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 先程話しかけてくれた召使いのメイドさんはルイザさんという。細く綺麗な金髪に整った顔、瞳はエメラルド色で、ハッキリいうと美人だ。平民の出なのだそうで名字はないらしい。

 俺達が個別に貸して貰っている部屋は、普段貴族を招き入れる時などに使っているようだ。だからなのか部屋中から高級感が漂っている。

 ルイザさん曰わく、「勇者様と貴族様は立場的には同列です」とのこと。最初に聞いたときは自分の立場が意外と高くて驚いた。勇者でない渡辺がどの立場なのか気になる所だが…この世界で今のところ唯一の情報源、ルイザさんに聞いた所、ルイザさんも知らなかったようだ、無念。

 しかし、ルイザさんは召使いの中でも知識が豊富なようで、どんな質問に対しても必ずといって良いほど完璧な答えを返してくれる。渡辺さんについては質問が悪かったのだろう。

 さて、今から夕食の時間帯まであと2時間程時間がある。この時間で魔法の練習をしておきたいが、ルイザさんから、「明日から訓練があるのでそれまで魔法はお控え下さい」と釘を刺されているので素直に従っておく。

 当然だが、魔法を控えるとすると行動はかなり限られてくる。俺の所持品は召喚の時、手に握っていたラノベ一冊と制服の中に常備している学生証だけだ。

 部屋の中で、気になるような物はない。ルイザさんも食事の用意をするとかで先程出て行ってしまった。よって、俺が今出来ることは本を読むか、瞑想をすることのどちらかになるだろう。

 俺的には早めにスキルを開発していきたいが、復讐系の異世界召喚小説を呼んでこれからの復讐対策をすることを先にした方が良いのではないだろうか。…この時間は、小説を読もう。


──────

────

──


 小説を読み終えて丁度にルイザさんが帰ってきた。食事の用意が出来たようで、食堂に案内してくれる。献立が気になるが、どんな料理が出てくるのだろうか。

 …料理について思いを馳せていたら、いつの間にか食堂に着いていた。俺と同じようなタイミングでクラスメイト達も何人か食堂に着いている。だが、食堂に入るのはクラスメイトが全員集まってからの様だ。まあ、すぐにクラスメイト全員集まったが。

 俺は料理への期待に胸を躍らせた。一体、異世界で最初の料理はどのような物なのだろう。

 扉が開き、皆来た順でどんどん食堂に皆入っていく。そして、俺も食堂の中に入った。食堂には、晩餐会の時に見るような、40人から50人程座れるテーブルがあり、そのテーブルの上には煌びやかにも見える豪華な料理が乗っていた。部屋側から見て、テーブルの一番奥には初老の国王らしき人物が座っている。部屋に入ったクラスメイト達は奥の席から座っていくので、俺もそれに習う。椅子の数はクラスメイトの人数分に調整されているようだ。

 やがて、クラスメイトが全員席に座ると、最後に姫様が部屋側から一番手前の席に座る。すると、初老の国王らしき男が明るい口調で言った。


「ようこそお出でなさった勇者様、私はこの国の国王、ラングフォード=カーライル・アウレリオです」


 どうやら、国王で合っていたみたいだな。


「この度は、魔王討伐に協力して頂いて誠にありがとう御座います。今夜は無礼講ということで、是非食事を楽しんで下さい。それでは、頂きましょう」


 国王が話し終わり、それぞれ料理に手を着け始める。今夜の料理は、ステーキだ。鉄板の上に乗っかっているからか、微かにジュー、と音がする。

 俺も、早速付属で着いているソースをステーキに掛けナイフで肉を切り始める、恐らく牛肉だろう肉にあっさりとナイフは通った。そして食べやすいサイズに切り終えたら、フォークで口にステーキを運ぶ。それを噛むと隠れていた肉汁が溢れ出てくる。旨い。

 付属のソースだが、一見デミグラスソースのように思える。しかし、デミグラスソースより少しだけ酸味が強く、しょっぱい。だが、悪くない。一緒にパンを食べると更に美味しいだろう。自然とステーキを食べる手が動く。


──────

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 食事を終えた後、解散となった。俺は今中庭で涼んでいる。夜の10時までなら自由に城の中を見学していいようだ。まだ、3時間程時間があるが後30分ぐらい涼んだら部屋に戻ろうと思っている。

 今日中に明日からの復讐対策を考えておかなければいけないが、明日から訓練なのであまり遅く起きているのは望ましくない。なので、気分をリフレッシュしてから早めに対策を考えようと言う訳だ。そういえば、この世界の時間は地球と考え方が同じだ。何気に助かるな。

 この中庭はとても綺麗に整っていて城の中庭に相応しく感じる。緑が豊富で美しい花も咲いているので、見ていて飽きない。ベンチも幾つかあるので、其処に座っている形だ。

 因みに一番眺めが良いベンチに座っている。お陰で、周りが良く見える。俺のほかにクラスメイト達も何人か中庭にいるようだ。ん?あれって渡辺じゃないか。渡辺も涼みに来たのだろうか。少し後ろに男子が三人いる。渡辺に話しかけたようだ。

 …どうやら、平穏な雰囲気ではないな。渡辺が中庭の隅に追い詰められていく。見て見ぬ振りをしたら復讐の対象にされそうだな、正直男子三人は少し怖いが復讐よりはマシだ。仕方がない、助けよう。

 四人の所へ急ぐ。遂に渡辺が、隅に完全に追い込まれた。俺は男子の声が聞こえるぐらいの距離まで近づいた。後もう少しだ。


「渡辺ぇ、お前ホント悲惨だよなぁ?」


「勇者ですらないって、マジウケるわ」


「ウゼぇんだよっ!」


 そういって男子の一人が渡辺を殴ろうとする。


「待てっ!、ゼェ、ゼェ」


 …男子達の視線が此方に向く。何とか間に合ったようだ。


「佐倉だっけか?邪魔すんなよ、今、渡辺と遊んでやってるんだからよぉ」


 そういって男子が笑う。


「おまっ、ゼェ、お前、ふざけっ、ゼェ、んなよっ、?」


「んだとっ?!、うぜえんだよこのモヤシが!」


 男子が俺を殴ろうとする。全力ダッシュで疲れていた俺は、避けることも出来ず殴られ、地面に倒れこんでしまう。そこを男子三人に何回も蹴られる。痛い!痛い!


──────

────

──


 そのあと男子達は、俺を蹴って気が済んだのか部屋に帰っていった。渡辺は、俺が気付いたときにはいなくなっていた。

 毎回毎回、俺のこの扱いは何なのだろうか?…痛みで動けず倒れているとルイザさんが俺を回収しに来た。ルイザさんには申し訳ない。身体鍛えよう、…うん。

今週中に夏休みが終わるので、一日一回投稿になります。

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