いいじゃないか おっぱいだもの
「なあ、三枝康恵ちゃん、いや三枝康一くんだったね……」
正体を言い当てられ、背中に冷水を掛けられた気がした、
エステの達人、にゃむ子さんが仕上げてくれた女装は完璧だったが、
俺の身体を蝕んでいる亀の湯の呪い、その進行を抑える目的で、
やむを得ず、相棒に装着された特殊拘束具、コッドピース様、
迂闊にもっこりしただけでも、俺自身に激痛が襲いかかる。
不純な動機でなくとも、先程みたいに気を失う程だ。
男バレした動揺なのか、まるで塩を掛けられたナメクジ状態だ、
俺の相棒は、すっかり小さくなっていた、消えてなくなっちゃいそう……
「何を言っているのか、康恵、全然分かんないんですけどぉ……
授業があるから私、もう失礼しなきゃ、ありがとうございました！！」
無駄なあがきだと思うが、女の子の声色を使い、その場を立ち去ろうとする。
「阿呆か、お前、まず自分の格好を鏡で見てから物を言え、
保健室から一歩でも出て見ろ、お前は社会的に抹殺されるぞ……」
「わ、私の格好が、な、何かおかしいでしょうか？」
適当に誤魔化してこの場をにげちゃおうっ、て安易に考え、
部屋の入り口付近を目指す、そこに置かれた鏡に自分の全身が写る。
「ああああっ！！ しまった、全裸だったぁ！！
こっどぴいすぅさまがぁ、まるだしでおぎんぎんなのぉ♡」
気が動転してすっかり忘れていた、俺が全裸だってことを……
かろうじて下着は付けているが、上半身はまだ良いとして、
（可愛いピンクのブラなんだよっ、どうやって胸を作ったかはナイショ）
問題は下半身だ、後ろから見れば違和感は少ないが……
（こっちも可愛いピンクばんつなんだよっ、にゃむ子さんセレクト下着）
「本当におかしいのはお前の頭だな…… このど変態が！！」
机から立ち上がり、おもむろに女性が俺に詰め寄ってきた、
か、顔が近い…… 思いっきり罵倒されてしまった……
はいっ、言葉責め、頂きました……ってこの人は女王様じゃないだろっ！！
クールビューティーもいいけど、怒った顔も俺の超タイプなお姉様だぁ。
「な、何か、問題でもありますかぁ、ワタシニホンゴ、ヨクワッカリマセンッ！！」
調子に乗りやすい癖が出てしまった、正美にもよく怒られるんだけど、
性癖の為だったら、自ら窮地に追い込んじゃうんだよなぁ……
「お前、わざとやってるだろ！ こちとら変態に付き合うほど、暇じゃ無いんだよ、
なあ、聞いてんのかっ、ああん！！」
どごっ！
「あううっ！」
あ、ああああ、綺麗なお姉さんの言葉責めを、（もっとぉ♡もっとぉ♡）と
欲しがりすぎて、ぶらりノーガード戦法を取り過ぎてしまった……
あしたのじょおおおうさまぁ…… 言葉じゃなく肉体的な責めが来るとは！！
つい油断しすぎたのは、俺の相棒はコッドピース様で鉄壁の守りだと、
過信しすぎてしまったことも敗因だ……
強烈な蹴りが棒じゃない部分にクリティカルに入った！！
のーまるぱんつがなければ即死だった……
「まったく、にゃむ子お姉の頼みは、ろくな話じゃないんだから……」
にゃむ子お姉？ もしかして八重歯の可愛い、この女性は……
「にゃむ子お姉ってことは、もしかして？」
「私は番台りっつ子、聖胸女子高等学校の養護教員で、
にゃむ子は双子の姉だ……」
ええっ！ にゃむ子さんに双子の妹なんていたの、それに保健の先生なんて……
でも顔は姉妹と言われると、ショート目の髪型以外は似ているけど、
ある一部分が似ていない気がするぞ……
「何だ、ジロジロと、私の顔と胸を交互に見比べて……
あっ！？ お前の失礼な考えは読めるぞ！！
にゃむ子お姉とおっぱいの大きさが、随分違うと思ってんだろ、
し、仕方がないんだ、胸の大きさと女の子の愛嬌は、にゃむ子お姉に
取られちゃったんだからな……」
白衣の上から肩を抱え、胸をガードする。りっつ子先生、ほんのり頬が赤くなる。
ヤバい、そ、そのポーズは無意識に俺を誘っているっ？
なぜ保健の先生といえば、白シャツの下の胸元に黒い下着が見えるんだろう、
そして長めの白衣、デフォルトの衣装なのか？ 教職員組合規定で
決まっているのかっ！！ 少年の性衝動を掻き乱さなきゃ、
罰せられる規定があるに違いないと俺は睨んでいる。
無意識に寄せて上げられた胸の谷間に、眼球がロックオンされてしまう……
しかたがないよな おっぱいだもの『みつを』
おっぱいソムリエ鑑定では、高値安定のＣカップと見た！！
「おっぱいの大きさはともかく、女の子の愛嬌をにゃむ子さんに
取られたなんてこと全然ないです、 り、りっつ子先生っ！！
先生は可愛いですっ！！ いや綺麗だっ！！」
「あ、ありがとう…… 大事な部分を蹴ってしまって悪かった……
どれ、大丈夫か、先生に患部を見せてみろ！」
「り、りっつ子先生っ！！ そんな患部に接近したら、吐息がっ、
咲かせて、咲かせて、ナニいろ吐息になっちゃうよぉ、
俺のナニシンドが、はっはなさんかっ！じじい状態にナッチャウヨ……」
保健の先生としての使命感か、ピンクのおぱんつ越しに触診されそうになる……
「ははっ、昭和の親父ギャグもにゃむ子お姉に影響されてるぞ、
おっと、いかんいかん、お前を興奮させては駄目だったな、
にゃむ子お姉や岩さんから、又袋のことは聞いているぞ」
「えっ、りっつ子先生は、合法ロリ祖母ちゃんとも知り合いなの？」
「勿論だ、亀の湯と番台家の繋がりは深い、そして……
岩さんには大変な迷惑を掛けているからな、我々一族は……」
りっつ子先生の笑顔に影が差した。
「余計な話をしてしまったな、では本題に入るぞ、おっと、
その前に制服を着ろ、一応、私も独身女性の端くれだ、
いくら養護教員と言え、真っ裸に近いと目のやり場に困るからな」
そうだった、俺は全裸に近い格好で、その上、珍妙な物を装着しているんだ。
「そうだ正美は、一緒にいた女の子は大丈夫だったんですか？」
正美の安否が心配だ、それに俺は規律検査の部屋で気を失ったんだ、
シスター達に正体がバレてしまったんじゃないのか？。
「大迫さんなら大丈夫だ、先に教室に行かせてある、それと、
お前の正体は私以外に知られていない、だから安心しろ」
良かった、正美は無事だ、そして奇跡的に俺は男バレしていない、
俺は安堵の胸を撫でおろした……
「お前にレクチャーしよう、今回は気を失ってラッキーだったんだ、
おっぱいを検査されなくて命拾いしたな……
だが明日以降、厳しい検査されたら何度も奇跡は起きないぞ、
ブラを見たところ、まだ制服の秘密を知らないみたいだし」
制服のひみつ？ 確かにゃむ子さんも同じことを言っていたな、
胸の部分に秘密があるのと、ノーブラが重要なんだって。
「この制服の構造に秘密があるんだ……
そして何故、聖胸女子学園が厳しい胸部検査をしなきゃ
ならないかということを、お前はまだ知らない……
あの検査を見て疑問に思わなかったか、なぜあれ程、この学校が、
下着の跡までチェックして、ノーブラにこだわるのか？」
先生が俺の制服を手に取って、解説を始めた。
セーラーブレザーを裏返すと、胸当ての裏側に見たこともない
仕組みが隠されていた……
「これが、にゃむ子さんの言っていた面白い仕掛けなのか……？」
俺は秘密に驚愕しつつ、ノーブラに異常なこだわりを見せる、
この学校の秘密を解き明かしたくなった……
次回に続く！！
