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彼らの登らない古塔生活  作者: うめつきおちゃ
少年が、我に帰る
30/50

バックギャモン

少し休んだ後ノエルはエドガワさんの所へ行く、と言うので解散する事にし俺は1人で歩いていた。

すると何やら楽しそうな声で騒ぐ集団を見かける、横目で見てみるとどうやらバックギャモンをに興じているらしい人々の中にクラマーの姿を見かけた。


というかその人集りの中心はクラマーだった。


(今日は本当に人の珍しいところが見える不思議な日だ。)


ギャラリーに何事かと聞いてみるとどうやらクラマーの対戦相手の女性は界隈でほぼ負けなしの強豪らしいが現在その強豪相手に肉薄しているとのことだ。


集中しているのが傍目に見ても明らかなので声はかけずにその場を後にする。


(楽しそうなところ邪魔しても悪いし帰るか、あの調子なら夜には機嫌も戻るだろう。)


と思ったらギャラリーから「あちゃーやっぱりキャメロンの勝ちかー」とか「惜しかったけどなぁ」とか聞こえてきた。


どうやら負けたようだ。


クラマーと目が合うとバツの悪そうな顔を一瞬したが顔を振るといつもの優しい表情を取り戻しコチラへやってきた。


「よっ!惜しかったみたいだな。」


と声をかける。


「なんだか変な所見られちゃったな。」


「気にするなよ。ストレス発散は誰にだって必要さ。」


「ストレスって、ほどでもないんだけどね。」


ノエルから過去について聞いてしまった事について言っておいたほうがいいだろうか、ノエルから伝えた方が角が立たないかとか考えているとクラマーの方から


「今朝はごめんね。感じ悪かったよね。」


と言われてしまった。


「いや、色々あるんだろ。」


「ハハ、うん。そのうち話すね。」


「あー‥‥その、申し訳ないんだけど、ノエルから聞いたんだ。」


「聞いたって何を?」


「クラマーが登りたくない理解を。」


「そっか、うん。自分で話すのはちょっと辛いから助かったかな。あとでノエルにお礼言わなきゃ。」


怒ってなさそうだ。

というより機嫌が良さそうだ。

憑き物が取れたような表情でクラマーは続ける。


「シイナとノツダには言わないでね。あの2人にはまだ早いと思うんだ。人が死ぬって話は。」


「そうか?逆に早くしておいた方が良いと思うけどな。自分たちのしてる仕事がどういう危険を包括してるかなんて早いうちにわかった方が覚悟も決まるだろ。」


「そういう考えもあるのか。」


「クラマーはあの2人の世話役だから俺より幼く見えてるんだろうな。」


ほんとは[亡くなった子と2人を重ねて見てるんだろ」って言いたかった。


「でも、確かにそうかもね。うん、帰ったら話してみるよ。」


「一応言っとくと別に俺が上層階に興味があるから言ってるとかじゃないからな。まぁ興味はあるけど。」


「ハハっ、わかってるよ。ちゃんと話してみる。」


そういうとクラマーは宿に帰るようだ。

その背中に向けて


「そういえばアキラってのはその、亡くなった2人のどちらかの名前なのか。」


と尋ねると違うよ。とだけ微笑んでいた。


いや別にそんなに引っ張る必要ないだろ早く教えてくれよ。


クラマーと2人で宿へ帰る途中でさっき見た光景について聞いてみた。


「バックギャモン強いんだな。」


「そうでもないよ、負けちゃったし。興味ある?」


「やったことないけど、どうだろう。」


「ここは娯楽が少ないからね。覚えておいて損はないと思うよ。」


「麻雀ならわかんだけどな。」


「麻雀?‥麻雀か、思い出した。あったね!麻雀。」


‥どうやら今急に思い出したらしい。

という俺も会話の中で急に[麻雀]という単語が降ってきた気がする。


俺たちにはこういう事がよく起こる。

大事なことを思い出そうとしても思い出せないのにどうでも良い単語などは急に思い出すのだ。


「なんか誰かに操作されてるみたいだな。」


と呟くとクラマーは宿の扉を開けながら「それを紐解くのはローガンたちの仕事だね」と言った。


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