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彼らの登らない古塔生活  作者: うめつきおちゃ
そびえる塔、群がる人たち
11/50

二回戦

突然目の前で閃光がはじける。


眩しいは眩しいがまだ陽が出てるので視界が奪われるというほどではなかった。


だが、それ以上に驚いた。



昨日の夕食時に聞いていなければソレがシイナによる魔法によるものだとわからなかっただろう。


ゴブリンたちは魔法のことなど知らないようで3匹とも動きが止まっている。


シイナが来てるということは他のメンバーも来ているかもしれない。


「今だぁオラァァァ!!!!!」




後方からノツダが飛び出してきた。


向かって左側にいる小柄なゴブリンに向けてノツダが槍を突き刺す。


それとほぼ同時にまたも後方から何かが飛んでいって右側にゴブリンの頭部に弾かれる。


弾き返したとはいえ頭部に攻撃が直撃したゴブリンは態勢を崩した。


それはノエルの弓だった。


ノツダの槍が左のゴブリンの肩を削ったらしく痛そうにしている。


中央のゴブリンはシイナの魔法が位置的に直撃したようで未だに目が効かなそうだ。


順当に行くなら左右を抑えてもらってる今中央を攻めるべきかもしれない。


だけど俺たちは全員がルーキーなのだ。


先の一戦が経験となって自らの火力不足を痛感したてだし、ノツダはおそらくまだ成長期、筋力も体重もまだまだ足りていない。


ヤるべきは向かって左のゴブリン、肩を庇うコイツを先ずはノツダとの2対1で迅速に片づけるべく左へ走り出す。


俺の動きをみて察してくれたのかクラマーが魔法石を掲げる。


「風魔法 ウインドスラップ!!」


右側からゴブリンの怒号と川に落ちたであろう音が聞こえた。


クラマーの魔法か!

上手いな、端の一匹を川に落としたようだ!



これで5対2、いや混戦状態でシイナを活かせる戦術も連携もまだないので実質は4体2か。


ノツダの最初の一撃分アドバンテージがあるこちら側で早く優位を作る必要があるな。


急いで近接用の短剣に持ち替えたクラマーとノエルが中央のゴブリンと牽制しあう。


肩を庇いながらノツダの猛攻に対応し続けてるゴブリンにナイフを投げつける。

こちらを警戒してなかったのか背中に当たる。

一瞬こちらに意識が向いた隙をついてノツダが攻める。


ウラアァァァ!!


叫びながらの突きをギリギリで避けるゴブリン。

せっかく注意がそれたのにノツダ自身の叫び声でそれをフイにするのはもったいない。


が、またもゴブリンの意識がノツダ側に向いたその瞬間ゴブリンの背後から腕を使い首を絞める。



(それはもうさっき学んだ!今度は離さない。)



力強く暴れるのも、その力が見た目からは想像つかないほどのものだということも既に知っている。


暴れた分早く息が切れたのか思いのほか早く崩れ落ちる。

手に持っていた小ぶりなこん棒のようなものが手から落ちたのを見て腕を離す。

ノツダが槍でトドメを刺す。


少しノツダの眼が暗くなった気がする。

おそらく初めて命を奪ったのだろう。


(悪いが俺たちに感傷に浸る余裕はないんだ。)


川に落ちたゴブリンが戻ったのかノエルとクラマーがそれぞれ1対1を行っている。


「ヤバい!もう無理!死んじゃうって!うわっ!やばいホントに!」


ノエルが叫びながらゴブリンの猛攻を捌いている。

一撃捌くごとになにか叫んでいる。

器用だな。


「ノツダ!俺はノエルを手伝うからお前はクラマーをカバーしてくれ!!」


少し疲れた様子のノツダが力無く頷くのを見てすぐに駆け出した。


こちらの存在に気付いたノエルがと叫ぶ。


「遅いよ!うそっ!ありがとう!でももう限界!」


「悪い!これでも急いできたんだっ!!」


防御に徹しているとはいえ本職じゃないはずの近接戦でここまで動けるとは素晴らしいポテンシャルだ。


「もう一度川に落とす!」


ノエルの返事を待たずゴブリンに回し蹴りを叩き込む。

軽い。


やはりコイツらは打撃系の攻撃に対して跳んで威力を殺そうとするらしい。


ボチャンっ!



2度目の落水にゴブリンは怒り心頭の様子で何かわからないが叫び声をあげながらこちらを睨んでいる。


「ノエル、悪いが息が整ったらクラマーたちの所に合流してくれ。」


とノエルに伝えると息を切らしながら中央へ歩き出してくれた。


何か言いたげだったが言う元気もなかったのだろう。

これで中央は3対1だ。

恐らく余裕だろう。


問題は自分が望んだとはいえ1対1の構図となった此方だろう。


まさに鬼の形相のゴブリンが川の中からこちらは飛び掛かろうとしている。


「こいよ小鬼ヤロウ!正真正銘のタイマンだ!!」


命のやり取りに少し興奮する自分がいた。



2024/08/08 修正 改行


文字で情報を伝えるのって難しいですね。

伝わっていますでしょうか。

読んでいただきありがとうございます。



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