表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クララとヌイココのパラレルワールド  作者: 死馬奇大造
不動のパラレルワールド
2/75

『悩みそれぞれ』

 ここは『スヴェト・ハイスクール』。クララが通っている学校だ。しかし、クララには友達がおらず、虐めを受けていた。その為、クララは稀にしか学校に行けず、家に引きこもってはゲームばかりしていた。


 けれど、今日のクララはいつもと何か違った。いつもは学校に行く度、憂鬱そうに嫌々と行くのだけれど、今日は元気よく家を飛び出し、走って学校へ向かった。そして━━。


「あれ? お前はもしや…… 金とゲームしか取り柄のない根性無し人間のクララじゃねーか! おいおい、わざわざ俺様に金を届けに来てくれたのか?! ほんと助かるぜぇ! 丁度、金欠で困ってたんだよぉ!」


(━━こいつは僕が学校に来る度、力ずくでお金を奪ういじめっ子の"ピィヴィディ"。僕はピィヴィディに虐められ、学校を休むことが多かったが、昨日、僕はヌイココに出会って変わったんだ。


 僕もヌイココみたいに人を助けられる強い人間になりたい。だから、僕は今日からどんな敵にも逃げずに立ち向かう。そう決めたんだ! そして、その第一歩が━━)


「ピィヴィディィィ!!! お前だぁぁぁぁ!!!」


 ━━ピィヴィディ。スキンヘッドの大柄男。身長は約180センチ辺りで顔に多くのピアスを開けている18歳。ハイスクール・スヴェトの生徒。


 クララはいじめっ子のピィヴィディに向かって拳を振るう。するとピィヴィディは、まさか、あの気弱なクララが立ち向かってくるなど、予想もしてなかったのか、顔に一発喰らう。


 しかし、クララのパンチはヒットしたものの、ピィヴィディには効いていなかった。そして、クララはカウンターパンチを腹に喰らってしまい倒れる。


「何に感化されたのか知んねぇけど、お前が俺様に歯向かうなんて、百億年早ぇんだよ!━━金は貰ってくぜ」


 それでピィヴィディは、倒れているクララからお金を奪い取り、去っていった。クララは痛みと悔しさで涙が止まらず、その場で長い間、泣き崩れていた。


 ━━━━━━そして帰宅後。


「生き生きと朝、学校へ行ったと思えば、泣きじゃくって帰ってきて、何を言うのかと思ったら、"僕は強くなれないんだ"って…… はぁ、あのねぇ、クララ。弱い人間がそう簡単に強くなれるわけないでしょ! 昨日、クララを助けた子は、あんたの何倍も努力して、強くなったんだよ! だから、その子はプロツェターニエの軍隊にいるんでしょ? 違う?」


 そう、クララは昨日、ヌイココに出会った事と会話した内容を母親に話していた。それでクララは正論を言われ、黙り込んでいると母親が━━。


「でもまあ、すぐには強くなれなくても、諦めずに努力すればきっと憧れる、その子みたいになれるわよ。そのための第一歩を今日、踏み出したんでしょ? だったらメソメソ泣いてないで前を向きなさい! クララ!」


 そう言われるとクララは、急に元気になり、いきなり"軍隊に入る"と言い出した。すると母親は少し呆れた表情で、笑みを浮かべていた。


(━━僕はなんて情けないんだ。ピィヴィディに立ち向かって、負けて。いや、負けたことは別にいいんだ。でも僕が悔しいのは、ヌイココに出会って、僕まで強いと勘違いしてしまったことだ。何もしてないくせに気持ちだけは、いっちょ前で、ほんと恥ずかしいよ、僕は。


 でも、ママに言われて分かったんだ。確かに今の僕は弱い。けど今までは、ピィヴィディに対して、逃げることしか出来なかった僕は今日、立ち向かえた。これは僕にとって、とても大きな成果なんだ。そして、これからも一歩ずつ着実に、強くなる!━━そう決めたんだ)


『いち! に! いち! に! いち! に!』


 ━━ここは『プロツェターニエ軍事基地』。プロツェターニエ軍隊の隊員が訓練をしたり、作戦会議を行ったりする場所だ。


 そして、今まさに軍隊の隊員達が訓練を行っている。


「おい、そこ! 動きが遅いぞ。もっと早く判断し、次の行動に移れ。それと、お前! 先程のトレーニングの追込み、とても良かったぞ。だが、まだまだ力を出せるはずだ。これからも努力するように」


 指導してる彼女はヌイココ。格闘部中隊長として、一般隊員を教育している。すると中隊長のヌイココに、来訪者が来ていると隊員から連絡があったので、ヌイココは軍事基地の応接室へ向かった。


 応接室には、何やら怪しい雰囲気の男が、椅子に座ってヌイココが来るのを待っていた━━そして2人は顔を合わせる。


「あなたは、実家の執事の……"デジュニ"? 私に一体何の用ですか? しばらくぶりの立ち会いなのに申し訳ないですけど、訓練最中なので、早めに終わらせて頂きたいのですが」


 ━━デジュニ。黒髪長髪の男。身長は約175センチあたりで暗い性格の40歳。ヌイココの実家の執事。


 デジュニはヌイココに急かされると「旦那様からの伝言をお伝えに参りました。それだけお伝えして、すぐに失礼します」と言い、ヌイココに父親の伝言を伝えた。


(━━"話がしたい、家に帰って来なさい"これが伝言だった。


 私は幼い頃から実家を出て、軍隊の寮で暮らしていた。しかも、実家にはここ数年帰っていない。


 というのも私の家系は、元々プロツェターニエとは違う島国の"プリロダ"という場所で暮していて、両親はプロツェターニエ出身ではなかった。そして、両親の生まれ故郷であるプリロダは昔、プロツェターニエに戦争で負け、何人もの人が帰らぬ人となった為、プリロダの民はプロツェターニエに良いイメージを持っていなかった。


 しかし何故か、私の両親はプリロダの因縁の敵であるはずのプロツェターニエに移住し、私を産んだ。その結果、家族で唯一、私だけがプロツェターニエ出身になったと、教えられた。


 でも私は、両親の故郷のプリロダを襲撃したであろうプロツェターニエの軍隊に入隊する事となり、私は負い目を感じて、実家を飛び出してきた。だけど両親は、私が軍隊にいる事に対して、悪く思う様な人ではないけど、私自身が会いにくくて……)


 ヌイココはデジュニに「伝言は受け取ったけど帰る気はないって御父様に」と言い訓練へ戻っていった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ