第16話Accident(意外)
あの後、俺は秀達に促されながら俺の寮に戻ってきた。
望美も病院からでて、今は自分の寮にいるという。
望美は俺のせいで倒れた。そして、また俺を拒絶するようになった。
「なにがなんだか、わかんねぇー」
頭をかきむしる。少しごわごわしている。
そういや、昨日は風呂にはいんねぇまま寝ちまったな。
俺は体を起こして風呂へと向かった。途中で鏡を見ると俺の髪はぼさぼさで目の下には少しくまができている。
風呂にお湯をいれながら、座る。
一つため息をして風呂にお湯が溜まるのを待っていると紅が俺の前に座った。
「あんたさー、望美の事どう思ってんの?」
「ブハッ!…急になんだよ」
「だから、好きか好きじゃないかって聞いてんの」
「好きだ…友達としてだが」
「もし、望美と付き合うことになったらどうすんの?」
「いや、絶対そんなことはねぇ。だってよ望美は頭がいいし、顔だって美少女なんだぜ。俺に付き合う権利なんてねぇよ」
「かっーー…つまんないな。そんじゃあ聞くが望美と付き合いたいと思うの?」
「………それは無いな。だってよ、望美がまず俺の事が嫌いだからよ」
「また他人だな」
「…どういうことだよ」
「それが、いけないんだよ。自分で考えろ」
その後は話しをしなかった。
紅はなにが言いたかったんだろう?これこそ聞けばいいことなんだが、紅の言った事が気にかかる。「また他人だな」、「自分で考えろ」なんなんだよ。
▽▲▽▲▽
「あんた、いつまで考えてんの?」
紅の声で気がついた。寝ていたのか?いや、違う。ずっと考え込んでいた。なんか忘れてるような…
「風呂っ!」
風呂の水はもう少しでこぼれだすところだった、勢いよく蛇口を閉める。
「見んなよ」
「分かってる」
扉を開けて鎖だけを扉の隙間を通す。慣れてきたもんだ。俺は服を脱いで、風呂の中へと入る。
「自分で考えろ……か」
でもまぁ、少しの間にいろんなことしたな…。魔術大戦でさイフリートの声で屋上に行って、結果的に助けたわけだがあの時はどうなるかと思ったよ。その次に望美に心配かけたから秀の提案で街に行く事になってよ、イルカのストラップ買って、遊んで終わった。そして俺の過去が書きかえられてるのを静香先輩が見破って、望美に信じてくれって言ったな…あの時少しは絆が深まったと思ったのにな。まぁ次は静香先輩との修行、その修行のおかげで多分、俺の中の悪魔は暴走しなくなったはずだ。この時には望美に助けられたと思ってるよ。そして恥ずかしいクリスマス、望美の提案に悪のりしたあげく、嫌われてしまった。
「あんたさ、なんか思わないの?」
紅が話しかけてきた。紅は俺の右手首についている手錠から、俺の思ってることを感じられるらしい。
「思うって、なにを………」
そうだ、俺自身の考えが無い…魔術大戦はイフリートでお返しは秀の提案、真実を気づかせ、修行をしてくれたのも静香先輩、クリスマスに出かける事になったのは望美。
毎回、周りの人によって俺が動いてる。
周りの人によって助かっている。
俺の気持ちは二の次でまず他人から、だ。
自分を持て、自分の考えを相手に伝えろ。
周りが動くから、動くじゃだめだ。
俺が動いて、周りを動かす。
「よしっ!」
俺は両手で頬を叩いた。
「いきますかっ!」
俺は風呂から上がり、ジャージを着る。
今からは全部俺の意思だ。俺の考えだ。
寮を後にして望美の寮へと向かう。望美と俺の寮は近く、ものの数分でついた。チャイムを鳴らす、反応が無い。もう一回チャイムを鳴らすが返事が無い。嫌な予感がした。
ドアノブに手をかけると鍵が開いていた。俺は開く。
そこには無惨な望美の姿があった………
部屋全体に赤い血が飛び散り、望美には首から上が無くなっていた。
「…お、おい。ど、どういうことだよ!静香先輩っ!!」
「…ごめんね、如月君」
短くなってしまい申し訳ありません。