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花乙女は愛に咲く  作者: 遠野まさみ
花乙女として

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(12)

「あっ」


「失礼」


前を見ていなかったリンファスに謝ったのは、ハンナがリンファスをウエルトの村に迎えに来た時に御者をしていたロレシオだった。

あの時と同じく夜の闇の色のフードを被った頭からは右肩から胸のあたりにかけて淡い金色の髪が陽に輝いており、その髪の色でリンファスはぶつかった相手がロレシオだと分かったのだ。


「ロレシオさん!」


まさか御者の彼に此処で会えるとは思っておらず、リンファスはあの時の礼を、まず口にした。


「ロレシオさん、あの時は馬車を走らせてくださってありがとうございました。おかげさまで此方の館で仕事を見つけられました」


陽の光の下、フードに隠された目元がどうリンファスのことを見ているのか分からなかったが、リンファスは続けて謝罪する。


「ぶつかってしまってすみませんでした。お怪我はありませんか?」


リンファスが尋ねると、ロレシオはそれに答えることなく屈んで、足元に落ちた懐中時計を拾い、それから散らばった花をひとつひとつ集め始めた。

ロレシオの行動にハッとしたリンファスは、さっと屈んで籠から落としてしまった花を拾い始めた。


「すみません、私の不注意で……。時計は大丈夫でしょうか?」


「……いや、此方の不注意だ。君が前を見れないことは予測できたはずなのにまっすぐ歩いてしまった。失礼した」


……声は冷たいが、それでもリンファスが落としてしまった花を拾ってくれるあたり、きっとやさしい人なのだろうと推測出来た。


ロレシオはてきぱきと手を動かして花を籠に戻してくれた。全ての花を籠に入れ直すと、リンファスはロレシオにお礼を言った。


「ありがとうございました。助かりました」


「別に助けたわけじゃない。ぶつかった身として当然だ」


やはりそっけない声で言うと、ロレシオは、マントのフードを深くかぶり直して、失礼する、と言うと何処かへ行ってしまった。


リンファスは去って行った彼の背中に向けてもう一度お辞儀をすると、籠をもって急いでケイトの所へ駆けて行った。


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