表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/20

おっぱいの女神

(……カポーン)

 水を流す音で、俺こと三枝康一は目が覚めた。

 見慣れない天井が目に入った、ここは何処だ。

 全身がだるく感じられ、特に腰の辺りや腹筋がズキズキ痛む。

 激しい運動をした後みたいだ、俺は一体何をしていたんだ?

 ぼやけた記憶が次第に鮮明になる。


「そうだ、正美は!!」

 慌てて飛び起きようとしてベットから転げ落ちてしまった、

 カコーン!カラカラーン!けたたましい音を立てて洗い桶が転がる。

 何で、桶が一緒に落ちたんだろう? その時は疑問に思わなかった、

 どうやら大浴場に置かれた、籐のベットに寝かされていたようだ。


「……あいててて」


「そこの小僧、掃除の邪魔なんじゃが」

 ぶつけた腰をさすっていると突然、後ろから声を掛けられた。


「そんなところで寝っころがられたら、床掃除が出来んじゃろ」

 振り返ると女の子が、見慣れない機械を手に立っていた。

 年の頃は小学四年生位で、亀の湯名入り法被を着ている、

 小柄な身体には大きすぎて、法被がまるでコートみたいだ。


「お嬢ちゃん、お手伝いなの、偉いね!!」

 正美に小学生の妹なんかいたっけ?、親戚の子かな。


 俺の問いかけに答えず、手元の機械をいじり始めた。

 長いT字型の柄、その先端にイソギンチャクのお化けみたいな、

 白いソフトブラシが付いている、業務用の電動掃除機みたいだ。


 キュイ~~ン!!

 丸いブラシの先端が回転し始め、同時に洗剤も出る仕組みだ、

 面白いな、見る見るタイルの床が綺麗になっていく。


「ふう、ここは暑いな……」

 女の子の白くてむき卵みたいなおでこに、玉の汗が流れる、

 すごく可愛い娘だな…… 

 俺にロリ属性はないが、健全な気持ちで見とれてしまう。

 でも何か口調、変じゃないか? 僕っ子でもなさそうだし。


 ……キュイ~~。

 俺の近くまできて女の子は掃除機を停止させ、

 床に転がる、亀の湯謹製の洗い桶をチラリと一瞥した。


「で、見たんか、小僧……」


「えっ、見たって何を、お嬢ちゃん?」


 ぺたぺたぺた、裸足の足音が広い大浴場に反響した、

 俺の前に女の子が仁王立ちする。


「もう一度聞く、正美のアレ、見たんか?」

 小学生の女の子とは思えないドスの効いた声色。


「ひっ!」仁王像のような迫力に思わず後ずさる。

 肘が濡れたタイルに触れる、ヤバい! 俺は裸のままだ。


 ゲシッ!!


「あひゅう!!」


 グリグリグリグリ!!

 女の子の生足に踏みつけられてるぅ!!

 俺の…… 俺のぉ!! ノオオオオッ。

 声にならない咆哮が漏れ出した。

 電気あんまの要領で、幼い女の子に刺激を加えられる。


 虫けらを見るような視線で、俺を見下ろしたまま、

 女の子は信じられない行動に出た。

 帯を解き、勢いよく法被の前をはだける。


「小僧、お前を試したる、もしも反応したら不合格じゃ……」

 女の子は法被の下には何も纏っていなかった……

 俺は下からのアングルで、女の子を見上げる体勢だ。

 全てが嫌でも目に入ってしまう。


 ……上のあんな部位や、下のこんな部位まで。

 先程の彼女の足音が、混乱する頭の中で繰り返された、

 ぺたぺたつるぺた、って。


 風呂用コンタクトをしていた事が、本当に良かったのだろうか?

 激しい背徳感の中で自問自答する。

 ……見え過ぎちゃって困るの!状態だ。

 やばい! デルタフォース隊のチャックノリス少佐が、

 俺の脳内に出動命令を出してしまいそうだ。

 ロリテロリストを掃討せよ!!って。

 おっぱい星人の新しい扉(ネクストドア)が開いてしまいそうだ。


「小僧、もう全部吐いて、楽にならんか? ほれ、ほれっ!

 どちらにしても、お前は亀の湯の()()に犯されておる、

 いい加減に観念せい!!」

 俺を弄ぶ小さな足、まるで独立した生き物みたいに足指が動く。


「おふうううっ!」

 ……もう限界かもしれない。

 今までのおっぱい星人としての思い出が走馬灯の様に蘇る。

 ……放課後の保健室で、偶然みてしまった女教師の胸チラ。

 小学生の俺はまだ、おっぱいソムリエとしての経験が浅く、

 ブラカップのサイズまで特定は出来なかった。

 今の俺だったら、アンダーもトップも特定出来たのに。

 ……それ以外にも、まだまだ心残りがある。


「こ、う、い、ち……」

 薄れゆく意識の中で、誰かに呼びかけられた気がして、

 声の方向を見る、暖かい光が差し込んでいる。

 俺は全てが真っ白な部屋に一人佇んでいた。


「あなたは誰?」

 逆光で顔は見えないが女性が立っていた。

 神話の女神様のような出で立ちだ。


「あなたは女神様なの……」


「今は言えないの…… でも康一をいつも見守っているわ」


「俺はどうしたらいいんだ、このまま負けるしかないの?」

 女神様?は慈愛に満ちた声で、俺に語りかけた。


「康一、まだ倒れちゃ駄目、あなたの救いを求めている人達が、

 まだ大勢いるから……」


「あなたのために、聖なるおっぱいを用意したの、

 どちらか選びなさい……」

 そう言って彼女は胸元を開いた、おっぱいを見ても、

 邪心は全く起きなかった、逆に心が浄化されるようだ。


「これはEカップのおっぱい……」たわわな爆乳がまろび出す。

 彼女が白い胸襟を閉じ、再度、胸元を開いた、

 ……それは奇跡のような光景だった。


「これはDカップのおっぱい……」程よいサイズの巨乳が、

 ぷるるんと顔を出す、どうしてサイズチェンジ出来るのだろう?

 これも神様のなせる技なのか。


 ……究極の選択だった、どちらも甲乙付けがたい。

 世間一般に爆乳といえるのはEカップ以上だろう、

 グラビアアイドルでもマストなサイズだ。

 おっぱいソムリエの検定でも、正解はこちらで間違いない。

 しかし、試験に合格するだけでいいのだろうか?

 けして通ぶるつもりでは無いし、Eカップファンを愚弄する気もない。


 だけど俺の記憶に焼き付いた、最高のおっぱいがあるんだ。

 誰のものかは定かでない、いつ見たのかも分からない。

 そのおっぱいを裏切ることは絶対に出来ない、

 それが俺のおっぱい星人としての、漢の矜持だからだ。


「Dカップのおっぱいを選びます……」

 ……迷いはなかった。

 力強い俺の答えに、おっぱいの女神(?)様は微笑んだようだ。

 まばゆい光の中で一瞬だけ顔が見えた、

 俺の知っている誰かに似ている気がした。

 ……そのまま彼女は光の潮流の中に消えた。


 *******


「!?」

 俺は我に返った、目の前には勝ち誇った表情の女の子、

 腕組みをしたまま、電気あんまを継続していた。

 くちゅくちゅと水っぽい音が、室内に響きわたる。


 俺は彼女に向かって叫んだ。

「お前に絶対に屈服しないぞ、俺にはおっぱいの神様のご加護がある!!」


「あまりの刺激に、精神アタマがおかしくなったか……

 たわけめ!! 足では生ぬるい、特別に()()を使ってやるわ!!」

 俺から生足をどけ、脇にある掃除機を手に取った。


「……まさか、嘘だろ」

 キュイ~~ン!!

 激しい音を立てながら、モップ部分が高速で回転し始める。

 イソギンチャクのお化けみたいな部分を、俺の前にかざした。

 ……あんな物に吸い込まれたら、一巻の終わりだ。


「安心しろ小僧、儂にも武士の情けがある、

 一瞬で終わりにしてやるから、安心せい……」

 女の子の顔が妙に輝き、妖艶な笑いに歪むのが分かる。

 ……そして一気に回転する先端部分を。


「や、やめろおっ!!」


 次回に続く!!



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ