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花乙女は愛に咲く  作者: 遠野まさみ
リンファスとロレシオ

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(18)

「僕は友人というものは沢山居ればいるほど、自分が豊かになると思ってるんだ。だから礼には及ばないよ。

僕が花乙女だったら、ここで君の花が咲くところだったのかな」


アキムは冗談も交えて、リンファスの気持ちが自分に開いているかどうかを訊ねた。

アキムはリンファスのことを、言葉を交わしたうえで受け入れてくれた。……リンファスに、それが出来るだろうか……? 

プルネルの友人としてではなく、リンファスの、アキムに対する感情は……?


「え……、ええと……」


直ぐに答えが出なくて、リンファスは口ごもった。それに対してアキムは、そうだな、と頷いた。


「それで良いんだよ、リンファス。プルネルと違って、君はここに来てまだそんなに時間が経っていないだろう? 

プルネルと仲良くなるのにだって、時間が掛かった筈だ。それと同じだけの時間を、僕たちに掛けてくれていいんだよ」


アキムはリンファスの頭のまわらないことを理解してくれて、そしてそれでもいい、と言ってくれた。そのことに安堵し、リンファスはこれだけは言える、と思った。


「あ、あの、アキム、ありがとう……。……私、貴方の事、いい人だと、思います」


おどおどと発言してみるとアキムが、それはありがとう、とリンファスに礼を言った。リンファスの心がじんわりとあたたかくなる。

……自分の気持ちを受け入れてもらえるって、こんなに嬉しいことだったんだ……。


ウエルトの村では勿論、インタルに来てからも、自分の気持ちを言うなんてことは殆どなかった。

仕事は食事と住まいがあることへの恩義だったし、花乙女としての役割を果たしていないことへの罪悪感から、それが当たり前だと思っているからやりたいと言っただけだ。


もし自分が花乙女として役目をはたしていたら、そんな引け目を感じずに居られたかもしれない。

でも現実としてリンファスに咲いている花は現在でも少なく、毎朝食事の後に摘み取るたびに咲く花はプルネルの花とロレシオの蒼い花だけだ。

愛されて幸せになる役目を果たせないうちは、自分の気持ちなんて持つべきものではないと思っていただけに、アキムの言葉はリンファスの心に深く染みた。



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