺の寮を出ていくとき、静香先輩の笑顔は俺に勇気をくれた。


その笑顔に対して答えるように、俺も笑顔になった。


扉を勢いよくあける。


寒い風が開いていく扉の隙間から吹いてくる。


その風に反抗心を抱きながらも走る。


目指すは2-A、望美がいるところだ。


今は、とにかく望美に会いたかった。


青いイルカのストラップを握りしめて、俺は走った。


一歩、また一歩と望美がいる2-Aに向かう。


走る。


走る。


「はぁ、はぁ…」


俺は、扉に手をかける。


一気に開くと先生、クラスメイトは俺を見た。


そんなことは、どうでもいい。


「望美、ちょっと来てくれ」


望美の前に立ちながら言った。


「え?ど、どういうこと?」


望美は完全に意味がわからない様子だ。


「とにかく来てくれ」


俺は、望美の手を掴む。


望美の手に力が入り、俺の手を振りほどこうとする。


俺は手を離さない、力強く望美の手を握る。


「望美、どっかにいくぞ!」

「どっかって、どこよ!?」

「知らねぇ、とにかく俺についてこい!」


そのまま、扉に向かって望美の手を握りながら走った。


「なんか知らんが、かけおち頑張れ~」


秀の声が聞こえたが、何をいってるのかは分からなかった。



∇▲∇▲∇



あれから、どのくらい走っただろうか。ただ、誰もいない静かなところにきたかっただけなのだが。


周りには、森林が広がっている。どこを見ても木しか見えなかった。結構な都会でもこんなところがあるんだなぁ。


「陰君…迷ったとかはないよね?」


うん。


「迷った」


望美は、肩を落とした。


「でも、助かるでしょ!」


少し遠ざかりながら望美は、俺に笑顔を見せてくれた。


でも、でも、その笑顔が見たいんじゃないんだ。


本当に、本当に、俺を信頼して、心の奥底から見せる笑顔が見たいんだ。


「望美」

「急にどうしたの?陰君」

「ごめん」

「迷子になっちゃったこと?全然気にしてないよ」

「違うんだ、俺が言いたいのは………」

「急にどうしちゃったの!?笑顔で笑顔で」


望美が笑う。


もう、見たくないそんな笑顔。


「望美!お前に火傷を負わせて悪かった、ごめん!」

「な、なにをいってるのかな…」


望美が明らかに動揺している。


やっぱり、そうだったのか。


「最後までお前は俺のことを信じてくれたのに、俺は望美の事、あの時の事、みんなの事を信じなかった。でも、今は、違うんだ。お前をもう傷つけたくない」


俺は頭を下げながら言う、すると地面にひとつ水が落ちた。雨が降ってきたと思って頭を上げると、一粒の涙が望美の頬をつたっていた、また一粒、一粒。


望美の膝が地面につく。


「うっ…ぐすっ……ずるいよ、今まで陰君を…苦しめないために、思い出させないように頑張ってきたのに、いままで無関心な陰君が…この頃変わってきたと思ったら…すぐ解決……しちゃうなんて、ずるいよずるいよ」


望美にここまで心配かけていたのか。


「でも、でも、体が覚えていて……震えちゃって、でも、笑顔でいないといけなくて―――」

「ありがとう、そしてもう泣くな」


俺は望美に抱きついた。


ビクンッ


望美の体に電流が通ったように震えた。


「は、離れて、だめ!」


望美が俺の肩を押して逃げようとする。


もう、作った笑顔はさせたくない。


「離さない、俺はお前を信じる。だから、お前も俺を信じてくれ」


望美が電流を流れたように震えたとき、俺は少し抱くのをためらうと、望美が強く抱きしめる。


その事を繰り返していくと、少しずつ、少しずつ震えが止まっていく。


すると、次は望美が俺に強く抱きついてきた。


「陰君、ありがとう」


俺の耳もとでささやいた。


次は俺の体に電流が流れたようだった。


すぐさま、俺は望美から離れた。


そこで見えたのが、汗をかいていながらも会心の笑みで笑っている望美が見えた。


その笑顔につられ、俺も笑顔になる。


「そ、それで、あの、私を信じるって……」

「変な方向で考えんなよ、ただ友達としての話、だから気にすん…グハッ」


右ストレートで顔面を殴られた。


「はぁ~、やっぱり陰君は昔と変わらないね。」


笑顔だ。


「よし!森から出るぞ!」


俺が拳を振り上げる。


「うん」


俺が手を差し出すと、望美は俺の手を


握る。



∇▲∇▲∇



「やったー!出れたー!」


望美が両手を上げて喜ぶ。


必然的に俺の片手も上がる。


「よかったな、望美」

「おめぇら!どこいってた!?」


実神先生の声だ。服が泥まみれになっていた。


探しに来てくれたのか、やっぱり生徒思いのいい先生だ。


「お前達、何か進展したか?」


笑いながら秀が言ってきた。


「あぁ!」


俺が手をあげながら言うと、クラスのみんなが固まった。


「私の生徒がついにやりました!」


実神先生が言いながら手を叩いた。


ぽつぽつと拍手が増えていく。


「おめでとう!2人とも!」


秀が言うと、一気に拍手がでかくなる。


「おお、ありがとう」


こんなに、褒められることはしてないのだが。


まぁいい、終わりよければ全て良しっ!!



ついに、ついに。

魔術を使わなかった!

と、思うカラミです!


これで、やっと陰が戦えるようになる。

もう少しで始まる静香先輩中心の話はどうなるか分かりませんが今後ともよろしくお願いします。


実神先生の魔術授業は休みです。


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