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クララとヌイココのパラレルワールド  作者: 死馬奇大造
不動のパラレルワールド
9/75

『パンドラの箱』

 ここはプローハシティーのプロツェターニエ警察署で、ひとりの警察官がある任務を課せられており、その内容は『チェム・マフィアの調査』というものだった。


(━━自分は"ベルカ"という名前で、プロツェターニエ警察の調査官をしている人間。今回の任務は、チェム・マフィアの調査で、必ず解決したい所なのだが、実はこの件、八年前から既に行われており、何人もの警察官や軍人が、今の今まで調査し続けている。


 しかし未だ解決されず、真相は謎のままで、挙句の果てには『パンドラの箱』と呼ばれる重大事件として、扱われている。しかし一体、チェム・マフィアの何が、そこまで危険として言われているのか━━。


 実は八年前……プロツェターニエに移住しているプリロダ出身の人間が、続々と姿を消すという事件が発生した。そして我ら警察は、その事件について調査をし、チェム・マフィアの犯行だと分かったのだが、戦力不足に止むを得ず、軍隊の力を借りるという武力行使に出た。


 しかしそれでも、チェム・マフィアの犯行は止められず、未だボスの正体さえ掴めていない。そしてチェム・マフィアは、その間も、今もずっと動き続けている。と言った詳細を上官から聞き、やる気に満ち溢れてる自分である!)


 ━━ベルカ。金髪のツーブロックの男。身長は約170センチ辺りで赤いサングラスをかけている28歳。プロツェターニエ警察の調査官。


 通称"パンドラの箱"と呼ばれるチェム・マフィアの事件は、プロツェターニエにある全ての町で発生しており、その町の数は大きく分けて五つある。


 ━━━━━━都会の町『プローハシティー』


 ━━━━━━遺跡の町『オスタンキン』


 ━━━━━━工場の町『ファブリカ』


 ━━━━━━自然の町『スヴェト』


 ━━━━━━地獄の町『チムナター』


 そしてこれら五つの街の中でも、特にプリロダ出身の人間が、多く姿を消していると言われているのが、工場の街の"ファブリカ"であり、ベルカはその理由を探るべく、車でファブリカまでやって来ていた。


(━━とりあえず最近の行方不明者の情報を確認すると、ここの家に住んでいた方が、先月辺りに姿を消しているらしい……これも恐らくチェム・マフィアの仕業。


 だからとりあえず、この辺の住人に何か見たりしていないか、聞き込み調査を行ってみようと思う!)


 先月、行方不明になったプリロダ出身の人間が、住居にしていたと思われる建物の前に、車を止めて周辺の人間に色々と尋ねるベルカ━━。


「急にすみません、プロツェターニエ警察の者なのですが、ちょっとだけお時間ください。実は今、この辺で聞き込み調査をしてまして…………という訳なんですが、何か知りませんかね? 何でも大丈夫です」


 しかし"知らない"や"分からない"の返答ばかりで、捜査状況は一向に進展しないまま、その日は夜を迎え、ベルカはファブリカで一泊することになった。


 そして次の日も聞き込み調査を行ったが、またしても何の情報も得れず、更にはその次の日も、またその次の日も聞き込み調査を行ったが、チェム・マフィアの手がかりは一切なく、ベルカは思考を巡らせていた━━。


(━━そう簡単にチェム・マフィアの尻尾を掴めるとは思っていないが、それにしても情報が無さすぎる……通称パンドラの箱、伊達じゃないな。


 だがこのままじゃ、時間を無駄にするだけだし、何よりパンドラの箱はもう八年間も続いている、故にそろそろ大きく動き出しそうな予感がして、ゆっくり調査している余裕はない。


 という訳で聞き込み調査をまだ続けるよりも、違う方法で調査を続行した方が良さそうだな……よし模索の開始だ!)


 こうして聞き込み調査を諦め、手探りでチェム・マフィアの手がかりを探すことにしたベルカは、車で色んな廃工場を模索した。


 しかし何故、廃工場なのか? 実は廃工場という場所は、よく悪の組織がアジトにしがちで、ベルカはまさかとは思いつつも、念の為に廃工場を模索していたのだ。


 けれどそのまさかは的中せず、廃工場には何にもなかった。それでもベルカは、せめて何か見つけたいの一心で、廃工場の周辺を車で何度も何度も周回していた。


 すると日が暮れ始めた頃に、海辺へやって来たベルカは、夕焼けと光る海を眺めながら、思いにふける━━。


(━━黄昏時(たそがれどき)……海に太陽が沈んでいく……太陽が……海に……は!? もしかして幾ら調査してもチェム・マフィアの情報が全く出てこない理由って……そもそも普通の人が行かないような場所にチェム・マフィアが居るから?


 例えば、この海とか。はたまた空とか。もしくは地下とか。正直なんの根拠もないけど、そう言った誰も思いつかない様な、ぶっ飛んだ場所に案外、チェム・マフィアは居たりするかもしれない!)


 こうして調査の今後の方向性を決めたベルカは、宿泊先へ戻ろうと車のアクセルを踏もうとした、その瞬間━━後部座席から謎の声が聞こえてきた。「イカした車じゃん」と。

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