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逆転の兆し

戦場は闇の瘴気に覆われ、エルスフィア軍の陣地は徐々に後退を余儀なくされていた。剣神エレンは無限に進化する剣を失いながらも、単身で前線に立ち続け、味方の退却を援護していた。


彼女の剣はもはや特別な力を持たないただの刃物となっていた。それでもエレンは、剣を握る手を離さず、次々と敵を斬り伏せていく。


「これが……剣神エレンか。」

ローグは戦場の後方から冷たく笑い、彼女の奮闘を観察していた。

「確かに凄まじい戦いぶりだ。だが、無限の進化を誇った剣がここで終わりを迎えた。お前はただの女戦士に成り果てたのだ」


エレンはその声に耳を貸すことなく、迫りくる闇の魔物たちを次々と薙ぎ払う。体力は限界を超え、息は荒く、血が剣の柄を伝い地に滴っていた。それでも、彼女の瞳には揺るがない決意の炎が燃えている。


「私は……この場を守る。それが剣神の役目だからだ!」


ローグが生み出した「因果逆転の刻印」により、エレンの剣技は次々と奪われていった。それまでに培った技が消え失せ、剣の輝きも完全に失われている。彼女の身体は削られ続け、周囲の兵士たちは戦慄を隠せなかった。


「エレン様が……剣神がここまで追い詰められるなんて……」


四聖剣の一人、カリス・エルヴァンが叫ぶ。「これ以上は危険です!一時的に撤退を!」

しかしエレンは首を横に振り、その場を一歩も譲らなかった。

「撤退すれば、ここで終わる。私はこの命を懸けてでも、この戦線を守り抜く!」


彼女のその声は、疲弊した兵士たちの心を震わせた。それでも、敵の数は圧倒的で、エルスフィア軍の士気は徐々に削がれていく。


四聖剣もそれぞれの持ち場で奮戦していた。

ガレン・フォルティスの【インフェルシオン】は広範囲を炎で焼き尽くしていたが、炎は次々と押し寄せる魔物たちに飲み込まれた。

「どこまで湧いてくるんだ!」ガレンは歯ぎしりしながら剣を振り続ける。


セリア・アイゼンの【グレイシャリア】は氷の結界を展開し、防衛線を維持していた。しかし瘴気に侵され、結界の光が弱まっていく。「くっ……このままでは結界が持たない……!」


リオン・グレイハルトの【アルク=ヴォルティガー】も、稲妻のごとき剣技で敵を薙ぎ払っていたが、次第に動きが鈍り始めていた。「数が多すぎる……どこかで一気に仕留めないと……」


カリス・エルヴァンの【ルクス=アストラ】は光の輝きで味方を癒し続けていたが、瘴気の影響で浄化の力が弱まっていた。「これでは、闇を払えない……」


四聖剣が奮闘する中、戦線は徐々に後退を余儀なくされ、兵士たちの士気は低下していく。エレンも体力の限界が近づいていた。

「私の剣は失われた…」エレンは天を見上げる。


ローグはその光景を見て、不敵に笑う。

「剣神エレンよ、いよいよ終わりだ。ここまで持つとは流石に思わなかったぞ。死ね!!」


その時――遠方からエルスフィア軍の救援旗が現れた。エレンの精鋭部隊と副長リリカ、ミルニアが誇るヴァルハルト部隊にS級冒険者を引き連れ、白銀の旗が輝きながら近づき、その先頭にはセルスの姿があった。


セルスは馬を駆けながら大声で叫ぶ。「エレン!今助けに来たわ!全軍我が守護精霊クルスの声を届ける。クルスの指示に従いなさい。」


彼女の声が届いた瞬間、戦場の空気が一変した。疲弊していた兵士たちの顔に希望が灯り、士気が一気に高まる。


クルスはすぐにストラテゴウスを展開し、戦況を分析する。「敵の布陣を把握した。四聖剣を各ポイントに再配置して敵の動きを封じる!エレンには一時的に後退してもらい、体力を回復させるんだ!ルシル、エレンを頼む。」


クルスの声がアークリンクを通じて全軍に響き渡る。


エレンはセルスの到着を確認し、安堵の表情を浮かべながらも首を振った。「私がここを離れれば、戦線が崩れる!」


セルスは馬を止め、エレンを見据えて力強く言った。「ダメよ、エレン。この戦場は私たちに任せて。あなたは次の一手に備えるべきよ!」


その瞬間副長のリリカが剣神が再び現れたかの如く戦場を切り裂きエレンを救出しセルスの下まで一瞬で戻る。


クルスがアークリンクで全軍に指示を伝える。「全軍、後退しつつ四聖剣とセルス隊を中心に防衛線を構築せよ!時間を稼ぎ、体勢を立て直す!」


エレンは一瞬迷ったが、セルスの自信に満ちた表情を見て深くうなずいた。「分かった。だが、私が戻るまで持ちこたえるんだぞ!」


セルスは剣を抜き、四聖剣とともに前線に立つ。

「これ以上、エルスフィアの大地を踏ませるわけにはいかない!」彼女の声が響き渡り、全軍が再び奮起した。


クルスの声がセルスに届く。

「セルス、【シェアビジョン】を試してみよう。」


セルスの見ているものをクルスのスマホに映し出して、視線を共有する機能だ。以前はクルスとセルスの共鳴が弱く使う事ができなかった。


「きっと今なら使えるはずだ。」

クルスはスマホのシェアビジョンのアプリを起動する。


セルスはその瞬間、クルスと心と身体が繋がる確かな感覚があった。

「これが繋がっているという事なの?」


「ああ、君が見ているものが俺にも見える。いくぞ」


クルスの指示で、戦況は徐々にエルスフィア軍に有利に傾き始める。ローグはその光景を見つめながら、眉をひそめた。


「この場に剣神がいなくても、まだ戦えるのか……?そうか、共鳴者か。ならばセルス王女にもここで退場願おう。剣神という最大の脅威を取り除いた以上、我が勝利は揺るぎない。」


闇の軍勢の猛攻は続くが、セルスと四聖剣、そしてクルスの戦術が新たな光をもたらしていた。エルスフィア軍の反撃は、ここから始まる。

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