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花乙女は愛に咲く  作者: 遠野まさみ
リンファスとロレシオ2

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(2)

――『君が僕に示してくれる僕の感情の証として君の身に何が起こるのか、それが気になるのさ』


ロレシオの感情の証としてリンファスの身に起きる変化と言ったら花の事だろうか? 


ロレシオはリンファスに自分の花が咲けばいいと思っているのだろうか? 

だとしたら、何故? 

リンファスは館に居る花乙女の中でも格段に見目良くないと思う。それはファトマルが常々言っていたから分かっている。

だから、アキムやルドヴィックの花が咲いた時もちょっと驚いた。

でもアキムやルドヴィックは乙女やイヴラが集まるときだけ会うだけで、こんな風に決められた会合以外で会おうとは言ってこなかった。


この前新しくリンファスに着いたロレシオの花は『友情』の花だし、『友情』の花はロレシオの目の前で咲いたのだから、これ以上花が咲くとは思えない。


いや、今度会って何か失敗をしたら、今身に着けているロレシオの『友情』の花も咲かなくなってしまうかもしれない。

一番最初に咲いた花は、空腹に耐えられずにリンファスが食べてしまった後咲かなかった。

だから今でも、食事で花を食べて、朝食後には全ての花をアスナイヌトの為に摘み取った後にも新しい花が着くかどうかは分からないのだ。


リンファスの場合、新しく着かない可能性の方が高い。だって、リンファスにそんなに気持ちを傾けてくれる人が居るとは思えないからだ。

そのリンファスに咲く花を確認して、ロレシオはどうしようと言うのだろう?


(……もしくは、別の理由、とか……?)


でも、だったらもっと器量よしの乙女を連れて歩いた方が、男性は気分が良いのではないだろうか。

サラティアナは華やかな顔立ちだし、プルネルはやさしくて安心できる雰囲気を醸し出している。

他にも、乙女だったらいくらでも居ると思うのに、何故リンファスなんだろう?


(駄目だわ、やっぱり考えても分からない……)


ロレシオの意図が分からない。

ただ、悪意があるわけではないと、あの時の会話で分かる。

彼の意図が分からなくても誘いを受け、ケイトに確認されても行くと決断した理由はそれだった。


――『人とお会いしないと、好いてももらえないし、人と話さなければ、自分のことを分かってもいただけないし、愛してもいただけないのよ』


何度も思い出している、プルネルの言葉だ。


リンファスの意識を変えたあの言葉。あの言葉をよりどころにするのであれば、リンファスはアキムやルドヴィック、そしてロレシオと会うことを重ね、話し、自分のことを分かってもらうことが必要だ。

その先の、『愛される』ということ自体については分かっていないからどうなるかは分からないが、花乙女としての役割を果たすのであれば、今リンファスを知ってくれたあの三人と話すことを恐れてはいけない。そう思ったのだ。


だからロレシオに会う。そして話をして、出来れば自分のことを分かってもらえたら良いなと思うのだ。

だから、土曜日が少しでもそういう機会になれば良い。……でも。


(……なんだか、緊張してきたわ……)


思えば二人だけで出掛けるなんて、世界樹へ花を運ぶためにハラントと一緒に荷馬車に乗るか、プルネルと行き来した舞踏会への道すがらくらいだ。


ハラントとプルネルは多少人となりを知っているから安心していたが、ロレシオはインタルへの道すがらと、一度街へ行ってはもらった、その二回くらいで、どちらの時もとても気安く話し掛けられるような雰囲気ではなかったから、この前の彼の様子の方が嘘のようだったし、そもそも彼のことを全然知らない。


(私……、大丈夫かしら……)


そしてなにが、とも分からず漠然とした不安を持ったまま、リンファスは土曜日を迎えた。


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