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花乙女は愛に咲く  作者: 遠野まさみ
舞踏会へ

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(6)

「もう直ぐダンスが始まるわ。リンファスは舞踏会が初めてなの。もしよろしかったら、彼女をパートナーにして差し上げて欲しいわ」


リンファスを気遣う言葉に、しかし二人は困ったような顔をした。


「しかし、プルネル。彼女には僕たちの花が咲いていないだろう? この場で踊ることは無理だ」


「次の茶話会でまた会おうじゃないか、リンファス」


イヴラの二人はそう言って、ルドヴィックは人垣の方へ、そしてアキムはプルネルの手を取った。プルネルは困ったようにリンファスを振り返ってこう言った。


「リンファス。少し踊ったら戻ってくるわ。それまで待っていて」


先程の二人の話を聞くに、自分の花が咲いていないリンファスの相手は出来ないのだろう。それに比べるとプルネルには沢山の花が着いている。その分、踊るのだなと思って、リンファスは自分のことは気にしないようにと言った。


「ここまで連れてきてくれただけでも、とても感謝しているわ、プルネル。ダンスを楽しんで来て」


アキムに連れられて広間へ行くプルネルを見送る。そして部屋を見渡せば、先ほどまで人が溢れていたのに、もうその人たちは広間に行ってしまったのか、部屋にはリンファスが一人ぽつんと残されただけだった。


華やかな音楽が広間に鳴り響く。沢山の花乙女とイヴラがくるくると音楽に合わせてダンスを踊っている様子を、リンファスは壁に背を預けて見ていた。


……きれいだ。花咲く花乙女たちがドレスを翻して、そう、花の精のように踊り、微笑む。相手のイヴラも身に纏う色でその場を華やがせていた。

最初に宿舎の談話室で少女たちに会った時のような……否、それ以上の色の洪水だった。


オファンズの屋敷のように壁が色彩鮮やかな絵画で飾られていないのは、これが理由かと理解した。

つまり、花乙女とイヴラの色を引き立たせるために、敢えて白い壁と天井なのだ。

リンファスは、ウエルトの村で子供たちが遊んでいたシャボンを思い出した。あれは高価な石鹸を溶かした水を、葦の茎を通した息を吹きかけることによって出来るものだと、子供に説明している村の女性の言葉を思い出した。

そしてその輝きを、リンファスは雨上がりに見かける虹のようだと思ったのだ。


溢れんばかりの笑顔で踊る花乙女とイヴラたちは、そのシャボンの虹の輝きに負けないくらいきらきらしていた。

その場に、リンファスのような娘は相応しくない。


リンファスは、そっと部屋から出ると、白いテラスから庭へ降りた。


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