表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
花乙女は愛に咲く  作者: 遠野まさみ
舞踏会へ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

59/142

(5)


舞踏会会場は広くて豪奢だった。


白くてアーチ型になった高い天井。

正面の壁の高い位置に彫られたアスナイヌトの像。

天井から釣り下がるいくつものシャンデリア。


あちこちに活けられた色とりどりの花。

茶色の濃淡のタイルによる幾何学模様が施された広間の床。

ふかふかの赤い絨毯。

飲食をする部屋は別に設けられていて、お菓子や軽食、飲み物が用意されていた。


地主のオファンズの屋敷以上の……いや、比べ物にならないくらいに華やかな場所だった。


リンファスは入り口を通され、広間が目の前に広がったとたんにその様子に尻込みをしてしまった。

ウエルトの村と、あまりにも違う。村で細々と暮らしていた自分が、こんなところに居て良いのだろうかという思いがひしひしとした。


「私たち花乙女とイヴラの皆さんが参加するこの舞踏会はお互いの関係をより深くするためのものだから、王族や貴族の方々が催す舞踏会とは違って、あまり形式ばっていないの。

タイミングはオーケストラが取っている感じね。音楽の切り替えの時がやることの切り替え時よ。

最初はあっちの軽食が用意されたテーブルの部屋で立食の軽いお食事を摂るの。

大体飲み物だけの方が多いわね。その時にその後の最初のダンスの相手を決めるの。

それはイヴラの方からの申し込みを受けて、乙女が受ける形よ。

ダンスのあいだは広間で代わる代わる踊るわ。疲れたら広間に置かれている椅子で休んでも良いのよ。

テラスやお庭で休むのもありね。夜の庭は風が涼しくて気持ちいいわよ」


プルネルはリンファスにそう説明して一緒にテーブルが用意されている部屋に入った。

既に先に宿舎を出た乙女たちや、イヴラたちが居た。

リンファスはプルネルにくっついて端っこのテーブルに着いた。

既に談笑を始めている人たちが多く、もう最初のダンスの相手を選んでいるのかもしれなかった。


プルネルがテーブルにあった飲み物をとってくれた。ありがたく受け取っていると、プルネルに声を掛ける人物が居た。アキムだ。


「こんばんは、プルネル。今日もかわいいね」


「プルネル、聞いてくれ、酷いんだ! 今日は上手くサラティアナを誘えたと思っていたのに、横から金髪野郎がかっさらって行ってしまったんだ! 

そりゃあ、僕の髪は美しい金髪ブロンドではないけど、でも、サラティアナに対する想いだけは誰にも負けないと自信があるのに……!」


ルドヴィックの、金髪野郎、という言葉に、リンファスは少し思い出す人が居た。淡い金の髪をいつも胸に垂らしている、ロレシオだ。

リンファスが、ロレシオがサラティアナを誘ったのだろうかと考えていると、プルネルはその金髪野郎にサラティアナの相手を取られたルドヴィックを慰めた。


「……サラティアナは既に沢山の花を咲かせているし、もう彼女も花の状態では判断していないと思うわ……。そうなるともう行動しかないと思うの。ルドヴィック、負けないで」


プルネルの励ましに、ルドヴィックがありがとう、と悔しそうに言った。

……こんなに人のことを想う気持ちって、どんなものだろう……。

サラティアナは、どんな気持ちで、あの沢山の花を身に着けているのだろう……。


そんなことを考えていたら、広間から音楽が聞こえてきた。其処此処で、では最初のダンスを、と言って手を取り合って広間に行く乙女とイヴラが居た。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ