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影の男

リアが敵と対峙し、冷静に相手を見据えていると、目の前の男が不敵な笑みを浮かべ、冷ややかな声で言い放った。


「お前、本当にエルフか?まるで全て事前にわかっているかのようじゃないか」


その言葉に、リアは眉をひそめた。敵のその冷静な眼差しと鋭い言葉から、ただの追っ手ではない、何か特別な力を持つ相手であることが伺えた。


「私がエルフであるかは関係ない。ここでお前を倒す、それだけだ」


リアが剣を構えると、男は鼻で笑い、手をかざして暗い光を纏い始めた。


「お前の力がどれほどか、見極めさせてもらおうか。だが、エルフの守護者ならば、この程度で足りるか?」


リアはその言葉を無視し、全神経を研ぎ澄ませた。相手がどのような攻撃を仕掛けてくるか、そのわずかな兆候を逃さないように集中する。クルスも状況をスマホ越しに観察し、リアの戦闘を支援するため、すぐに魔法翻訳アプリで対策を検索し始めた。


「リア、強力な防御魔法の一つ、『聖盾の結界』を試そう。詠唱を二詠唱に短縮できるから、相手の力をまず見極める防御として役に立つはずだ」


リアはクルスの指示を受け、詠唱に入った。


「聖なる力よ、我が盾となり、闇の力を防げ。聖盾の結界!」


リアの周囲に眩い光が広がり、結界が形成された。それと同時に、敵は暗黒の魔法を放ち、闇の力が螺旋状にリアに迫ってきた。しかし、結界がその闇の力を打ち消し、衝撃波だけが周囲に散らばる。


男は少し驚いたように眉を上げた。「ふん……なかなかやるな」


リアは素早くクルスに次の指示を求める。「クルス、彼の魔力の動きが異常に速い。もう少し持続力のある防御が欲しいわ」


クルスは魔法翻訳アプリで検索を続け、「影防壁」という持続力のある防御魔法を提案した。


「リア、影防壁なら防御を持続できるし、周りに影を広げて攻撃の隙を狙える。詠唱は三詠唱だけど、短縮詠唱を使えば、隙を見逃さず反撃できるはずだ」


リアは剣を構え直し、再び詠唱を始めた。


「闇の力よ、我が盾となり、我が敵を包み込め――影防壁!」


リアの周囲に闇の影が覆い尽くし、男の視界が一瞬遮られる。その一瞬を見逃さず、リアは男の死角に回り込むと同時に剣を振りかざし、一気に攻撃を仕掛けた。


しかし男もただの相手ではなかった。彼はその気配を察知し、間一髪で回避して反撃の構えを取る。


「ほう、やはりただのエルフではないようだな。ならば……これでどうだ!」


男は再び暗黒の力を集中させ、周囲の空気が一気に重くなる。リアはその強烈な圧力を感じ取りながらも、クルスの声を聞き逃さなかった。


「リア、次は光属性の一撃が効くはずだ。『神聖の閃光』を使ってみて!」


リアは再度集中し、クルスの指示に従って光の力を剣に込めた。


「神聖なる光よ、闇を打ち砕け――神聖の閃光!」


リアの剣が輝き、敵に向かって放たれたその一閃が闇の力を貫いた。男は光の力に包まれ、身動きが取れなくなり、痛みで顔を歪めた。


「リアが「神聖の閃光」を放ち、眩い光が男を包み込むと、敵は一瞬たじろぎ、身動きが取れなくなった。その痛みと驚きに表情を歪ませながらも、彼は呟いた。


「ぐっ……これほどの力を持つとは……だが、お前誰と喋ってる?なぜ八詠唱級の魔法をそんなに短詠唱で使える……?」


リアがその言葉にわずかに反応すると、男は薄笑いを浮かべながら、一つの答えにたどり着いたかのように、静かに言葉を続けた。


「そうか、そういうことか……共鳴者がいるのか」


彼の視線は鋭くリアを見据えていた。彼女がただのエルフではなく、何か特別な力を得ているのだと確信したような眼差しだ。その視線には、彼女に隠された謎を見抜こうとする不気味な執念が漂っていた。


リアはその視線に怯まず、剣を構え直し、強い意志を込めて答えた。「何がどうかなんて、あなたには関係ないことよ」


男はその言葉に一瞬口元を歪め、最後の力を振り絞って言い放った。


「貴様の力の源は……まだ全てはわからないが……次に会う時を楽しみにしているぞ……」


その言葉を最後に、男は影の中へと消え、姿を消していった。


クルスはリアに問いかける。

「リアどうなった?倒したか?くそ音声では詳細がわからない」


「クルス大丈夫。敵は影に消えていったわ。マップで周りを警戒してくれる?」

リアは冷静にクルスに警戒を依頼する。


「大丈夫だ。異常はない」クルスはマップを確認して異常がない事を伝える。


「ここが目的地ね。古の書を取り戻さないと。」


「リアここからは何があるかわからない。視覚共有オプティ・ヴィジョンを使おう。」


リアはクルスと共鳴して繋がる。その瞬間二人の心と身体が一つになる確かな感触があった。


「クルス離れているけど貴方を近くに感じる」


「俺もだリア。さあ一緒に進もう。」





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