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4月5日†2

俺たちが入学する学校は実は県内でもかなり上の進学校だったりする。

義妹の杏は頭がよかったからこの学校を受験した。

俺は他の地味な学校で平穏に暮らす予定だったのだが、いつのまにか義妹が勝手に願書を送っていたのだ。

願書を送ったとなるともう後には退けず、その日から受験当日まで徹夜の日々が続いたのだった…………。

まさにあれのことを悪夢と言うのだろう。


しかもそれで合格してしまったのだ。


俺の成績は五段階評価で良くても3か4だったのにだ。


きっと合格ギリギリだったに違いない


合格発表日に隣で肩を落としていたガリ勉君よ、恨むなら俺ではなく義妹を恨んでくれ……


そんなわけで合格してしまったからには義妹に文句を言えなくなってしまったのだ。何故勝手に願書を出したんだ!と言っても、

「合格できたんだからいいじゃな〜い♪結果オーライよ♪」


と流されるだけだった。

まぁ今となっては昔の話だな


さて、そんな調子で歩いていると俺たちの新天地がみえてきた。


「お〜い!秋斗〜!」


声のした方を振り向くと、群がる新入生の中から見知った顔がでてきた



「杏ちゃん久しぶり♪秋斗もおひさー。」


「おはよう大和君」


「久しぶりって春休みの間会わなかっただけだろうに………」

って順番おかしいだろ!!


こいつは金村 大和。小学校の時からの腐れ縁、しかも変態だ

ちなみに秋斗ってのは俺の名前だ



「いやぁ、春休みは短いようで長かった。女の子に会えないなんて苦痛でしかなかったよ。この学校はどんなカワイイ娘がいるんだろ〜な〜ムフフ」

よだれを垂らし妄想に浸る大和


…………変態め


「ぁはは……」


杏もその変態ぶりにドン引きだ


「さて、カワイイ杏ちゃんにも会えたし校長の顔でも拝みにいきますか」


こいつ杏にまで手を出そうと…………

言っとくけど俺はシスコンじゃないからな!!



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「ぇ〜ですから、ぁ〜本校の、ぉ〜…………」



…………退屈だ

やっぱ校長の話ってのはどこでも同じなんだな……

いちいち母音をのばすところとかウザすぎる

事前に話しをまとめておけと何度思ったか…………


最前列にいる大和は爆睡して横の娘の肩にもたれていて寝ながらもその変態ぶりをあらわにしている……………



「ねぇ、お兄ちゃん。」


「ん?なんだ?」


隣に座っている杏が小声で訊ねてきた


「あの人ってカツラかなぁ?」


「ぶっ」


杏の指先は舞台上の校長を指差している


校長は話がつっかえる度に汗を拭うように頭を撫でている


その手の動きにあわせて髪の毛が不自然に前後に動く

「………カツラ…だな……」

「だよねっ!じゃあ今度一緒にカツラとりに行こうっ♪私一度でいいからカツラとってみたかったんだよぉ」


目を輝かせ小悪魔のように笑う杏

我が義妹ながら恐ろしい


ここは義兄として止めさせなければ


「お前そんなことしたら退学だぞ。」


ちょっと大袈裟にしないと言うこときかないからな杏は


「えぇ〜いいじゃん!二人でやれば大丈夫だよぉ。」

「ダ〜メ!」


「じゃあお兄ちゃんがこないだ隣の部屋のお姉さんの…ムグッ………」


光の速さで杏の口を抑える


「こ、今度な」


「絶対だよ♪約束だからね〜」


校長先生ごめんなさい

僕は無力でした…………






改めて自分の無力さを実感しているを間に校長の話は終わったらしく、すでにA組からHRに移動している


ちなみにオレと杏はB組だ。奇しくも大和も一緒である


HRに行き、席についたらいよいよ担任のご登場だ

高校生活最初の担任はいったいどんなやつだろうか


「やっぱ担任は艶やかな女教師がいいよなぁ。それでちょっとお仕置きしてほしいよなぁ」


………変態大和め


「あ、いいね♪私お姉ちゃん欲しかったんだよ〜」


「おいおい義妹よ、ここにいるお兄様で充分だろう。それにそんなものは幻想にすぎん!」


「あぁ〜夢ないなぁ、お兄ちゃんは」


「全くだ!」


意気投合している杏と大和


ガラガラッ


そんなことを話しているうちに教室のドアが勢いよく開いた

さぁでてこい!鬼でも化け物でも相手になってやるぜ!!

いつでも闘えるよう臨戦態勢をとる俺と大和


トンッと教壇に上がった担任が第一声を発した


「え〜とぉ……今日からぁ君たちの担任になる中川 麗華です。よろしくね♪」

パチッっとウィンクする先生


「ぐぉぁはっ!!」


大和が声をあげて机に倒れ込んだ


無理もない、本当に女教師が来てしまった……………しかもかなり可愛い系だ


どこか幼さが残っている顔(本当に年上か?)に誘惑しているような甘い声、肩を過ぎたくらいまでの綺麗な黒髪、そして背丈は小さいのに自ら存在を主張している胸。しかもウィンクときた

ほとんどの男子はやられてうつ伏している


「担当の教科は体育です♪みんながんばろうね♪アタシも一緒にやるから」


男子をダウンさせた上に更に追い討ちをかけやがった


「先生の体育着ぃ〜……」

弱々しい声で言う大和

変態め!


ってかロリ顔巨乳は反則だ!


俺もちょっと想像してしまった…………あのバストが大きく揺れるところを…………


「お兄ちゃんっ!どこみてんのっっ!!」


はっと我に返ると杏が罵ってきてた


「ちょっとお兄ちゃん先生のおっぱいガン視してたよっ!」




どうやら無意識のうちに見とれていたようだ

仕方ないだろ

だって男の子だもんっ!


「みんな春休みの課題はちゃんとやってきたかなぁ〜??」


「はぁ〜い♪」


と、手を挙げ甘ったるい返信をする変態


この学校は進学校ということもあり、高1の簡単な部分は春休みの課題として個人でやることになっている。勉強が苦手な俺はそのせいでホリデーがほとんど潰れてしまっい、課題が終わったときは目が涙で溢れていた



「課題をこなすことは当然ですからねぇ♪もし今日提出しなかったらお仕置きよ♪」


「何ぃっ!!クソッ!やってないことにすればよかった…………」



目が笑ってねぇよあの教師…………

何されるかわかったもんじゃない


そして変態は挙手したことを後悔したのだろうか、再びうつ伏せている。


ざまぁみろ


俺は大和を哀れみながら鞄をあさる

…………

……………ない

………………ないっ!

俺の汗と涙の結晶がないっ!!


鞄のどこを探してもみつからない…………


………………そういえば今朝筆記用具しかいれなかったな…………


いきなり窮地にたたされた俺

まさに崖っぷちのポ〇ョ……………ではなく俺


「??」


いきなり蛍光灯の光が遮られ、鞄の中が暗くなる

誰かが来たのだろうと思い顔を上げると…………

そこには鬼の形相をしたロリ顔巨乳が立っていた……………


「あら坂口くん〜、まさか課題をやってない、なんてことはないわよねぇ〜」



「あはは〜………ま、まさかそんなことはないですよ〜………ちょっと家に忘れてきちゃったみたいでして………」


俺は慣れない作り笑いをして説明する

隣で大和が

「お前わざとだろぉーー!」とか言ってるのが耳障りだ



「そうなのぉ〜、それなら仕方ないわねぇ〜」


おっ!わかってくれるのか!?これでお仕置きはないだろう。いや〜よかったよかった


「罰掃除がんばってねぇ〜♪」


「はいっ?」


そういって後ろ手をふりながら教壇に戻っていく


罰掃除?お仕置きが?もっとこう期待に応えて……………って違う!これじゃ誰かと同じになってしまう

俺は無罪放免じゃないのかーーーーっ!!


…………………

「んぐっ!」


隣で大口を開けて笑っている変態の口に筆箱を突っ込んでやった


「んんっ!あぃぉっ!おぇぁぃ゛っ!」


無視無視

……………。

はぁ…………罰掃除か




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