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視線  (side:黎人)

本編「動き出す・・・(4)」の翌朝のお話です。

「行ってらっしゃいませ。黎人様」


「行ってきます」


屋敷の者に見送られて車に乗った。

朝、当主と長男が外出する時の皆川家の習慣だ。


「コンビニに寄って」


通学途中に家の近くにあるコンビニエンスストアに寄らせた。

自分の冷蔵庫代わりに使っていた保健室の冷蔵庫の買い置きがなくなっていたことを思い出した。


「黎人様、何時ものミネラルウォーターを買い求めてくればよろしいですか?」


運転手が聞いてきたが


「自分で行く」


そう答えて運転手がドアを開けるのを待たずに自分から車を降りた。

オレらしくない行動に運転手は驚いている。自分でもおかしいとわかっている。


後部座席のドアを見ていたら、昨日腹立ちに任せて思い切りドアを閉めたヤツを思い出したんだ。



自分用の水を数本カゴに入れて、隣にある清涼飲料水の棚を見た。


利奈は何が好きなのだろうか?

ガラス扉を開けようとして止めた。今日、聞けばいい・・・


会計を終えて車に戻ると車は静かに走り出し、目を閉じて昨日の事を思い返す。



放課後に漣について行ったおかげでリサの手がかりをつかむ事ができたが、この目で見るまで信じられなかった。

地味で真面目そうな松本がリサの話し方に似ている女とはどうしても結びつかなかった。


松本は最近、漣に構われている一年生。

学園中の女から騒がれている漣に対して物怖じせずにハッキリとモノを言うから覚えていた。


体育館に入り、松本の姿を探したが見当たらなかった「利奈!」松本を呼ぶ声がしてそちらを向くと、コートの中に彼女がいた。

いつもの二つにわけた結い方ではなく、左サイドにまとめた髪、黒縁メガネは外されていた。

確かにクラスの男達が騒ぐわけだ。



なるほどね・・リサと利奈・・盲点だった。

髪型とメガネに騙されていた。


松本が3年生の男に飛ばされて床に落ちた時に、胸元からリサの証拠がキラリと光って外に飛び出した。


首にかけられたスクールリング・・・やっと見つけた。



リングを受け取るような関係の男がいるくせに利奈はキスに慣れていなかった。

初めてかと聞いたら当たりだったようで思いっきり睨んできた。



意外性だらけの女


媚びることなく、真っ直ぐに向けられる視線が好ましく思える。

簡単になびかない女・・・



――欲しい―― 


女に対してその感情を抱いたのは初めてだ


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