表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/91

暗躍

〜アゼルド帝国 〜

アゼルド帝国の豪奢な王宮。冷たい石壁に囲まれた広間には、圧倒的な威圧感を放つ皇帝ザハード・ヴァルザークが玉座に座っていた。彼の隣には、黒いローブを纏った異様な気配を漂わせる男が静かに立っている。彼こそが「黄昏の契約者」ローグであり、闇の魔女の復活と共にアゼルド帝国の支配者に取り入った者だった。


「ザハードよ、わかっているな。我々『黄昏の契約者』は、この大陸に拠点を築くため、お前の帝国を使わせてもらう」


皇帝ザハードはその言葉に不敵な笑みを浮かべ、「もちろんだ、ローグ。我がアゼルド帝国にとっても利があるのだ。西の大陸を制し、王としての権威を確固たるものにするには、協力し合うのが賢明だろう」と応じる。


ローグは静かに頷き、冷淡な声で続けた。「最も脅威となるのはエルスフィア王国。光の民の末裔たるエルフの国だ。彼らの痕跡を大陸から完全に消し去らなければならない。そのためには、エルスフィア王国を包囲し、孤立させる必要がある」


「すでに魔物を送り込んで揺さぶりをかけたが、王女セルスの活躍で奴らは撃退された。それならば、次の策を講じるまでだ。まずはレイヴァンとノベルバを制圧し、我が領土とする。エルスフィアを取り囲むように包囲を強化するのだ」


ザハードはうなずき、冷笑を浮かべた。「王女セルスとやらがいかに優秀であろうと、包囲され孤立すればいずれは堕ちる。西の大陸の混乱を利用し、奴らを次第に追い詰める。それこそが勝利への道だ」


ローグはザハードの冷酷な策略に応じ、闇の気配を漂わせながら静かに広間を後にした。


〜エルスフィア王国〜

夜も更け、エルスフィア王国の城内に静かな緊張が漂っていた。セルスが部屋で休息を取ろうとしていたとき、クルスからのメッセージが突然届いた。


「セルスすぐに連絡欲しい緊急だ」


「クルス、どうしたの?何かあったの?」セルスは即座に応答し、不安の色を浮かべて尋ねた。


クルスの声が低く緊張に満ちていた。「セルス、緊急の報告だ。アゼルド帝国がレイヴァンとノベルバを制圧した。彼らはこの機に乗じてさらに勢力を拡大しようとしている」


セルスは一瞬息を呑み、驚きと共にクルスの言葉を待った。彼の次の言葉が、さらなる衝撃をもたらす。


「そして、次の標的はミルニアだ。このままではミルニアも陥落し、エルスフィア王国は完全に包囲される。アゼルド帝国は着実にセルス達を追い詰めようとしている」


セルスの胸には不安が広がったが、同時に強い決意も湧き上がった。「そんな……。アゼルド帝国が、ここまで侵略を進めているなんて」


「セルス、早急に国王に報告するべきだ。エルスフィア王国は次に包囲されるかもしれない。今すぐに行動を起こさなければ手遅れになる」


セルスは一瞬の迷いもなく立ち上がり、クルスに力強く返事をした。「分かったわ、クルス。すぐに父上に報告する」


彼女は急いで王の間へ向かい、クルスからの報告を国王に伝えた。


セルスの報告を受けた国王は、驚愕と怒りを隠せない表情を浮かべた。「レイヴァンとノベルバが……。奴らはこの混乱を好機と見て、侵略の手を伸ばしているというのか」


セルスは静かにうなずき、続けた。「はい、クルスの情報では次の標的はミルニアとのことです。もしミルニアが落ちれば、この国も孤立してしまいます」


国王はしばらくの沈黙の後、決意を固めた表情で命令を下した。「セルスよ、お前とエレンに百騎を与え、ミルニア救援に向かわせる。アゼルド帝国の野望を阻止し、この大陸の希望を守るのだ」


セルスは深くうなずき、その言葉を胸に刻んだ。「承知しました、父上。必ずやミルニアを守り抜きます」


広間を出ると、セルスは再びクルスに通信をつなぎ、決意を伝えた。「クルス、私たちは百騎とともにミルニアへ向かうわ。あなたの情報のおかげで、いち早く動くことができる。共鳴者として、どうか引き続きサポートをお願い」


クルスの声がスマホ越しに静かに響いた。「もちろんだ、セルス。君が無事に任務を果たせるよう、最大限のサポートをする」


こうして、セルスとクルスは再び力を合わせ、アゼルド帝国の脅威に立ち向かうために出発する準備を整える。


セルスが広間を後にしようとしたその時、重厚な足音とともに騎士たちの整然とした歩みが響き渡った。セルスが振り返ると、百騎を率いたエレンが静かに姿を現した。


エレンはエルスフィア王国で「剣神」と称され、並ぶ者のない剣技と気迫を備えた女性だ。戦場で何度も王国を守ってきたその姿は、エルスフィアの象徴とされていた。


エレンはセルスの目を見据え、深い声で言葉をかけた。「セルス様、私たちは準備を整えました。百の騎士たちが命を賭して、あなたに従う覚悟です」


彼の瞳には静かな炎が宿っており、セルスもまた、その鋭い眼差しに応じるように力強くうなずいた。「ありがとう、エレン。私たちの使命は、エルスフィア王国だけでなく、この大陸の希望を守ること。そのために力を貸してほしい」


エレンは微かに口元を引き締め、騎士たちを背に誓いを立てるように言葉を続けた。「どこまでも共に参りましょう。たとえ魔物が押し寄せようと、闇の脅威が立ちはだかろうと、我らは王国とあなたを守り抜く覚悟です。…とでも言うと思ったか?怪我すると面倒だから後ろにセルスは隠れていろ。」


セルスは飛び跳ねながら講義する「エレン!私はもうあの時の私じゃない!子供扱いしないで!」


「どうだかな」


こうして、セルスとエレン、そして選りすぐりの百騎は、アゼルド帝国の脅威から大陸を守るための危険な旅路へと進む。



だがその時、その光景を冷たい目で見ていた怪しい男が黙ってそこから立ち去る。

「ローグ様、セルスと剣神が予定通りミルニアに向けて出発しました」


何やら不穏な企みがそこには隠されていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ