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evil tale  作者: 明間アキラ
第二章 「変身」 ー第二地区襲撃編ー
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第十五話「帰還:前編」

ルーカスとリリーは無数の瓦礫と

倒れた人の上に立っていた。


「ハハハハハ、アア、悪い 

変なこと言った。ハイになってたんだ。

ああ、頭が変になってる」


上機嫌なルーカスから黒が引いていく。

黒い触手が溶けて地面に落ち、

浮き出ていた黒い管も黒い前腕も

段々と元の色に戻っていった。


人間の体に戻る。

それをリリーは眺めていた。


「・・・・・・・」

遠く、光のない眼はルーカスを見つめ、


「もう、終わったから帰らないと」


とだけぽつりとつぶやく。


「ああ、わかった。」


二人はその瓦礫を踏み越え、転がる誰かの亡骸を

越えて、基地の裏側へと出た。


足に伝わる肉と石の感触、

それも気にせず、ずしずしとルーカスは歩いていき、

リリーはそれらとは逆に、彼らを避けるように歩いていった。


二人がそれを踏み越えて着いたのは

ルーカスが開けた裏側の穴


それを潜り抜けると


「お疲れ様っす」

そこにはもうサラがいた。


「じゃあ、さっさと帰りましょう」


その貼り付けられたような笑顔とは対照的な

暗く、低い声で、彼女はそう言い、

三人はそのままの足取りで

ある方向へと歩きだした。


話すこともなく、ただ無心で歩く三人、

するとそこへ何人かの厚着をした連中が

待っていた。


「お疲れさまでした。サラさん。」


三人がその連中に案内され、

たどり着いたのは都市の真ん中にある格式高そうな建物だ。


周りは何やらざわついているが、

案内してくれた連中と同じ、

分厚いコートとズボンを履き

突撃銃のようなものを持った人々が

周りを散策していた。


それとサラの目が合うと

皆一様に頭を下げ、

建物の中に通される。


石造りの建物はなぜか横の穴にぽっかりと穴が開き、玄関はひどい有様だったが、

二階以降は役所らしい書類の山と机に包まれた施設だ。


階段を上り、局長室と書かれた部屋にはいると

そこにはテオがいた。

恐らく局長が座っていたのであろう

椅子に彼が座り、何やら色んな人の報告を聞いている。



そこにサラが入る。

すると全員がどき、サラは報告を始めた。


「・・・・そういうわけで襲撃は完了しました。」


事の顛末をまとめて話すサラ

死者重傷者は多数、この都市の粛清騎士たちの本部は壊滅したと

淡々と口にした。


「よくやった。ご苦労さん

・・・じゃあ、ルーカス」


手で合図を送るとルーカスを前に立たせた。


「これから少し後、俺たちは本拠地へ帰る。

その前に決めて欲しいことがある。今後の事だ」


テオは高そうな椅子に深く腰掛け、そう口にする


「どうする?

前言った選択肢の三つ目の四つ目のどっちを選ぶ?」


「・・・・・・」


無言で少し考えた後、彼は笑顔でこう答えた。


テオにも似た邪悪な笑顔

それを顔に浮かべて、

「これからも協力するよ」と


「ほう」

テオが消え、ルーカスの前に現れ、


「それじゃあ、

あんたは今から特別遊撃隊の隊員だ。

まあ、あんた含めて三人しかいないが、

改めてよろしくな」


そう言って手を差し出してきた。


笑顔で手を取り、握手を交わす二人


「いや、俺はてっきり、もうついては来ないと思ってたんだぜ?

それに、えらく雰囲気が変わったんじゃないか?」


ついさっき二人で会った時、

ルーカスはぼんやりとしていた。


何もかもわからないと言った顔で

テオの話を聞いていた。


それが今は、なぜか

随分と上機嫌だ。

吹っ切れたようにも見えるだろう。


「あんたの言う通りだったんだ

俺は一人だ

帰るところもない。

やることもない。」


ルーカスの手が黒くなり、

首には黒い管が浮かび上がり、

朗々と語りだす。


「これが何なのかも全くわからないし、

たった今これで大量の人を殺した。

本当に後戻りできなくなってきちまった」


そうやって淡々と言葉をつむんでいく

彼のテオを見る目は

白黒が入れ替わっている。


人とは思えない目、その中には並々ならぬ狂気

あらゆる感情が合わさってできた劇物

それをのぞかせて、


「だからひとまず、あんたが俺を必要って言うならそれに応えようと思う。」


そういった。


「・・・そうか、なら、まずは」


それに対し、何食わぬ顔で応え、

テオがまた消えた。

そして、少しするとまた現れた。


「服を着てくれ」

手に服をもって


ルーカスは別室で、びりびりに破けて意味をなさなくなった

白いシャツを捨て、なぜか体と一緒に変化した黒いズボンを脱ぎ、

渡されたものを着た。


(黒一色のスーツ?)


シャツまで黒一色のジャケット一式を着る。

ボタンは留めずに、あけっぴろげにしてそのまま部屋に戻った。



「じゃあ、改めて同じ隊のメンバーと親睦でも深めといてくれ

サラ、応接間で二人に案内しといてくれ」


そして、


「これからよろしく頼むよ、ルーカス」


テオはまたあの笑顔でそう言い三人を見送った。






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