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彼らの登らない古塔生活  作者: うめつきおちゃ
少年が、我に帰る
28/50

登らない理由[前]

広場へ入り大通りの裏へ回ると喫食スペースの併設した屋台がいくつかある。


いつもは塔に入る前に腹ごしらえする人たちがごった返すイメージだったがラッシュ時を過ぎた今は人がまばらだ。

落ち着いて話をするにはちょうどいいだろう。


「何から話そうか‥。」


お互いに注文を済まして飲み物を席に運ぶとノエルがそう言ってテーブルに突っ伏した。

今日はずいぶんとみんなの珍しい姿が見える日だな、なんて思ってると


「ウチらはさ、実は全員が同じタイミングでココに来た訳じゃないんだよ。」


と突っ伏したままのノエルが呟く。


「そうなのか?たしか普通コチラに新しい人が来る時期ってのは決まってるんだよな。」


だから俺のことを時期ハズレのルーキーって呼ぶ人たちがいたはずだ。

というか今もそう呼ぶ人が何人かいる。

となると俺だけが時期ハズレと呼ばれてるんだ。


「うん。でも時期は同じなんだよね。違うのは周期っていうか。‥私たち、私とシイナとノツダが来る1年前からクラマーはこっちに来てたんだよ。」


「なるほど。‥え?1年前?」


たしか[どこか]から[こちら]へ人がやって来るのは1年毎だと聞いたことがある。

つまり、クラマーはこのパーティが組まれる事になるまでの1年間、どこかでなにかしていたようだ。


「そう1年、私たちの前の周期で来たみたい。」


「その間に何かあって、今の[上層階を目指したくないクラマー]ができたって訳か。」


「クラマー本人や周りの人から聞いた感じだと元々の性格もあるらしいけど、まぁ概ねそんな感じかな。」


「で?わざわざ外に出したんだ、その何かを教えてくれるんだろ。」


「まぁそうなるね。私から話していいのか微妙なところだけど。」


「教えてくれ。」


「わかったよ、もともとそのつもりだったし。」


ノエルは気が乗らないようだ。

当然だ、きっと本人の口から言うべきことを今から言おうとしているのだから。


「クラマーがこっちに来た時、一緒に来た人が他に5人いたんだって。知ってる?来る人の人数って割とバラバラで多いと10人以上来るし少ない時は3人とかなんだって、ちなみに私の時はシイナとノツダともう1人の4人だったんだ。」


「知らなかった。‥俺は1人だったけど‥‥あー、そっか。だから最初ここに来た時あんなに囲まれたのか!」


「え?囲まれたんだ。それは多分、そうだね。時期ハズレだし単独だったからみんな物珍しかったんだと思うよ。普通何人かで固まってここまで来て人海戦術で色々と情報集めるとこから始まるみたいだし。エドガワさんとかもそうやって情報集めたって言ってたよ。」


相当珍しいパターンだったね。とノエルは笑い

ながら飲み物を飲み干し、2杯目を買いに行った。

木で作られたコップの中を見ると空になっていた。

いつの間にか飲み干していた。

砂漠は今日も暑い。

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