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第13話~出会い~Before Christmas(クリスマスの前に)

クリスマス…イエス・キリストの降誕を祝う祭りである。


キリスト教に先立つユダヤ教の暦、ローマ帝国の暦、およびこれらを引き継いだ教会暦では日没を一日の境目としているので、クリスマス・イヴと呼ばれる十二月二十四日夕刻から朝までも、教会暦上はクリス

マスと同じ日に数えられている。


とWikipediaに書かれている。まぁ、たまによく分からない単語も入ってるが、今はもうクリスマスはカップルのイベントとなっている。この忌々しい日が二日連続になったのは昔の偉人が関係してるらしい。彼

女、彼氏がいない人に喧嘩を売ってるようなもんだ。俺にはどうする事もできないが。


俺は生まれてこの方もてたことがない、もちろん告白されたこともない。秀はハッキリいえばもてる、何十回「俺、告白された」と聞いた事か。


ここで少し秀と俺との出会いを思い返してみようじゃないか。なんで秀がもてるか分かるかもしれない……顔だよとか言うのはなしだぜ。



▽▲▽▲▽



四月、桜、高校、と言ったら新しい出会いとかあるんだろうな~、と少し浮き足で入学式の会場である体育館へと向かった。


向かう途中、やけに人が集まってる場所があった、特に女子が。俺は野次馬の火事があったから行ってく

るという、めんどくさい行為をなぜするか分からない。ということでスルーをした。


千羽高校、魔術を専門に扱う高校であり、面接は試験官に自分ができる最高の魔術を見せるのと普通に学

力を見定める試験がある。


魔術を扱う高校でもトップクラスであり、勉学でもそれなりの進学校である。


俺はこの千羽高校に入る気はなかった。というより俺の成績で、千羽高校に入るのは雲を掴むことより難

しかしいものである。


なぜ俺が入れたかって?俺が聞きたいぐらいだよ。


最初は千羽高校の近くにある、試験のときに名前を書いてれば受かるといわれていた高校に入ることにし

ていた。しかしあるときポストに一通の茶封筒が入っており、開いてみると千羽高校からの特待生での招

待状だった。


授業料免除、施設費免除、教材一式無料、食堂での料金免除、そのほかほとんどが免除となっていた。


怪しいと思ったが、あの有名な千羽高校であるのだから嘘はつかないだろうということで俺は千羽高校に

入る事にしたのだ。


指定された椅子に座る。周りを見てみると、いかにもエリートみたいな人たちがいる男子では七三わけを

していたり、グルグル眼鏡をかけていたり、いかにも受験でやつれている男もいる。女子のほうでも、黒

い髪を綺麗に束ねて、眼鏡をかけていていかにも真面目すぎて頭が固い生徒会長を連想させる人たちが何

人もいた。勢いで入ってしまったが、つまんなそう。


いきなり、出入り口から大きな歓声?悲鳴?わからんが発狂してる男子と女子が集まっていた。


周りの人はなんだ、なんだとか言って、集まってる集団の中に入っていった。俺は一人取り残されていた

、俺は一つため息をして足を組んだ。


やがて、その集団はこちらへとやってきた。少しずつ、少しずつ中心の人が見えてきた。


男子の集団のなかには、茶髪のポニーテールで茶色の瞳、まん丸な目に女性に聞けば百人中百人が憧れる

といいそうな体型だった。他の女子と同じ制服を着ているのに、一人だけ輝いて見えた。しかしその女子

はあまり笑っていなかった。


女子の集団の中には、外国人のハーフなのか金髪で蒼い瞳だが顔は日本人の男がいた。こちらも美男子と

いう称号を持ってそうなほどのイケメンだ。こっちは笑いながら群がってる女子に手を振っていた。


そして、二人は俺の隣に座った。


まて!挟まれるってひどい!しかし、席を替えてくれなんて言えないしな。俺はそのままでいることにし

た。


入学式が始まり、今は、少し若く筋肉に自信がありそうな校長の長ったらしく何度も何度もくどい話を聞

いていた。欠伸が出そうだ。


「ふあぁーー」


誰かが欠伸をした、俺ではない。隣の金髪の男だった。


金髪の男は手を頭の後ろで組み、背もたれによりかかり、足を組んでいた。


わざとらしく咳きをしながら校長は金髪の男を見た。


「そこの君、特待生だからって気を緩ませてはいかん」


校長の低く響く声は少し恐怖を感じてしまった。しかし金髪の男はへらへらしながら「すんません」と言

っただけだった。


俺が呆然と金髪の男を見てると、肩を叩かれた。叩かれた方向を見ると、あの男子集団に囲まれていた女

がいた。


「ねぇ、ねぇ陰君はあの男の子どう思う?」


なぜか親しげに茶髪のポニーテールの女が話しかけてきた。


「どっかで会ったっけ?」


すると、女は目を大きく見開いた。


「いやいや、私だよ?陰君。ほら、幼稚園で一緒だったじゃん」


この女は幼稚園の頃の記憶があるのかよ、俺はとっくに忘れてるわ。


「幼稚園の時だけだった?」


一瞬、女の顔が青くなった。なんか地雷でも踏んだか?


「違うよ………小学生の時にも会ってたよ…」


いきなり暗い声で女は言ってきた。


「なんか悪かった。小学生の頃の記憶は印象なくて記憶にあまりねぇんだよ」

「……………うそ…」

「なんつった?」

「陰君、小学生の時の火事って覚えてる?」


俺は体が震え始めた。なぜだかわからない、喉に小骨が刺さってるようなもどかしい気持ちになった。


「大丈夫?陰君?」


女が俺の肩に手を置いた瞬間、胃から食ってきたものが逆流するような気持ち悪さを感じながら小学生の

記憶が鮮明に蘇ってきた。


少し咳き込むと、そっと望美がさすってくれた。そう、この女の名前は望美だ。


「望美で…いいのか?」


望美が笑った。


「あの時のことは…心配しないでね」


「…ん?何を言ってるんだ?心配も何も、火事の時はみんなで怪我無く脱出できたじゃねぇか」


望美は少しの間固まった後、微笑みながら俺に言う。


「そうだね…」


その後は話しをせず入学式をまっとうした。


その後、決められたクラスに入室。なんと俺一人だった。


席は廊下側の一番後ろだった、それなりにいい場所だ。


「名前は知らんが、よろしくな」


隣から少し聞いた時のある声がした、あの金髪の男だ。


「よろしくな、俺の名前は―――」


「あぁ、いいよ。言わなくても、覚えるきないし」


いきなり怒りが湧いてきた。将来もこいつのせいで怒りがいきなり湧いてしまうかもしれないと思った。


「それは、どういうことだ?」


俺は冷静を装って話しかけた。


「だってよ、トップクラスの高校つっても、俺にとっては馬鹿ばかりに見えるんだよ」


化けの皮をはがしたか。そのまま、金髪の男は続けた。


「お前だってよ、一生懸命勉強してここまで来たんだろ?お疲れ様」

「ハッ!俺は何もしなくても受かったんだよ特待生だからな!」


俺はリュックサックから茶封筒を金髪の男に見せつけた。

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