第3話Magic world war end(魔術大戦 終幕)
どうぞ、お楽しみください!
断末魔の叫び声のように大きく、しかし冷静な声が俺の頭に響いた。
―――殺せ、殺せ、殺せ、殺せ!
「うわああぁぁぁぁっっっっ!!」
1つの爆発音と共に炎が俺を包んだ。
―――殺せ
俺の頭から30cm程度の真紅の角がはえてくる。
髪も真紅になり、瞳も真紅になる。
炎が俺を包む。
「アアアァァァァアッッ!!」
猛獣の叫び声のような声。その叫び声と共に俺を纏っていた炎が空中へと飛んでいく。
「な、なんだお前はっ!?」
男は後ろの柵によりかかりながら、怯えた声で言った。
「ガルルルルッ」
俺は男に猫が威嚇するような体勢になりながら、猛獣のような声をだす。
足に力をいれて走り出す。
「く、くそっ!土極壁!」
男の前に土でできた、厚さ30cm、高さ2mの壁ができた。
しかし、俺はその壁を右手でいとも簡単に壊す。
「や、止めてくれ!頼む!」
俺は右手を引き、その右手を男の心臓にむけて突き刺す。
「はぁ~…危なかった。」
右腕が誰かの足によって蹴られていた。
俺の右手は男の心臓からずれて、男のブレザーの脇を切り裂いていた。
「おとなしく寝ていなさい。」
黒く長い髪をたなびかせながら女は俺の頭に蹴りを入れた。
∇▲∇▲∇
目を開くと、視界に広がっていたのは見たことがない教室だった。
「あら、起きたの?ここは、生徒会室よ」
俺はパイプ椅子に座っていた。
前には腕をくみ、足を組んでいる女がいた。
「お前、誰だよ」
俺は軽蔑の目をしながら言った。
パイプ椅子に座っているが、手は後ろで結ばれていて足も結ばれている。
「貴方の方こそ、屋上であった事を話してくれませんか?」
上から目線で俺に言ってきた。
「…そうだ!あの女の子は!?」
「死んでないわよ、落ちる直前に…秀っていう男の人が女の子を助けたわよ」
黒い髪を手でかきあげながら言った。
「良かった…」
胸を撫で下ろした。
「いいわよ、そんなこと。それよりあの屋上であった事を話して」
さっきから偉そうにしやがって。
「お前に話す義理はねぇよ。」
俺は女から目を離した。
「だめです。私は生徒会長ですから」
無理やり、頭を持たれ目を覗きこんできた。
女の顔は綺麗、その一言だけだった。
黒い髪、パッチリした黒い目、すっきりとした顔立ちだった。
「………って!お前が生徒会長!?」
「そうよ、私の名前は群青静香といいます。この度、生徒会長になりました。と言っても去年から生徒会長ですけど」
聞いたことがある、学校始まって以来の天才。
2年生の初めからずっと生徒会長になっており、魔術の成績も、頭の良さも、運動もずば抜けている人がいると。
「つうことは、先輩か?」
「まぁ、そうなるわね。早く屋上であった事を話なさい。」
「はぁー…分かった、実は俺…悪魔と―――」
「良かったー!陰君無事だった~!」
扉を開いて入ってきたのは、望美だった。
「あれ?陰君、生徒会長さんとなにしてるのかな?」
なんか、誤解されそうだ。ここは弁明を言っておくのが普通だろう。
「如月君が無理矢理、私を連れてきて如月君はみずから縄で手足を結び、叩け、と言ってきたのです」
「へー…そうなんだ陰君ってそんな人だったんだ…」
「勘違いしてるぞっ!望美!」
「生徒会長さんが言ったことだよ、絶対本当だよ。嘘つかないで」
「違う!断じて違う!」
「分かったよ陰君」
「信じてくれるのか!?望美!」
「殴られたいのなら、殴ってあげる。」
「叩くだ!殴るではない……って、どっちも違うわ!」
「いーくーよー、目をくいしばって!」
「うおおおぉぉ!…って、できるか!グハッ!」
ゴンッという鈍い音と共に俺とパイプ椅子が転がった。
「はぁ~…あとは、カップルにおまかせします。また後でね、如月君」
あきれた顔をした静香先輩は、生徒会室から優雅にたちさっていった。
「…カップルに…見えるのかな?…カップル…」
望美は、変な事を言いながら頬を朱色に染めていた。
静香先輩が言った台詞「また、後でね」…か。
「そういや、今何時なんだ?」
俺はおかしくなっている望美に聞いた。
「は、はぁ!?な、なにいってんの!?ラ、ランデヴーがしたいって、えぇ!?」
望美に聞いた俺が馬鹿だった。
生徒会室にあった時計を見ると、時刻は6時をまわろうとしていた。あれから、相当寝ていたようだ。
「一緒に帰るか?望美。」
「え、あ、うん。」
望美は下をむいて答えた。頬はまだ朱色のままだ。
いつもの、元気はどうしたんだよ。
なんか心配になる。
「大丈夫か?」
俺は熱があるかどうか調べるために、俺の額と望美の額を合わせる。
近くで見ると、やはり美少女と言われる訳がわかる。茶髪にきれいな茶色の瞳、それだけで魅力的なのに今は、頬を染めていて、目が潤んでいる。
可愛いってもんじゃねえ!
妙に恥ずかしくなり、額を離す。
「…なんか、悪かったな心配かけて」
「全然、大丈夫だよ…でもそのお返しはあるよね?」
「ん~まぁ考えとく」
「わかった」
いつものような笑顔を俺に向けてくれた。
夕日が髪を照らし、茶髪をより一層輝せていた。
絵になりそうなくらいきれいだが、何故か寂しい青色を使った笑顔に見えた。
実神先生の魔術授業2
今回は魔術の位を教えるぞ~
魔術の位は全部で4つ!
下位魔術、中位魔術、上位魔術、特上位魔術!
位が低い順で言ってたからな、
下位魔術では2つの事柄でできる。
たとえば、水棒、風飛がある。
中位魔術は主に下位魔術を強化した魔術か、3つ以下の属性の複合である。
たとえば、土極壁が強化した魔術は下位魔術の事柄「土壁」の間に極をいれることで強化ができるんだ。
炎土壁だと炎と土の属性を混ぜて壁をつくったことになる。これを複合魔術という。
今日はここまで!
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