塔があった。
塔があった。
とても高い塔だ。
それは雲を割り天を衝くほど高く大きい。
これだけ離れていてもその威圧感を感じることができる。
(距離感がおかしくなるな…。)
最初は近くに見えたがそんなことはなかったようだ。
だいぶ歩かされた。
近づいてわかったが大きさもさることながら、今にも朽ちて崩壊しそうなほど古い。
建てられてからどれだけの月日が経ったのか想像もつかない。
塔のすぐ近くまで来ると人の気配がすることに気が付いた。食べ物の匂いもする。
とりあえず、今いるここには入口も見当たらないので塔の正面ではないらしい。
人の気配のするほうへ進むと広場のような場所に出た。
思いのほか多くの人がいる。
(街?と言うほどの規模じゃなさそうだがずいぶんと賑わってるな。昼飯時なのか?)
地元民のようなラフな格好の人は少ない。
観光客のようないでたちの人は皆無だ。
それよりも目につくのは違いこそ判らないが甲冑だか鎧だかを着た人たちだ。
いや、ここにいる人たちの中ではどちらかというとただのTシャツ姿の自分のほうが目立つかもしれない。
そんなことを考えながら辺りを見回していると「もし。」と声を掛けられた。
振り返るとそこには向こう側の景色が透けて見える【半透明】の人間が立っていた。
「っ・・なんだお前はっっ!!?」
全力で叫んだ意味が分からなすぎる。神の使いかなんかなのか。
周りの人たちはこちらを遠巻きに見ながら笑ってる。
こいつが見えていないのか、それとも見慣れているのか。
警戒心から後ずさりするこちらの事など意に介さないように口を開く。
「ルールの説明をします。そこの塔を登ってください。最上階まで登れれば勝利です。ルールは以上となります。なにか質問はございますか。」
当たり前のようにこちらの問いを無視して言いたいことだけ言いやがった。
無機質なのは声だけじゃなさそうだ。
(なんだコイツは?!質問?質問って言ったか!?)
ここは何だとか、ここはどこだとか、お前は何だとか聞きたいことは山のように思いつくが今、一番知りたいことを素直に聞くことにする。
コレを聞かなきゃ何も始まらない。
「俺は‥誰なんだ。」
2024/08/08 修正/更新
読みにくいと思われる部分を修正しました。