男子禁制の女子高に潜入しよっ!
「……康一 あっ、間違えた、康恵ちゃんで良かった?」
本来、聖胸女子高等学校は、交通の便が良いことで知られている、
最寄り駅から徒歩 数分もかからない、駅前から続くアーケード街は
通学時間ともなると女子生徒一色になり、街の風物詩ともよばれ、
いつしか指定制服の色に例え、藍色天使の行進とよばれるようになった。
聖胸女子は、中、高一貫の形態で、生徒数も増加の一途なのは、
昨今、定員割れの学校経営が多いなかで、特出すべき点だ。
ここまでの話は全部、学校案内のコラムに書いてあったことの
受け売りなんだよ、まあ、康一みたいに読解能力がない人もいるから、
僕が代わりに説明しているんだ……
「ああ、仕方がないよな、正面突破で男を入学させてくれないだろ、
でも合法ロリばあちゃんも人使い荒いよな……
亀の湯に住み込みで働けると、張り切っていた矢先なのに!!
にゃむ子さんから番台や、三助のこと、手取り足取り、棒取りで
レクチャー受けたかったぜ、ちくしょう……」
「まあ、ゆっくりお風呂のことは覚えていこうよ、亀の湯は逃げないから、
それより急務なのは康一、もとい康恵ちゃんの身体のことだよ、
だからお祖母ちゃんも、今回女子校に潜入調査させるんだよ」
そうだ、康一のことが最優先事項だ、呪いの余命宣告は一年だ、
それまでに呪いを解毒出来る、もっと効率の良い方法を見つけ出すんだ、
今回の聖胸女子への不可解な転校もお祖母ちゃんの指令なんだ、
今まで、お祖母ちゃんの言ったことで間違いは無いんだ、今は信用しよう。
「それより正美、本当に大丈夫かな、周りにこれだけ女子高生がいると、
男だってバレやしないかってヒヤヒヤするんだよ!!」
珍しく康一が弱気な声を漏らす、あ、面倒くさいが康一は女装中なので、
呼び方を康江ちゃんに統一するね、隣にはお下げのメガネっ娘が並んでいた。
「康江ちゃん、大丈夫、大丈夫、どこからどうみてもメガネっ娘の女子高生、
う~んそうだな、委員長キャラ? お下げ髪も似合うよ♡」
「そ、そう? いいんちょって言えばこうかな?
こらっ、正美!また遅刻よ、何度私が言ったら分かるの、
そ、そうね、お隣の私が毎朝、起こしに行ってあげてももいいけど……
と、特別よ、正美だけなんだからね、ありがたく思いなさい!」
ツンデレが入ってるのと全体的に八十年代のアニメ風だけど、
概ね合っているかな。
でも胸揺れはやめてね、ぼよんぼよん出来て嬉しいのは分かるけど、
おっぱいはおもちゃじゃないんだから……
「正美、おっぱいって本当にいいもんですね、嬉しくて涙が止まりませんよ……
自分で自分のおっぱいを揉めるんだぜ、女の子ってズルいよ、こんないいモン、
ぶら下げてさ、男なんて自分のおちん○ん揉んでも面白くないからな……」
その発想、さすがおっぱい星人、自分の胸を揉みたいなんて考えたことないよ。
本当におっぱいが好きなんだな、僕は男装しなければいけないので、
自分の胸にマッサージは欠かせなかったが、自分のおっぱいで興奮はしないな、
そりゃあ、好きな人に弄られたら分からないけど……
そういえば、聖胸女子OBのにゃむ子さんが教えてくれたのは、
女子校は友達同士でおっぱいを触るのが当たり前のスキンシップで、
タッチOKなんだそうだ、特に大きい女子は揉まれる運命で、
にゃむ子さんも挨拶替わりに、Gカップおっぱいを揉みしだかれていたそうだ。
(いや~~ん、おっぱいにタッチ!からの、まいっちんぐだっちゅーの!!)と
にゃむ子さんはイミフな単語を呟きながら教えてくれた。
「正美にそう言って貰えるなら安心だぜ、じゃあ声もメガネっ娘になりきるかな、
あっ、あー、てすてす、チェックワンツー、へーへー へーーッ!、
よし! イケる!!」
メガネっ娘委員長、三枝康恵ちゃんの爆誕です、声まで可憐な女の子に!!
何ということでしょう? 不思議……
「正美ちゃん、私、三枝康恵、ヤスミンって呼んでくれる?
正美ちゃんのことは何て呼んだらいいのかな……」
恐山のイタコ萌えバージョン?みたいに憑依されているぅ!!
「や、ヤスミン…… その声どうやって出してるの? 凄いんだけど……」
「あっ、この声ね、ミックスボイスなんだよ、ほら私、元から喉仏が
目立たなくて、女声出しやすいんだよ、男の娘化とともに、にゃむ子先生から
みっちり叩き込まれたんだよ!!」
そうだった、にゃむ子さんは短時間の間に、早変わりの舞台監督顔負けに
康一を完璧な女の娘に変身させたんだ……
その顛末は傍から見て面白く、かつ恐ろしすぎたけど、
機会があればsideBで話すね。
「よし! これでどこから見ても女子高生だっ、何でも出来る証拠だねっ!!」
女子高生になれた喜びか、その場で康恵ちゃんがぴょんぴょん飛び跳ねた。
周りの女学生が一斉に注目し、通学の列が乱れる、
「や、康恵ちゃん!! こ、コッドピースがスカートからっ、」
思わず泡を吹いて倒れそうになった……
ひ、ひゃああっ、最凶又袋《《コッドピース様だっ》》!!
メガネっ娘美少女、ヤスミンのスカートから、ぬっと顔を出してるよお、
朝の爽やかな陽射しに照らされて、宝刀村雨丸譲りの鈍色がぬらりと輝いた。
「何っ…… 正美ちゃん!?」
「康恵ちゃん、しゃがんで!!」
思わず自分のスカートで、角隠しみたくコッドピースごと覆い隠した。
どうやら康恵ちゃんは、女子のスカートをはき慣れていないようで、
横のジッパーが開けっぱなしで、前みごろになっていたんだ……
だからコッドピース様がにょっきり、おこんにちは!! したんだな。
私達を中心に、人垣が円形に出来る、ざわざわした女子高生の群衆。
「何、あの子たち、公衆の面前で恥ずかしい……」
「あの校章の色は二年女子ね……」
「まあ、はしたないわ、聖胸女子の恥だわ!!」
即座に嘲笑の渦に包み込まれる…… ど、どうしよう?
何とか股間のコッドピースは隠せたけど、初日から大ハプニングぅ。
潜入する前にどうにかなりそう……
「皆さん、ご静粛に!! 道を空けてくださらない……」
透明な空を感じさせる澄んだ女性の声、
あれだけ騒がしかった藍色天使達が、一斉に黙り込んだ……
一体、声の主は誰なの?
声の方向を見やると制服姿の女子高生が立っていた、
僕は彼女を一目見て、思わず絶句するしかなかった。
次回に続く!!