俺の業
俺はただただ立ったままに待ち続ける、春夏秋冬昼夜を問わず、いつまでもいつまでも、ひたすらに待ち続ける。それが俺の役割、若しくは業と言えるもの。
生まれた時には誰もが真っ白だった様に、俺だって生まれた時には真っ白だった。だが時が経つにつれ、それなりに汚れても来る。そりゃ仕方がないってもんだ。そんな俺の元へとやって来た奴らの殆どは、俺に何ら敬意を払う事無く、何ら気にする事無く、当り前のようにして俺をぞんざいに扱う。
まあいいさ。別に感謝されたいなんて思ってもいねぇからよ。俺はそんな事、一切気にしねぇよ。近寄る女もいねぇ俺は、言ってみりゃ「男」の代名詞。
俺は小便器。ただただ立ったままに、いつまでも待ち続ける。
2020年05月15日 初版