表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/20

つるぺたはおやつに入りますか?

 お前には、苦労ばかりかけちまったな……

 三百六十五日、俺の側にいてくれて本当にありがとう、

 一心同体とは、お前と俺みたいな関係を言うんだろう。

 思えば手荒な扱いもしてしまった……

 汚れ役は、いつもお前に押しつけてしまった俺を、

 はたして許してくれるだろうか。


 お前の存在が、どんどん俺の中で大きくなってきたのは、

 確か小学校高学年の頃だった……

 見違えるほど成長したお前の事が、頼もしくさえ思えたんだ。

 俺にとって、最高のアラジンのランプみたいだ、

 こすればなんでも願いが叶う!!

 なあ最高の相棒、俺のおちんち……


 **************


「ぎゃああああああっ!!」


「我が亀の湯の床がデリケートで、命びろいしたな小僧!!

 この掃除機の先端がナイロンブラシだったら、

 お前の大事な倅は、中折れして瞬殺じゃったぞ、

 だがソフトブラシでも、ふつうの男なら三分で昇天じゃ……」

 暴れ馬のような掃除機を、女の子の細腕で軽々と扱っている。

 いったいこの子は何者なんだ、しかし今の俺に考えている余裕は無い、

 高速で回転するブラシが、俺の相棒を根こそぎ持って行こうとする。

 泡まみれのプレイって、もっと気持ちいいモンじゃなかったの!!


「どぅわああああっ!もげる、もげちゃう!女の子になっちゃう!

 らめぇ!ぷろぺらなの?ぐるぐるってしちゃてるぅ!!」


「哀れな奴じゃ、強情を張らずに素直に従っておれば、

 おなごとして生きていく事もなかったろうに……」

 絶体絶命だ、さっきの威勢は何処へやら、

 俺の脳裏にギブアップの文字と、女の子の未来が交互に浮かぶ、

 三枝康恵さえぐさやすえちゃんとして生きていくのも悪くないか……


 いやいや!! 駄目だ、俺にはまだ見ぬおっぱいが待っている、

 日本を飛び出してみたい! 世界中の何処かにあるという、

 幻の大秘宝クワスチカに負けるとも劣らない、伝説のおっぱい!!

 世界的な冒険家だった親父が、いつも俺に語ってくれた話がある……


(康一、おっぱいはいいぞ! おっぱいは誰も傷つけない。

 おっぱいの事を考えるだけで、とても幸せな気持ちになるだろ!

 想像してみろ、争いもなく貧困もない世界を……

 世界中のどこかで戦争があり、罪もない命が何万人も奪われているんだ。

 お父さんは、伝説のおっぱいを必ず見つけ出してみせる!

 伝説のおっぱいには、世界平和をもたらすパワーがあるんだ……)


 やさしく俺の頭を撫でてくれた親父は、この世にはもう居ない……

 俺が必ず見つけ出すんだ! 志半ばで倒れた親父の為に!!


「うおりゃああああ!!」

 ……熱い、この熱さは何だ?

 全身の血液が逆流し、みぞおち付近に集中するのが感じられた、

 身体に力が湧き出てくるようだ、俺にいったい何が起こったんだ?


 キュイ~~ン、ガガガガッ!

「なんじゃと!! この業務用のパワーを受け止めるとは……

 むっ! もしや呪いが完全に発症したのか? 

 ……馬鹿な、仮にそうだとしても自由に動ける訳がない」

 高速回転していたブラシが停止した、いや俺()()が止めたんだ。

 身体の一部分が鋼のように固くなっている、そして熱い、

 熱くてたまらない……


 ガガガガ、ガキャ!!

「何っ!? 身体が!!」

 急にブラシを止められた掃除機が逆回転を始めた、

 その勢いで柄の先端を押さえていた女の子が身体ごと宙に浮いた。


「きゃうっ!!」

 女の子がたまらす悲鳴を上げる、可愛い声も出せたのか……

 暴走を始めた掃除機は、俺を軸にして猛スピードの回転を止めない。


「め、目が回るのじゃ、小僧、見てないで助けろ!!」

 形勢逆転、俺の大事な相棒をいじめた罰だ……


「浦島太郎のお話を知らないのか? おちん、いや亀をいじめると、

 バチが当たるって昔から言うだろ!!」


「こら!年上を敬わん奴のほうがバチが当たるのじゃぞ!!」

 遠心力で振り回されながら、女の子が必死で掃除機にしがみつく。

 年上って何、訳の分からない事を言っているんだ……

 どう見ても俺のほうが大人だぞ。


「こ、小僧、亀のバチならぬ、()()に犯されているのはおぬしじゃ……」


「俺が呪われているって一体何の話だ、脅そうとしても意味ないぞ!」


「だから、その力も()()()()()()が発症しているからじゃ、

 だかな、よく肝に銘じて覚えておけ!!」

 目が回っているはずなのに、一瞬だけ彼女と視線が合わさった。

 その厳しい眼光に俺は射ぬかれてしまった……


「そのままじゃと、おぬし確実に死ぬぞ……」


 キュウ~~ン……ブチッ。

「……っ!!」

 電源ケーブルが掃除機に絡まりコンセントから抜け、急停止した。


「小僧、儂を受けとめるのじゃ!!」


「おわあっ!!」

 ……女の子が降ってきた、それも裸ん坊で俺の上に。


「もがぁ! 息が出来ないっ!! それに何も見えない!!

 失明? 呪いか、これが亀の湯の呪いなのか?」


「……たわけ、よく見ろ、おぬしの顔に載っているのは儂の尻じゃ!!」


「ぷはぁっ!! 死ぬかと思った……」

 呼吸を確保出来るようになり、目を開くと蒙古斑のあるお尻が……


「ちょ!! お、おしりって事は、俺が酸素吸入していたのは……?」


「何をギャアギャア騒いでおるのじゃ、うるさい小僧め……」

 くるりと俺に跨がったまま、彼女が身体の向きを変えた、

 見事なまでのアイガー北壁が、目の前にそびえ立っていた。

 神々しいまでの桜色な死の壁、挑戦するものを寄せ付けない、

 漢ならたとえ無謀と思えても自分のリミットを越えてみたい!!


 おっぱいはもちろん大好きだ!爆乳、巨乳、貧乳、

 A・B・C・D・E・F・G、これはサイズの一部だが、

 そんなカテゴリー分けなど意味がないんじゃないか?

 俺はブラのサイズばかりに囚われすぎていたんだ。

 何がおっぱいソムリエだ、馬鹿野郎、天狗になるな!!

 ブラの要らないツルペタのおっぱい……

 俺の目から何枚もうろこが落ちるのが分かった。


「何を泣いておるのじゃ、小僧? 

 おかしな(わらし)だのう……」

 女の子が俺の頬を撫でてくれ、涙の軌跡を拭き取ってくれた。

 俺の中で張り詰めていた緊張の糸がぷつんと切れた……


「ううっ、うわ~~ん! 俺は間違っていたんだ……

 こんなに素晴らしい物を食わず嫌いしていたなんて、

 何て、愚かで馬鹿なんだ!!」

 俺は号泣していた、赤ん坊の頃に戻ってしまったみたいに……


 次の瞬間、頬が暖かい感触に包まれた、

 華奢だけどやさしい両方の掌、そのまま俺の顔を引き寄せる。

「よしよし、よくは分からんが、おっかない事があったんじゃろ、

 儂の胸で思う存分泣くがよい……」

 女の子の薄い胸に包まれていたんだ、それは死の壁なんかじゃなかった、

 暖かい鼓動を感じながら俺は久しぶりの安らぎを覚えていた。


「康一、気がついたんだ!!」

 大浴場の引き戸が開き、背後からいきなり声をかけらた。

 振り返ると私服に着替えた正美が立っていた。


 ヤバい!! 俺は裸で少女と抱き合ったままだ……

 完全なる逮捕案件だ、さすがに言い逃れは出来ない状況だ

 正美の顔を見ると完全に血の気が引いている……

 口がパクパクして、おまわりさん、こちらです!!状態にみえた。



「……お祖母ちゃん、康一と何やってるの?」


 ええっ!お祖母ちゃんって誰の事?


 次回に続く!!





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ