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初めての感情に戸惑いながらも、MPが全回復したので訓練に戻る。前は水魔法を制御出来ず魔力が枯渇してしまった。なので今回は少し工夫してみようと思う。
まずは前回と同じように水魔法を使う。…成功、手の中から水が溢れ出てくる。そこで、氷魔法を使い、冷気を発生させるイメージで水を凍らせようと試みた。…忽ち水は凍りつき魔法の水が動かなくなる。よし、成功だ。その氷の中心だけを溶かす。これも成功。
おもしろい具合に上手くいった。これなら、水魔法と氷魔法を同時に使えるし、水魔法が漏れる心配も無くなる。
エリーさんによると、制御出来るようになったら空中に浮かべられるとのこと。なので、空中に浮くようにイメージする。
…暫くやっていると少しだけだが、塊が浮く。……〔《魔力操作》のレベルが上がりました。〕……〔《水魔法》のレベルが上がりました。〕……〔《氷魔法》のレベルが上がりました。〕
どうやら、成功したようだ。上手く水魔法と氷魔法を同時に上達させることが出来た。使った魔力はどのくらいだろうか?そう思いステータスを確認する。
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佐倉 颯馬
Lv01 age16 HP24/24 MP42/54(+6)
《水魔法Lv02》《氷魔法Lv02》
《雷魔法Lv01》《瞑想Lv02》
《魔力感知Lv01》《魔力操作Lv03》
《必要経験値減少》
『魔導の才』
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MPを12消費しただけみたいだ。かなり少なく済ますことが出来ている。これなら、休憩しなくても良かったかも知れないな…。ともかく、制御出来るようになったので次は魔法で攻撃出来るようにしよう。早速試そう、と思ったのだが…訓練の時間が終わってしまった。
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訓練が終わった後、騎士団長のアルベルトさんから集まるように言われた。クラスメイト達が全員集まったのを見計らい、アルベルトは話し始める。
「今回集まって貰ったのは、ある話をしたいからだ。勇者達が少しは戦えるようになったと国王に報告した所、そろそろ実戦をしても良いだろうということで、一部の強い勇者にはダンジョンを使って訓練させることになった。なので、ある基準に達し次第実戦訓練をしてもらう。明日からは、井谷、福川、日比谷、がダンジョンに潜るようになるから、そのつもりでな。因みにダンジョンに潜る奴は数日帰ってこないこともある。以上だ、解散」
そういって、アルベルトさんは訓練所から出て行った。アルベルトさんが出て行くと、クラスメイト達も何人か出て行った。
遂に、日比谷が渡辺に気を配ることが出来なくなるようだな。これからは、俺が渡辺を守らないといけないのか。ここからが本番ってことだろう、俺が復讐されないため、頑張っていこう。
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その日の夜、俺は、悩んでいた。どうしたら、上手く渡辺を守れるか、と。ただ、守るだけじゃ無く好感度が上がるような方法だと、尚良い。
…訓練の間ならまだいくつか思いつく方法もあるが、訓練以外の時間だと全くといっていいほど思いつかない。思いつくとしたらストーカーぐらいだがそれは倫理的にアウトだしな。
俺たち勇者陣の生活は、朝7時に起きて、朝食があり、その後11時ぐらいまで訓練をする。そして、12時に昼食があり、そこから6時まで自由時間。そして、7時に夕食で、10時に就寝。
主にこんな感じなのだが、自由時間と空いている時間のカバーが出来ないのが問題だ。前まではこの時間のことは考えていなかったのだが、渡辺のことを考えるとそうも言えなくなる。
俺達勇者は自由時間に、する事が殆ど無い。だから、国の善意で勇者は城の中の図書館が利用できる。俺は復讐対策の関係で利用したことがまだないのだが、図書館を利用しているクラスメイトはかなり多いようだ。そういうクラスメイトは渡辺を無視している辺りのやつだからまだいいが、俺のように利用していないクラスメイトもいる。例えば俺を蹴りまくった男達、名前は確か、高良、高崎、高田だったか、高トリオだな。こういう奴はいつ渡辺にちょっかいを出すか分からない。
余談だが、渡辺は自由時間の間、召使いの勉強をしているらしい。この情報と図書館を利用している人とかの情報はルイザさんから教えて貰っている、ルイザさん有能。
渡辺は召使いの勉強で自由時間の間の場所が、定まっていない。だから、余計にどうやって守るかが思いつかないのだ。いっそ、渡辺に危害を加えるやつを一度シメるか…、でも、それだと帰って渡辺に危害を加える可能性が高まるかも知れない。クラスメイトへ威圧をしておく程度でいいだろうか。一応、その方向で考えておこう。
どちらにせよ、この方向だとクラスメイトに勝てるレベルの強さか、それともクラスメイトが手を出したら危険だと思うほどのなにかが必要だ。だが、まあ、今は自由時間だ。今すぐ出来ることなど限られている、今は、最近日課になった筋トレをしておこう。