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花乙女は愛に咲く  作者: 遠野まさみ
リンファスとロレシオ

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(25)

「……驚いたな……。……僕の心は、本当は生きていたのか……?」


どういう、ことだろう? 

でも彼が呆けている様子だったから、聞かない方が良いのかと思って黙っていた。

少し黙っていると、彼がふっ、と息を漏らした。


「君と話をしていると、僕の心にも血が通っていたのではないかという気持ちになるな……。不思議だよ、君という存在が……」


彼の言う気持ちが、リンファスにも少しわかる。


ウエルトの村では気持ちを無にして働いていた。売り上げが少なくてファトマルにぶたれたことも、食事を摂らせてもらえなかったことも、村人から冷たい言葉を掛けられた時も、彼らに何かを思うのではなく、自分に非があるからと、それ以上考えないようにして来た。

非があってもリンファスに改善する手立てがなかったからだ。ひたすら働いて何も考えずに毎日を過ごしていた。


インタルに来て、リンファスは自分に対する感情や、寄せられる思いを知った。

それはウエルトの村に居る時よりもリンファスの心をあたたかくして、リンファスは初めて人に対して感情を持った。彼も同じなのかもしれない、と思った。


「あの……、差し出がましいことを申し上げたらすみません……。

私の友人が……『人と話さなければ、自分のことを分かってももらえない』と言っていました。

私は……、インタルに来るまで心の底から人と話したことがありませんでした……。彼女は私と話をしたことで、私に『友情』の花をくれたんです。

だから……、今、貴方と少しお話をしたことで……、貴方が私に花を咲かせてくれたのなら……、それは……、私が貴方に示せる貴方の感情として、喜んでいただけることなのではないでしょうか……」


花は贈り主の感情の表れだから……、リンファスがプルネルに贈ってもらったような感情が溢れた結果この花が咲いたのなら、プルネルが喜んでくれたように、彼も喜んではくれないだろうか……。


彼はリンファスに最初にくれた花を『憐み』だと言っていたから、リンファスのことを厭っていて、そのリンファスに花が咲いても嬉しくないかもしれない。

おどおどしながら彼に自分なりの考えを述べてみると、彼はやはり闇の空気を震わせるようにふっと笑った。


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