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花乙女は愛に咲く  作者: 遠野まさみ
花が咲く

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(8)



茶話会には多くの乙女とイヴラと呼ばれる髪と瞳に色を持った青年が参加した。

しかしほとんどのイヴラたちがリンファスのことを怪訝そうな顔で横目で見ていくのを、リンファスは俯いて受け止めていた。きっと花の着いていない花乙女とはかかわりあいたくないのだろうと、容易に想像が出来た。


(……仕方ないのよ、私が出来損ないだから……)


そう思った時、ふと視界の端、テーブルの隅に手が置かれた。……大きくて節ばった手。男の人のものだ。


「やあ、プルネル。この席、良いだろうか?」


相席を求めてきた青年イヴラは、隣に座っていたプルネルに許可を求めた。プルネルは朗らかに、どうぞ、と向かいの席を勧め、そのイヴラは其処に座った。


「こんにちは、アキム。今日もお会いできて嬉しいわ」


「僕こそ、話す機会をくれてありがとう、プルネル。……こちらの女性は?」


ふと、話題がリンファスに移る。

リンファスはハッとして顔を上げ、その人――アキムと名乗ったイヴラ――を見た。


果物のネーブルのよう色の髪にくすんだ緑の目をした青年だ。

よく見ると緑の虹彩ははボルドーの瞳を囲んでいる。

プルネルを見ると、確かにシックな緑の花びらにボルドーの花芯の花が咲いている。きっとこの青年が贈った花なのだろう。



その隣にもう一人。

こちらはプルネルに挨拶した青年よりも背が高く、体つきも少し細身だ。

ウエルトの村から見えた海のようなネイビーブルーの髪の毛に、小鳥の羽のような黄色の目をしている。

目は、瞳が樹の樹液で出来たシロップのようなきれいな琥珀色でその周りを美しい黄色の虹彩が彩っており、それが黄色い色の目だと印象付けたのだ。



「こんばんは、アキム。それにルドヴィックも。ルドヴィックはサラティアナの所へ行かなくても良いの?」


ルドヴィックと呼ばれたイヴラは「行ったよ。行ったけど既にみんなに囲まれてたんだ」と残念そうに肩を落としていた。


「サラティアナは今、館で一番花を咲かせているし、お父さまがアンヴァ公爵だから、気になってる方も多いわよね。でも、ルドヴィックの気持ちが通じれば良いと、私は思ってるわ」


微笑むプルネルは身に咲かせている花に負けないくらいかわいらしい。そんなプルネルに見惚れているように見受けられるのが、アキムと呼ばれたイヴラだ。


「我が親友ルドヴィックにそこまで気持ちを砕いてくれて、ありがとう、プルネル。きっとこいつもめげずに頑張るさ」


な、ルドヴィック。


そう言ってアキムはルドヴィックの肩をぽんと叩いていた。ルドヴィックも、


「諦められるなら、とっくに諦めてる」


と、強い眼差しで言っていた。


目の前で繰り広げられたサラティアナを廻る人間模様に、リンファスは目を白黒させた。


今までリンファスの周りに居た、食べることに精いっぱいの村人や、ファトマルやリンファスを笑いものにする人たち、そう言う人たちから感じる、砂を噛むような惨めさを感じない。

生き生きと自分の想いを語る彼らに、部屋の窓から差し込む陽光よりも眩しい輝きを感じた。


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