リシア攻略大作戦
クルスとリアは「リシアの地下」への潜入を前に、緊張した面持ちで作戦を立てていた。
「クルス、契約者が口にした『リシアの地下』……あれはやはり、黄昏の契約者の拠点なのかしら?」
「そうだと思う。でも気になるのは、彼らがリアをただ追っているだけじゃないことなんだよ。リアが“封印解除の鍵”だって言ってたのが引っかかる」
「つまり、私を捕まえて封印を解かせようとしている可能性がある……?」
クルスは頷きながら、真剣な表情を浮かべた。「うん。だから、ただ潜入するだけじゃなく、罠も考慮しないと。もしかしたら、『リシアの地下』自体が僕たちを誘い込むための罠かもしれない」
「確かに、その可能性は高いわね……」
リアも厳しい顔つきになった。闇の魔女を復活させるための契約者たちにとって、彼女が重要な“鍵”であるなら、むしろ罠を仕掛けて待ち構えていると考える方が自然だった。
クルスは「リシアの地下」のマップを再確認し、危険な位置や安全に進めるルートについて考え込んだ。特に入り組んだ構造が目立つ地下3階には、一際広い部屋があり、真ん中にはピンク色の不明な印が表示されているのが見える。リシアの地下には30名以上は赤い点も見える。
「リア、この印はおそらく古の書のある場所かもしれない。でも敵は、君をここへ誘導するために何らかの仕掛けを用意してる可能性がある。慎重にいこう」
「わかった。なるべく戦闘は避けつつ進むわ」
「そうしよう。敵が30名以上いるって分かってるし、相手は私たちが隠密魔法や影縛りを使うのを見てきたはずだから、対策してるかもしれない。だから別の方法で進もう」
クルスはさらにマップアプリを駆使して、迷宮のように入り組んだ「リシアの地下」を安全に進むための策を考えた。彼は新たな手段として、迷宮全体に「麻痺の霧」を充満させて敵の動きを止める作戦を思いついた。
「リア、この霧を発生させれば、迷宮中の敵を無力化できるはずだ。君が罠にかからないように道を作れる」
リアは慎重にうなずき、作戦の準備にかかった。
◇
夜のリシアの地下、入り口に立ったリアは指示された位置に陣取り、静かに詠唱を始めた。
「霞よ、我が道を覆い、全ての敵を沈黙に誘え……麻痺の霧よ!」
彼女の詠唱に応じて、淡い紫色の霧が静かに広がり、迷宮の通路を覆い尽くすように広がっていく。霧は壁沿いに伝って、迷宮の奥深くまで満ちていき、隠れていた契約者たちの周囲へと忍び寄った。クルスはマップアプリを通して敵の動きを監視し、次々と動きが止まるのを確認していった。
「リア、霧が広がったよ。この隙に進んで」
リアは指示に従って、迷宮の道を急いだ。だが、その時、霧の中で不意をつかれた契約者たちが苦しそうに呻き声を上げ始めた。
「うっ……体が、動かない……! な、何だこの霧は……!」
「おい、まさか罠なのか!?」
「ま、麻痺して……くそっ……!」
敵は足や腕を動かそうと試みるも、痺れた体は反応せず、崩れ落ちていく。リアは彼らの動きを確認しつつ、大広間へ続く道を急いだ。
◇
やがてリアは、最も警戒すべき大広間の前に到着した。流石に最深部までは霧は届かない。霧を避けた見張り役の二人がそこに立ちはだかっている。しかしそれも想定済みだった。クルスはマップアプリでその様子を確認し、リアに次の魔法を指示した。
「リア、この二人には『氷結の棺』を使おう。これなら素早く仕留められる。この二人が最後の敵のはずだ。」
リアは静かに剣を握り直し、再び詠唱を始めた。
「凍てつく氷よ、我が敵を包み、永遠の眠りに誘え……氷結の棺!」
リアの詠唱が響くと、冷気が彼らの足元に広がり、瞬く間にその体を包み込んでいった。氷の棺に閉じ込められた敵は、完全に動きを封じられてその場に凍りついた。リアは、広間に続く扉に手をかけようとしたその時、クルスから急報が入った。
「リア、後ろだ構えろ!霧を避けてきた敵がすごい速度で近づいてきてる!」
リアはすぐに振り返り、剣を構えた。霧を無力化する手段を持っているのか、他の契約者とは異なる鋭い気配がひしひしと迫ってくる。リアは強く息を整え、クルスからの次の指示を待ちながら、迎え撃つ準備を整えた。
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