スカートの下の秘密。
この世界の常識が揺らぐ瞬間、まさに今回の俺が直面したことだ……
「康一、急がないと遅刻しちゃうよ、先に乗って!!
運転手さん、聖胸女子高等学校までお願いします……」
息を弾ませ、小走りになるセーラーブレザーの背中を追いかける、
亀の湯正面に待たせていたタクシー、その後部座席に身体をを滑り込ませた、
準備に手間取りすぎてしまった、通常の交通機関では学校に間に合わない。
岩ばあちゃんの計らいで、タクシーを呼んで貰ったのは正解だ。
俺たちが通うことになった聖胸女子高等学校は、およそ隣町に位置しているが、
電車やバスを使ってだと、経路的にかなりの遠回りになってしまう、
その点、高速道路を使えるタクシーなら充分、始業時刻に間に合う目算だ。
慌てて亀の湯を出たので、忘れ物がないか手元の鞄の中身をチェックする、
隣の正美は窓の外をぼんやり眺めているようだ。
タクシーに乗り込んでからまったく言葉を交わしていない……
「正美、大丈夫、もしかして緊張してるとか? そりゃ俺も不安だよ、
いきなり女子校に転校なんて、むちゃくちゃな事を言われてさ……
そりゃ親父と一緒に世界を旅していたから、転校は慣れっこたけど、
さすがに急すぎるよな、前の学校の友達に挨拶すら出来なかったよ。
あ、佐藤にだけは、メール送っといたけど……
今回の転校の件と、偽おっぱいにはだまされねーぞっ、て書いてな」
「僕のおっぱいの事、メールに書いちゃったのぉ!!」
もともと大きな瞳を更に見開き、こちらに顔を向ける、
そこに反応するのか? 今日の正美は何だか変だぞ。
女の子の格好に慣れていないだけじゃないな、
何なんだ…… 妙に挙動不審なヤツだ。
「で、佐藤君から返事は来たの……」
あれれ、急にしおらしくなったり、本当にどうしちまったんだ……
「ああ、すぐに返事があってさ、俺が転校することに全然驚いてないし、
逆にせいせいするってさ、それどころか今度、聖胸の女の子、
お知り合いになったら紹介してくれって…… まったくアイツらしいよな、」
「おっぱいの件は……?」
「はあっ? 偽おっぱいのことか…… 俺が男子禁制の名門女子校に
転校する部分のみ食いついて、他にはまったく触れてねーよ」
「そ、そうなんだ、良かったぁ……」
「まあ、真面目な話、今回の件が落ち着いたら、ゆっくり三人で集まろうぜ……」
そうだ、俺と正美、そして佐藤、離れても仲間なのは変わらない、
前の高校で、本音で話せる友達はこいつらだけだもんな……
親父が亡くなってから、抜け殻みたいになった俺は、
高校でも他人と壁を作っていたんだ。
正美は幼馴染みだから、もともと俺の理解者だったけど、
佐藤は違った、あいつとの出会いは強烈だったな……
高校近くの本屋、成人向けコーナーで突然、あいつに声を掛けられたんだ、
そう、えっちな本のコーナーでだ。
(君、おっぱい好きなんだ? ズボンの前がパンパンに膨らんでるね)って、
初めて会った奴だぜ、それもえっちな本、片手に声掛けられて相当面食らったな。
(お前こそ、どっきん真奈美先生でカチカチ山の狸さん状態じゃないか?)
そうそう俺も負けじと、佐藤に突っ込んでやったんだっけ……
そして俺達は、固い友情を交わしたんだよな、文字通りお互いの切っ先で、
青春のともだ○んこをしたことが思い出される……
あいつは有害図書で発禁になった(いけない!ルンナ先生)で、
数学の公式を覚えたって程、筋金入りのおっぱいフェチだったな。
「そうだね、佐藤君にもよろしく伝えてくれるかな、康一」
「ああ、今回の調査が終わったら、必ず学校に戻ることも伝えておくよ」
俺達が聖胸女子に通う目的の一つだ、ある人物に接触すること、
そして最終目的は、その人物を味方に引き入れることが出来れば完璧だ。
「岩お祖母ちゃんが言ってたことだよね、康一には、かなり負担を掛けるけど、
僕も一生懸命サポートするから、頑張ろうよ!!」
「今回の案件は一筋縄では行きそうもない、正美に頼みたいのは
おれの解毒ではないんだ……」
「じゃあどうするの? 康一の、おち、いや、棒が大変なことになっちゃうよ」
思わず、単語を口にして思い留まる、言い直す仕草にも羞恥を色濃く滲ませた、
そして正美は不安げな表情になる、その理由は俺の真意を測りかねていたからだ。
今、分かることは断片的だが、岩祖母ちゃんいわく、亀の湯の呪いにより、
俺は既に発症しており、長くて一年、早い場合は数ヶ月で《《相棒》》が腐り落ちる。
同時に俺の命もない…… 応急措置的な解毒方法は、おっぱいを見ることで
呪いの進行を遅らせることが出来る、だが最低でも一日一回見なければいけない。
正美と、にゃむ子さんが尽力してくれて、ここ数日は解毒されているが、
ここからが呪いのやっかいなところだ……
*******
「現地調達って、おっぱいをですか?」
「そうじゃ、聖胸女子高等学校に入学すれば、外からの支援が難しくなる、
正美一人では正直、荷が重い、それでじゃ、おなごの群れにおるわけだし、
自給自足で頑張ってみんか、小僧……」
「ええっ、岩ばあちゃん、現地調達って、聖胸女子で俺にナンパしろってこと?」
「方法は問わん、ナンパでも、ラッキースケベでも構わんぞ、
だが肝に銘じておけ、安易に考えるな、おぬしの愚息は呪いの力で、
常人の何倍も勃起率、硬度、持続時間が高まっておるのじゃ。
何、良いことじゃないかって? 馬鹿もん、最後まで話を聞け、
闇の力を使うことは、おのれの寿命と引き換えなんじゃ……」
「えっ、おばあちゃん、どう言うこと、康一の身に何が起きちゃうの?」
事の重大さに黙り込んでしまう、俺の相棒が使い物にならなくなるのか……
「コーちゃん、まさみん、落ち着いて聞いて、岩さんが言っていることは、
むやみに発射しちゃ駄目ってことよ……」
俺の相棒から発射ってことは? 無駄打ちしたらタマがなくなるってことだよな。
解毒しなければ死、発射オーライばっかりでも死、結局死亡フラグかよ……
「小僧、発射防止については、儂に試したいものがあるのじゃ……」
そう言って、岩ばあちゃんは小さな桐の箱を差しだした。
「これは……?」
「西洋のコッドピースと呼ばれる又袋じゃ、それを和装にも合うよう、
改良を加えた逸品じゃぞ、心して装着せえ……」
「コッドピース?」
「平たく言うとおちん○んのブラね、ほら、先端が小銭入れにもなるのよ」
にゃむ子さんがすっごく嬉しそうだ、まったくこの人は……
「ブラジャーも昔、乳袋って呼ばれていたのよ、コッドピースも又袋って言って、
股間の保護が目的なの、ふつうの男性用パンツと違うのは、
金属製や装飾目的の物もあるんだ、みてみて!この写真、凄いのぉ♡」
にゃむ子さんが差しだした写真には、中世の男性の装着例で、
股間が凄いことになっている、服の上からも分かるもっこり具合だ。
(みんなもコッドピースで、画像検索してみてくれ、衝撃的だから……)
「ほらほら、まさみんも見ればぁ!!」
にゃむ子さんが正美の目の前に写真を突きつける、
「なっ、何、こ、コレを康一が付けるのぉ、そんなの嫌っ……」
正美が真っ赤になってワナワナ震え出す……
にゃむ子さん、絶対にわざとセクハラしてるな…… 確信犯的に。
「岩ばあちゃん、何でこの又袋が、俺を助けるの?」
「この又袋は特別製での、儂の故郷の刀鍛冶に作らせた物じゃ、
宝刀村雨丸を作った刀鍛冶の末裔にあたる、抜けばタマ散る氷の又袋じゃぞ!!」
なんか俺の相棒が呪いでなくとも、もげちゃいそうなんですけど……
本当に大丈夫?
「これをおぬしの愚息に装着しておけば、呪いの進行を抑える効果もあり、
なおかつ男の貞操帯としての役割もある、うかつに漏らさずにすむじゃろ……
よし小僧、これで今回の任務を遂行するのじゃ、目標の人物との接触と
友好化、最終的に亀の湯へ誘致出来たら万々歳じゃ!!」
*******
「康一、制服の下に付けてるの? ま、又ぶくろ……」
正美が俺の股間をチラリと一瞥しながらつぶやく、
真っ赤になりながらも一生懸命心配をしてくれていることが感じられた。
「ああ、けっこう快適なんだぜ、包まれ感ってゆうか、
リフトアップ効果も期待出来るって、にゃむ子さんも絶賛してたし……」
確かにおっぱいのブラと同じ効果もあるみたいだ。
おちん○んがすっぽり包まれる感覚、バイクに例えると、
エンジンむき出しのネイキットタイプではなく、
全体を風よけの風防で覆われたフルカウルバイクみたいだ。
男としてのポテンシャルが格段に上がった気持ちにもなる!!
ただし最大の問題が、もっこりが剥き出しなので、
お外でこれは 即、逮捕案件な危険人物と言うことだろう……
でも安心して欲しい、我が亀の湯にはエステシャンで美容の女神、
番台にゃむ子さんがいる、彼女の手によって俺は大変身した!!
「お客さん、もうすぐ聖胸女子高校に到着しますよ、
今日から入学されるんですか?
お二人とも可愛い制服がお似合いですよ……」
タクシーの運転手さんに声を掛けられる、
そっと、自分のおっぱいを手のひらで触れてみた、
ふるふる♡と主張する我が儘なおっぱい。
おっぱいソムリエの俺でも満足の仕上がりだ……
例の又袋は、厚い布地のスカートの上からでは殆ど目立たない。
そうだ、正美と俺は女子高生として、
今日から聖胸女子高校に入学するんだ。
スカートの下に秘密を隠して……
次回に続く!!
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