第4話An insanely in love(理解不能な恋)
楽しんでいってください。
また、やってしまった。
今は2-Aの教室の扉の前にいる。
左手にはエア・ボードを持ち、右手は前の扉を開けようか悩んでいた。
「遅刻したぁーー!」
聞き覚えのある声がする。
声が聞こえる方を向くとエア・ボードにのっている秀がいた。
金色の髪をピンでとめていて魔石をはめこんでいる耳ピアスが輝いていた。
「よっす秀、お前も遅刻かよ。」
右手を上げながら俺は言った。
「インもかよ…よしっ!くらえ!エア・ボード・アタック!」
秀はスピードを下げずに俺に突っ込んでくる。エア・ボード・アタックとは秀が考えた、俺専用の攻撃だという。秀曰く「インに攻撃魔術つかうとかもったいねぇよ、ついで攻撃で十分」だそうだ。
「いいだろう、やってやる!」
俺は突進してくる秀にむけて身構える。
「てめぇら!とっとと入りやがれ!」
鬼の形相で教室の扉を開けて実神先生が言ってきた。
「すいません、でも男には戦わなければいけない時もあるん―――」
「土石!土壁!」
俺の頭に小さい石が突き刺さる。
秀はスピードを緩めることができず目の前にできた壁にぶつかってしまった。
「「いってえええええぇぇぇぇっっっっ!!」」
俺達は叫び声をあげた。
「あぁ、うるさいうるさい」
実神先生はため息をしたあと、俺にあごで、倒れてる秀を持っていけ、と命令をした。
秀を引きずりながら教室に入って、椅子に秀を座らせたあと俺の椅子に座る。
「おはよー、今日も元気だね~」
前からいつもの笑顔と一緒に望美が話しかけてきた。
「別に元気な訳じゃねぇよ。それより今はHR中だぞ」
「別にいいの、それよりお返しは決めた?」
「まだ、決めてねぇよ」
「期待して待ってるからね」
目をキラキラ輝かせながら言ってきた。
「ハードル上げんなよ」
「わかったよ、そんじゃあゴミが渡されると思って待ってるよ」
「そこまで、ハードル下げなくてもいいよ」
「もう、陰君わがままなんだから」
そういって望美は前を向いた。
何を買うか考えていると、後ろから肩を叩かれた。
「起きたのか、秀。それで、なんのようだ?」
「あぁ、インと望美ちゃんが話してたことってなんのこと?」
「まぁ、いつも心配かけてごめんね、そしてありがとう、っていうプレゼント」
「母の日、父の日かよ」
呆れたようにため息をついたあと、何かいい考えが湧いたのか笑顔になった。
「それじゃあ、こうやるのはどうだ?」
秀が俺に耳打ちをしてきた。
「なるほど、それなら望美も満足するな!」
∇▲∇▲∇
放課後になった。
俺の机の前で帰りの用意をしている望美の肩を叩いた。
「いひゃあ!……変な声が出ちゃったじゃん。驚かさないでよ」
頬を膨らませながら、俺の方を見る。
「わりぃ、わりぃ。でもよ、お返しを考えても何を買えばいいかわかんねぇんだよ。だから、これから一
緒に買いに行かねぇか?」
望美がきょとんとする。
「……………うそ」
目を開いたり、閉じたりしていた。
「別にいやだったら行かねぇけどよ」
「いや、絶対行く!」
首を左右に振りながら言った。
「んじゃ、行くか。」
∇▲∇▲∇
魔術都市の中心部にきた。
高いビルが立ち並び、ショッピングモールもあり、ここにくればほとんどの物は揃う。
「最初にどこいく?」
「………………」
ここにきてから、望美が少しおかしい。
頬を朱色に染めながら下を向いて反応をしない。
「大丈夫か~?」
手を望美の顔の前で振ってから、望美の顔を見るために顔を覗いた。
「…うわっ!また、驚かさないでよ~」
いつものような笑顔なのだが、俺との距離を開けているようだった。
「まぁ、気にすることでは無いな」
「陰君、どうしたの?」
「いや、何でもない。それより、どこいくんだ?」
「それじゃあね、pinkwizに行こうよ」
Pinkwizとは、ここら辺では女子の間で有名な女子のオシャレに必要な物がほとんど揃っていると、言われるショッピングモールにある店だ。
「…まぁ、いいか」
望美は俺の腕の裾を引っ張りながらpink wizへと向かった。
裾が引っ張られると、歩きにくいので望美の手を掴んだ。
望美は手を振って、俺の手を振り払った。
望美の顔を見ると、青くなっていた。
なにかに怯えているように見えた。
「そんなに、いやだったのか。悪かったな。」
「ち、ちがうの!…手を繋ぐのは嬉しいけど…」
俺の掴んだ手を抱えながら言った。
「は、早く行こうよ!」
そのまま、望美は走って行ってしまった。
望美についていき、pinkwizについた。
「ねえねえ!これ、可愛くない?」
さっきのことを無かったかのように、笑顔でヘアピンを見ていた。
「そ、そうだな」
ここにいるのが気まずい!
全体的にピンクを使った店で、売っている商品も可愛い動物をモチーフにした物だったり、ハートやら星のストラップだったりと男には似合わない雰囲気だ。
「お、おい。決まったか?」
早くここから出たい。
「よしっ!これにする!」
そう言って見せたのが可愛いイルカのストラップだった。
「その、2つだけでいいのかよ。なんなら、もっと高い物でもいいんだぞ」
望美が手にしていたのは、ガラスでできた青とピンクの色のイルカのストラップだった。
「これがいいの」
「1つ200円だろ?俺のことを気づかってんなら、心配無用だぞ」
「それじゃあ、あっちにするよ。」
望美が指でさした方を見ると、2mごえの熊のぬいぐるみがあった。
価格23000円!?
「そっちの、イルカにしよう」
俺は望美からイルカのストラップをとりレジへと向かった。
「すみません、これをお願いします。」
「プレゼント用に、お包みいたしますか?」
営業スマイルを見せながら店員は言った。
「別に、結構です。」
その後、金を払い望美にあげた。
「本当に嬉しい!ありがとね、陰君」
良かった、いつもの笑顔だ。
「まだ、帰るのは早いから遊ぼうぜ」
「いいね、それ」
Pinkwizをでたあと、映画館に行ったり、ボウリングをしたり、カラオケで歌ったりととても楽しんだ。
そして、帰り道。
「あのさ……あの事は気にしないでね」
あの事…手を振り払ったことか。
「全然気にしてねぇよ」
事実を言えば、嘘だ。
「よかった~…それで…これ…」
望美は急にモジモジし始めて、青いイルカのストラップを俺に渡してきた。
「これで、ペアルックだね。それじゃ!」
すぐさま望美は、走って行ってしまった。
日にあたり輝いてる青いイルカのストラップを残して……
魔術使ってね~
と思うカラミです!
実神先生の魔術授業3
えーと、上位魔術の説明からだな。
上位魔術は、魔術を使って生物をつくりだすものだ。
たとえば、水龍:水の属性で龍をつくりだす。
イメージがないと作れないからな~
特上位魔術は、魔界にいる本当の龍や死神や精霊を召喚するものだよ~
たとえば、水精霊セイレーン:最初に属性の水、次に種族の精霊、最後に名前のセイレーンを呼ぶ。
となる。
強さの序列
死神<精霊<神<悪魔
となるんだぞ~
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