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第11話get well(お見舞い)

あれから眠りにつき日付が変わった。筋肉痛はもう大丈夫になっていた。


しかし夢であってくれ、夢に違いない、今見てるのは夢だ。そう、夢だ。


俺の前には薄い赤色のワンピースを着ている紅がいた。手には手錠がかけられている。


「夢じゃないからね」


紅が微笑みながら俺に言ってくる。


「はいはい、現実を見るよ」


俺はため息をつきつつ布団からでた。そうそう、今日は静香先輩の会いに行く予定で、行く人は俺と望美と秀と刀一本で行く。


「あたしの事を刀一本でしめたでしょ!」

「なんで分かったんだよ」


俺が聞くと少し偉そうに笑ってから手錠を指差す。


「これがついてると、あんたの思ってる事は全部筒抜けなんだよ~」


すぐさま手錠を壊すために、引っ張ったり、叩いたり、歯で噛んでみたり、魔術を使ったりしたのに壊せない。


「紅、どうすれば壊せる!?」

「教えな~い」


気がつくと俺は右手で紅の頬を殴っていた。紅が吹っ飛ぶと、手錠のせいで俺も飛んでいってしまう。


「このまま、のっかかるというありがちな展開にはさせないからね!」


すると、紅は手錠がかけられてる方の左腕をまわし俺が飛ばされる方向を窓の方にやった。


俺はなすすべなく窓ガラスに一直線で頭からぶつかった。しかし、最近の窓ガラスは硬いようで窓ガラス

が割れることなく俺の頭が割れた。


「ぎゃあああああああぁぁぁぁぁぁっっっっっ!!」


俺が頭を抱えながら縦横無尽に転がる。


それを止めたのが紅の蹴りだった。


「あんたが動き回ってたらあたしに迷惑がかかるんですけど」

「てめぇ」


俺が紅の胸ぐらを片手で持つと、紅は両手を顔の前に持ってきて馬をなだすようにしてきた。


「あんた、こんなことしてていの?」


時計を見てみると、待ち合わせの時間の5分前だった。俺は紅を離しすぐに着替えにとりかかる。


「あたしに感謝してほしいくらいだわ」


「お前のせいだろ!」と言いたかったが無視をして着替える。


「あんた!レディの前で着替えるなんて!どういう神経してんの!?」

「それじゃあ!!手錠はずせよっ!!」

「それは無理」


真顔で言ってきやがった、本当にうぜぇ。


そのあと、やれやれといった感じで紅は目を自分の手で隠した。


少し手に隙間があるのは分かってんだよ。しかしつっこむのも疲れてきたのでここはあえてスルーをした。


着替えが終わり、寮を後にしようと思ったが、よく見てみると紅はワンピース一枚で寒そうなので俺はジ

ャンパーを着させてあげた。


「うわ、気持ち悪い」


紅がすぐさま俺のジャンパーを振り落とした。俺は走って寮を後にした。


なぜだろう心がすごく痛む。しかし考えてもしょうがないので俺は走る事に集中した。



▽▲▽▲▽



10分遅れで集合場所に着いた、といっても病院のすぐ前にあるコンビニである。


「悪い悪い。寝坊しちまった」


もちろん、紅のことは言わない。


「もおー、遅いよ陰君」


今日はちゃんとピンクの手袋をしていた。


「はやく群青先輩のとこいこうぜ」


秀が病院に向かって歩き始める。俺と望美は秀を追いかけ、隣に来る。


「俺がさ……何を言っても、驚くなよ」


いつになく秀は真剣な顔だった。静かに秀の言葉に耳を傾けた。


ひとつ秀が深呼吸をする。


「俺……彼女できた」


しばしの沈黙の後、俺は秀の肩に手を置いた。


「秀、殺していいか?」

「なんで?というか、彼女の名前は唯っつうんだ」

「いやいや、そんな事は聞いてねぇよ。なんで俺たちに話した?」


秀の肩に置いてある手を強く握った。


「唯っていうのは魔術大戦の時、屋上から落ちてきた女の子だよ」


あ、思い出した。


「助けた事から、交際開始ってか?」


望美が秀をひじでつつきながら言った。


「まあね。んで、話はここから。唯が、インと話したいんだって」


事実を言えば行きたくない。でも、謝らなければいけない。そして次は助けるって言わないといけない。


「分かった」

「明日の午後1時に駅前のカフェだって」


俺がうなずく。


「それよりさ、生徒会長さん元気かな?」

「大丈夫に決まってんだろ!だって俺たちの千羽高校の生徒会長の群青先輩だぜ」

「包帯をぐるぐる巻かれてミイラ女になってるんじゃね?」


俺がそういうと望美と秀からジト目でみてきた。


「あんなに必死こいて少し涙目で群青先輩を病院に送ったインがねー」

「は!?泣いてなんかねぇし、面倒だったよ!」

「へ~靴も履かずに飛び出していったのにね~」

「そ、それは………と、とにかく心配なんかしてねぇよ」


2人に笑われる。この後もいろいろ冷やかされながら静香先輩の病室にむかった。


さすがに病院のなかでは、おとなしかった。


静香先輩は個室らしく、少し騒いでもいいんじゃね?と秀が言ってた。


「失礼します」


秀がそういうと望美も言い、俺は最後に言った。そして扉を開けた。


「えっと……お邪魔でしたか?」


望美が焦ったように言った。秀が壁になって中が見えない。


俺が望美と秀をかきわけ中に入ると、静香先輩の隣でりんごの皮を剥いている男がいた。


ツンツンのウルフヘアーで顔は秀とは違うスポーツ顔のイケメンで身長は180cmぐらいあり部活帰りだと思

わせるジャージを着ている。


これから推測すると、あの男は静香先輩の彼氏か。うん、お邪魔だね。


俺たちが何もなかったようにドアを閉めようとする。


「ちょっと待って!」


静香先輩の声がする、一様止まってみる。


龍刃りゅうじんは私の幼馴染なの!」


それはそれは、幼馴染と付きあってらしたんですか。お邪魔虫は消えるとします。


俺たちが扉を閉めきってエレベーターの方向をむく。


「ちょっと待ってくれ」


低い声だがとても落ち着いていて安心する声が聞こえた。


扉を見てみるとさっきの男がいた。たしか龍刃だっけか?


「…とりあえず入ってくれ」


そのまま促されて静香先輩の病室へと入り、椅子に座らせられた。


「まず、貴方達は勘違いしています。私と龍刃は幼馴染だけで、それ以外はまぁ、一緒に学校へ行ったり

、お弁当一緒に食べたりしかしてません!」


十分カップルです。


しかし、静香先輩が頬を赤くさせながら話したところをはじめて見た。


「群青先輩と龍刃先輩はもう付き合ってますよ~」


望美が余計な事を言った。


「そ、そ、そそんなことはありません!断じて違います!ただ幼馴染だけのことです!私は龍刃のことなんか好きじゃありません!」


うわー、すげー焦ってる。もう好きだよって言ってるもんじゃん。ツンデレかよ。


「そうだ…俺と静香は付き合ってない」


こっちはこっちで鈍いな~、まぁ静香先輩は元気そうでなによりだ。


「群青先輩が元気そうなので俺達は帰ります」


秀が椅子から立ち上がり、扉のほうに向かった。


「生徒会長さん、お大事に」

「静香先輩、頑張れよ~」


俺と望美は秀の後を追って病室を後にした。


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