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クララとヌイココのパラレルワールド  作者: 死馬奇大造
不動のパラレルワールド
3/75

『軍隊の構造』

 ここはプロツェターニエ軍事基地。プロツェターニエ軍隊の隊員が訓練をしたり、作戦会議を行ったりする場所だ。


 そして今、その軍事基地に何者かが侵入し、基地全体に警報が鳴り響いていた。侵入者は一般隊員に追い回され、必死に逃げながら、こう叫んでいた。


「僕は悪い人間じゃないんだよぉぉぉ!!! ヌイココに会いに来ただけなんだよぉぉぉ!!! だからやめてぇぇぇ!!!」


 そう、まさかの侵入者はクララであった。しかし、一般隊員は侵入者であるクララが、ヌイココの知り合いなどとは知る由もなく、体力のないクララは呆気なく確保された。


 そのまま連行されたクララは、部屋に入れられ"司令部小隊長のシヴィエット"から事情聴取を受けていたが「ヌイココの知り合い」の一点張りでまともに会話が成立していなかった。


 一方その頃、ヌイココは━━。


(━━デジュニが訪ねてきたと思えば、次は警報……。一体何があったと言うんだ。今日は厄介事が次から次へと起きて疲れる)


「中隊長、探しましたよ!! 今、変なやつが基地に侵入してきて、身柄を確保したのですが、シヴィエット殿の取り調べに対して、中隊長の知り合いだと言い張っているんです!! それで真偽を確かめる為、中隊長に来てもらいたいのですが」


 ヌイココは一般隊員から現況を知らされ、侵入者であるクララの元へと向かった。


 ━━シヴィエット。白い肌に青髪マッシュの男。身長は約160センチ辺りで猫のような鋭い瞳をしてい25歳。プロツェターニエ軍隊司令部の小隊長。


「ふむふむニャるほどね。つまり要約すると、君はココちゃん(ヌイココ)に会う為に、僕ら軍隊の基地にやって来たが、あまりの広さに入口が分からず、空いてる所から勝手に入ってきたと。


 確かに、ここはとても広いニャンね。でも、入口が分からニャいからって勝手に入ると不法侵入になるから気をつけニャきゃ。


 それと君が余りに全力で、ココちゃんの知り合いだと言い張るから、今は信じてあげてるけど、もしこれが嘘だとしたら、ニャハハ……分かってるよね?」


 シヴィエットから事情聴取を受けるクララは一旦、ヌイココの知り合いだと、信じて貰えたが、ヌイココの反応次第では、クララの立場が一変してしまう━━どうなるクララ。


 ━━━━━━そして2人は再び出会った。


 ヌイココは、自分の知り合いだと言い張る侵入者の正体が、まさかのクララであったことに驚き、物凄い勢いでクララのすぐ側へ駆け寄った。


「あなたはあの時の!? えっと確か……クララ! なんでこんな所にいるの?! いや待って待って、もしかしてクララが侵入者!? なんで? どうしたの?」


 普段はクールなヌイココだったが、あまりの衝撃に感情を抑えきれず、クララに対して(まく)し立てる様に疑問を投げかける。


 するとシヴィエットは「その反応は、本当に知り合いだったようだね、ニャら後は任せたよ。ココちゃん」と言い部屋を退出したが、廊下に出たあと何故か、駆け足でどこかへ向かった。


 そして2人きりになったクララとヌイココは、お互いが現状を理解する為に、話し合った。しかし、クララの発言に頭を混乱させるヌイココ。それもそのはず。何故ならクララは「僕も軍隊に入りたい! だからここに来たんだ!」と言い出したからだ。


 ━━ここで簡単にプロツェターニエ軍隊の基本を説明する。まず、当たり前の事だが、軍隊は楽をして入れるような、甘いところではない。国を守ったり、敵国との戦闘をしたり、鍛え抜かれた精神力と忍耐力が必要となる大組織だ。


 そしてプロツェターニエ軍隊にはヌイココが中隊長を務める格闘部の他に、狙撃部、司令部という部隊が存在する。格闘部と狙撃部は、戦闘を必要とする時に、出動する部隊。そして、その二つの部隊と一般隊員を全て束ねる軍隊の中心が司令部である。


 階級的には、最下級の一般隊員から格闘部、狙撃部の小隊長、中隊長、大隊長の順。そして、その上に司令部の小隊長、中隊長、大隊長。最後に司令部のリーダーであり軍隊全体のトップである総司令官。


 ━━話を戻すが、もしクララが入隊したい場合、二つの方法がある。一つ目は、自ら入隊を希望し、試験に合格する。二つ目は、既に軍隊に所属している人間から推薦を受け、入隊する。


 もしクララが、今から一つ目の方法で、入隊を目指すのであれば、かなりの力をつける必要がある為、相当な時を費やすことになる。しかし、二つ目の場合は、入隊してから、軍隊の寮で暮らし、そこから力をつける事が出来る為、成長速度が格段にあがる。


 だが毎日のように、鬼の様な訓練をする為、生半可な気持ちであったり、豆腐のようなメンタルでいると、一瞬で心が折れてしまう。


 ちなみにヌイココは、推薦で入隊し、死ぬ程の努力をした結果、今の階級に位置している。


 そしてこれまで語った事を、ヌイココはクララに事細かく説明した。すると、クララは「じゃあヌイココが僕を推薦してくれれば、僕は入隊できるのかい! お願いヌイココ! 僕をっ」


 クララが、自分を推薦をするよう頼もうとした瞬間、ヌイココは話を(さえぎ)って、即座に拒否した。理由は当然、ヌイココは、クララが軍隊の訓練を耐え抜けるとは、微塵(みじん)も思っていなかったからだ。


 それでもクララは、泣きそうな声でヌイココにしがみつき、大きな声で━━。


「僕が弱いのは分かってる!! でも僕が弱くて守られる側の人間だからこそ、弱い人間を守ってあげたいんだ!! 君が僕を救ってくれたように、僕も人を救って、誰も悲しい想いをしないパラレルワールドを創るんだ!!」


 クララの言葉を聞いたヌイココは、目を見開き、驚いた表情をしている。どうやら、クララの必死な語り掛けに、心打たれたようだ。


 すると突然、2人がいる部屋の天井スピーカーから、ある声が聞こえてきた━━。


「ニャン。こちら基地管理室にいるシヴィエットだよ。この声は今、君たち2人にしか聞こえていないんだけど、さっきまで話していた内容を、監視カメラから聞かせてもらったんだけどね、実はクララ君に、入隊のチャンスを与えようと思ってね。


 それで、その詳しいニャイ()容を、教えたいからさ、ちょっとココちゃんと一緒に、僕の部屋へ来てよ! せっかくのココちゃんの友達ニャンだし優遇させてもらうよ!」


 そう言い天井スピーカーの音声は切れた。そしてヌイココとクララは、シヴィエットが言っていた"友達"に少し恥ずかしさを感じつつも、言われた通りに、シヴィエットの部屋へ向かった。


 2人が友達という言葉に恥ずかしさを感じたのは、お互い友達と呼べる存在が、まともにいなかったからである。

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