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恋占いの魔女と

作者: 天月 赫夜
掲載日:2016/11/27

主人公はシンデレラに出てくる魔女だと考えてくれれば。

シンデレラにドレスを着せ、かぼちゃの馬車を用意してくれたあの人です。


口調はおばあさんですが、見た目は30代くらいです。




「ああなんだい。来たのか。今日はちょっと私の話に付き合ってくれないかい? 」




*




 そういえば、私の職業を話していなかったね。

 私は恋占いの魔女をしているんだ。


 胡散臭いだろうね。


 まあそれも仕方ないさ。

 ローブに深くかぶった三角帽子、目の前には水晶玉とくれば、誰だってそう思う。


 でも、私の能力は国のお墨付きだよ。

 なんてったって、現国王夫妻の仲を取り持ったのは私なんだから。


 とはいっても、そんなたいしたことはしていないよ。

 今の王が王太子だった時に当時の国王の相談を受けて王太子の縁を占ったら、相性の良い子が没落しかけの伯爵家にいる、と出た。


 なんで王から相談を受けられたのかって?

 本物の魔女ってのは独自のネットワークを持つのさ。


 そこを使って王から連絡を取ってきたんだよ。


 占いの結果を受けて、王が舞踏会を開き国中の令嬢を集めたってわけだ。

 没落しかけの伯爵令嬢なんて、王命で招集しなきゃ来ないだろうってね。


 もちろん王太子にはお見合いだなんて内緒さ。

 


 ただ、開始直前になってその子が来てないってんだから驚いた。

 慌ててその子の家にとんでって、衣装と城への足を整えてやったのよ。



 流石、縁だよね。

 王太子も令嬢もお互いに一目惚れ。


 王太子が機転を利かせて見事ゴールインってわけさ。

 実質私がやったのは占いと最後のセッティングだけだよ。





 そんでもって聞いとくれよ。ここからが本題さ。

 私には、若さゆえの過ちで出来た息子がいるんだよ。


 過ちゆえとはいっても、やはり好いた男の子どもだし、自分が腹を痛めたのさ、可愛いね。


 そいつは父親の血でも強く出たのか、ひどく剣が立つんだよ。

 12で従騎士になって、16で騎士に叙任されたんだ。


 それで王城に騎士として仕えているんだが、この前久し振りに帰って来たと思ったら真剣な顔をして、「母さん、頼みごとがあるんだ 」なんていうんだよ。

 駄々一つこねたことのなかった子だからね、驚いたよ。


 用件を聞くと、とある女性との縁を占って欲しいって言うんだ。

 街で一目惚れしたんだと。


 容姿を聞いて占ってみて、また驚いたよ。

 相手はあのおしどり夫婦の1人娘だったんだから。


 悪漢に襲われているところを助けたらしいんだが、お忍びだったからか、あいつは相手が王女だってことに気が付いていない。

 姫と騎士の恋、なんて小説はいくらでもあるが、実際は大変だよ。


 大きな身分の差があるからね。

 乱世ならともかく、今の平穏な情勢じゃあ壁を超えられる可能性は低い。



 そんで、その次の日。

 王女が家に駆け込んできて、ある騎士様との仲を占って欲しいって頼んできたんだ。


 なんとなく検討はついたけれど、やっぱり息子のことだったよ。

 どこかで聞いた話に似ているが、お互いに一目惚れだった、と。



 とりあえず2人には、また会えるんじゃないかねと言っておいたが、可愛い息子と知った娘が真剣な顔して頼んできたんだ。


 その恋、叶えてあげたいね。


 あの子達の場合、1つだけ方法があるんだよ。

 その方法が、ああ、ほら来た。




「ヴァイオレット、今日こそ返事をしてくれないかい? 」

 

 何度振っても懲りないね。


 誰かって?

 何を隠そう、この男が私の過ちの相手さ。


 とある侯爵領の領都に住んでいた時にちょっといいとこの坊ちゃんみたいな格好のこいつと出会ったんだ。

 お互い好き合って、まあ恋人だったのさ。


 自分のことは占えないっていう占い師の典型に私も当てはまるのさ。

 相手の正体なんて考えてもいなかった。


 見た目通りちょっとした商家か何かのぼんぼんだと思っていたよ。


 若さゆえかね、子どもができちまったんだ。

 結婚、って話になった時にたまげたよ。


 この男、侯爵家の長男だったんだ。

 こいつは私を正室として迎えるって言ってくれたんだが、貴族社会ってものは大嫌いでね、逃げたのさ。

 

 好きだったことは確かなんだよ。

 でも、どうしても貴族社会に戻りたくなかったんだ。


 どうにか追っ手も撒いて、息子を産んで、育てて、騎士団にやって、騎士団でこいつは息子に会ったんだと。

 会ってすぐに気づいたっていうから怖いね。

 

 それで、この前漸く息子を説得して私の所にやって来た。

 私を10何年もずっと探して、独身のままでいたらしい。


 それに、私の所に来る前に侯爵位を弟に譲ってきたっていうんだ。

 侯爵じゃないから社交会に出るのも最低限で良いし、侯爵領の端っこをもらったからそこで暮らそうって誘われたんだよ。


 これが、彼が出来る最大限の努力ってわけさ。

 私ももう良いんじゃないかって思うんだよ。


 あの頃とは随分状況も変わったんだから。




「あともうちょっと待っとくれ。そうしたら考えてやろう 」


「いいのか!! 式はどうしよう。いつがいい? 」


 全く気の早い男だね。

 考えてやろう、って言っただけなのに。


 でもまんざらじゃないのさ。 

 そういうところも好きなんだから。


 こうすれば、一石二鳥なのさ。


 青い鳥、捕まえてやろうじゃないか。

 


 




 

 


 


 


 この先の顛末としては、主人公が前侯爵の妻となり、嫡男として認められた騎士(息子)が第一王女の王配として婿入りし女王となった王女を支える、という筋書きになります。


 そのうち、続きを書くかもしれません。

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