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花乙女は愛に咲く  作者: 遠野まさみ
幕間

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102/142

(2)

――『君が自分に対して自信が持てなかったのは、君の父親の罪だよ』


ふと思い出したのは、この前のロレシオの言葉だった。


あの時ロレシオは、リンファスのことをファトマルの呪縛の中に居ると言った。確かにファトマルに否定され続けて、自分は役立たずなんだと思っていた。

でもインタルに来て、ケイトからも、ハラントからも、プルネルからも、ねぎらいの言葉を貰った。

それが如何に幸せな事なのかという事を、リンファスは身にしみて感じていたし、館の乙女たちの役に立てることは、リンファスの自信を育てていた。

それが、何も出来損ないの役立たずではない、と知ることに繋がっており、ロレシオが言う、『ファトマルの呪縛』からは解き放たれているのではないかと考えるのだ。


それに。


(この、蒼い花……)


ロレシオが贈ってくれた蒼い花があるから、リンファスはお腹いっぱい食事を出来るし、以前は出来なかった、アスナイヌトへの花の寄進も出来るようになった。

勿論、プルネルやアキム、ルドヴィックからの花もそれぞれ美味しいのだが、ロレシオの花は、より甘くて満たされる気がする。

ロレシオはリンファスのことを『友人』だと言ったのに、プルネルたちがリンファスに対して思っている『友人』とは違うのだろうか? それに……。


リンファスも、思いの外野外音楽堂でのダンスが楽しくて、ロレシオに対して一気に親密感を持った。

窮屈な、宿舎と茶話会や舞踏会、という生活から抜け出した友人……、いわば『同志』だった。

収穫祭に似たダンスを楽しいと言い、リンファスの素行を注意しなかったロレシオも、あの生活を窮屈に思っていたに違いない。そう思うと、カーニバルがますます楽しみになる。

カーニバルでどんなロレシオに出会えるのだろうと思うと、気持ちが落ち着かなくなる。とくんとくんと拍動を打つ心臓に触れながら、リンファスは知らず微笑んでいた。それを、プルネルに指摘されて気付く。


「リンファス、どうしたの? なんだかうれしそうだわ」


「えっ……? え、そ、そうかしら……」


今まで心臓が動悸するときは、必ず怒られることを予兆しての時だったので、嬉しそうと言われて、困惑しつつも改めて自分の感情に向き直る。

そして、あの収穫祭でのことが、リンファスにとって初めて《《羽目を外した》》行動だった、と感じた。

其処に一緒に居たロレシオも、おそらく一緒に羽目を外していた。


リンファスの行動は常に、誰かの役に立つ為ということで成り立っていた。その『呪縛の枷』が、一つ外れたのだ。

そう思うと、そうさせてくれたロレシオに対する感謝と、一緒に羽目を外して、リンファスを楽しい気持ちにさせてくれた彼に対する恩義が、心を満たす。自分は良い友人を持った、と思った。


「野外音楽堂で楽しいダンスを踊ったの。全然形式ばっていなくて、とても楽しかったわ」


「まあ、どなたと?」


プルネルが目を輝かせて問うので、この花の方よ、と言って、右胸の『友情』の花を撫でる。するとプルネルはとても喜んでくれた。


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