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第12話Apology and determination(謝罪と決意)

今、俺は午後に唯とかいう秀の彼女と会う事になっているので、身支度といっても少しお洒落をして財布やらを準備してるだけである。


窓から外の景色を見ると、雪が積もっている。昨日の夜に降ったんだろう、子供にとっては嬉しいことで

あり、大人にとってはこれ以上ないめんどくさいものが降ってきているのだ。


大人はややめんどくさそうに雪かきをして、近くの空き地では子供達が雪合戦をしている。観戦をしてい

るのは子供達が作ったであろう、雪だるまがひとつある。


雪だるまはこれでもかというほど気合が入っており、胴体の部分には五つの本物のボタンがうめこまれていて、口はバナナ、鼻はニンジン、目は黒い碁石みたいなものでそれにマフラーや帽子まで着ている。


雪だるまを見ながら少し笑う。


「なにみてんの~?」


紅が俺の肩に顎をのせながら言ってきた。


俺は無言で雪だるまを指差すと、紅は興味ありげに窓に額をくっつけて雪だるまを凝視していた。


紅はある程度は良識というものを持っており、よく漫画や小説にあるこの世界の物に興味を示して、主人公だか霊能力者を惑わす事はしないらしい、紅曰く「こっちの物やルールは書物で読んできた」なだと自信ありげに言ってきたのだ。そうそう、外では極力俺に協力してくれるらしくあまり外では話さないらしい、紅曰く「周りの人から白い目で見られるあるじは一緒にいたくない。というか見てらんない」という事だ。俺にとっては好都合だし、紅はこっちの世界の物には触れないらしい。でも、俺は触れると

いう、本当にいらない設定だ。


「あ、そういやお前ってどうしたら刀になるんだ?」


俺が話しかけると、少し紅が舌打ちをしてこっちを向いてきた。どんだけ雪だるま見たいんだよ。


「うんとね~、教えない」


気がついたら俺は紅を殴っていた。しょうがないじゃないか、手が勝手に動いたんだから。


しかし俺も少しは考えているので紅の飛ばされた後の位置は布団の上である。不意に右腕が引っ張られる

。あ、手錠の事忘れてた。そのまま俺は紅と一緒に布団の上に行くはずだったが。これ、前もあったぞ。


「一緒に布団の上に行けると思わないで!」


紅は左手首に掛けられている手錠の鎖を持ち、俺を違う方向へと飛ばした。


俺は寮の窓ガラスに一直線にぶつかった。普通はガラスが割れるのに、この頃のガラスは硬いようで、だ

から俺はガラスに足を勢いよくのせた。


「前と同じだと思うなよ!」


俺はそのまま、紅にジャンプした。


「変態っっっ!」


俺は紅の踵落としをくらった。


腰を抑えながらじたばたする。


「はぁ~、あんたが滅茶苦茶に動くと、こっちが迷惑なんだけど」


冷たい目で俺を見ながら言ってきた。俺は立ち上がり紅を見下ろす。


「ああぁぁ……なんでもっとおとなしい刀ができなかったのかな」


俺は紅を蔑むように見ると、次は腹パンをくらい、倒れた。


倒れたついでに時計を見てみると、時刻は午後十二時四十分だった。待ち合わせの時間は午後一時なので

もうそろそろ行かないといけない。俺は鏡の前で最終確認をとり、寮を後にした。



▽▲▽▲▽



駅前のカフェの前についた。時刻は午後十二時五十分、十分前なのでいいだろうと思いカフェにはいった。


すぐさま、怒りが湧いた。


なぜかって?あのカップルをみると誰でも怒りが湧くだろう。


俺が入ってすぐ見えたのが、秀と唯が隣で肩を寄せつつ一つのグラスで二本のストローを使って飲み物を

飲んでいるのだ。


あぁ、うぜぇ。つーか、なんで秀がいるんだよ。


「おおっ!イン!こっちだ早く来いよ」


秀が俺に気がつき手招きをした。俺は歩いて秀達がいるテーブルへといった。


「まず、なんで秀がここにいるんだ?」


俺はさっきのラブラブっぷりをみて少しイライラ気味で言った。


「だってよ~、いつも一緒にいたいじゃん」


へらへらと笑いながら言ってきた。あぁ、うざい。うらやましくはない!


隣では顔を赤くしながら俯いている唯がいる。


「わかったよ。そんで話ってのはなんだ?」


俺がそういうと、一瞬にして空気が張り詰めた。


「……実は…言いたい事が…ありまして…」


唯が少しずつ話し始める。きっと「なんであの時助けてくれなかったんですか!?」とか、「先輩、がっ

かりしました」とか「きもい、死ね」とか言われそうだ。


「如月先輩……あの時は………ありがとうございました!」

「どうもすみませんでした!……って、あれ?」

「あの時に先輩が来て、時間を稼いでくれなかったら、私は死んでいたかもしれないんです。それに、きっと先輩のおかげで秀先輩と出会えたんです。本当にありがとうございます」


唯は頭を深々とお辞儀をした。


まず、単純に良かった。ほっと胸をなでおろした。しかしこれからは俺が言う番だ。


「唯、恐い思いをさせて悪かった。次はすぐに、助けられるように頑張るから」


この台詞をどれだけ頭のなかで練習してきた事か。


俺はテーブルに両手を置き、お辞儀をした。


「弱い如月先輩は守ってくれなくても結構です。私には秀先輩がいますから」


あれ?イラッってきたぞ。唯は首をかしげて俺を見ていた。


さっきまではおとなしい女の子と認識していたが、違うみたいだ。きっと唯は知らないうちに毒舌をいう

のかな?いやいやだめだ友の彼女だ、変な目で見てはだめだ。


「そうだよね、俺より秀がいるもんね」


俺は少し引きつった笑顔をしながら言った。


「はい。かっこ悪い如月先輩とは大違いです」


わざとなんじゃないのか?


しかし、唯は何もなかったような笑顔だ。これは…きつい……


この後もたまにくる唯の毒舌に耐えながら、色々と話した。


周りが暗くなってきている。


「俺、帰るわ」

「おう、明日はクリスマスだな」

「如月先輩、一人で過ごすという悲しいクリスマスにはならないように頑張ってください」

「ははは…は、がんばるよ。ありがとう」


分かってる、唯は応援してるんだ。


俺は後ろでクリスマスの計画をたてているカップルを背にカフェからでた。


外はクリスマス一色だった。クリスマスの代表の歌が流れつつ、カップルが今日がクリスマスでもないの

にいやがる、店の外にまででてクリスマスケーキを売ってたり、木には色とりどりの電球がついていて綺

麗だったが俺の心はなぜかすさんでいる。


俺は一つため息をしたあと、雪をけった。


なんか、今日はつかれたな。


ゲームでも買って帰って、明日はずっとやってやる。俺はそれなりに高いゲームカセットを三本買った。






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